謎に謎が重なって
「なんで!?なんでみんなの記憶が・・・もうわけわかんない!!!」
自分の部屋で一人叫んでいた。
その様子を雉が少しあきれながら見ている。
「やよい〜。今ここで叫んでもなんもあらへんし、逆に親や妹にまた怪しまれるんとちゃうか?」
「そうだけど・・・」
確かに雉の言うとおりだ。今ここで取り乱しても何にもならない。
でも・・・
「でも、やっぱりおかしいよ。人の記憶あやつるなんて普通にできるの?」
「・・・そこは俺にもわからん。さっきからつっかかってるのはそれやな。」
「翡翠やカーネリアンみたいなかんじのじゃないの?」
「宝玉に、記憶操作の潜在能力があるなんて聞いた事ないで。」
ますますあやしくなってくる。
「そうだ!!琉度だ!!」
突然やよいは思いだしたかのようにそういった。
「琉度がどないしてん?あいつがやったとでも言うんか?」
「違う!!琉度も記憶なくなってるのかなって!!」
「‥‥‥‥‥‥まさか‥‥‥‥‥」
雉が急に真剣な顔をして悩み始めた。
「どうしたの?」
少し心配になって聞いてみた。
「‥‥‥‥いや、なんでもあらへん‥‥‥‥」
結局雉は何を悩んでいるのか、わたしには教えてくれなかった。
「っというわけで。」
「いやいきなりっというわけでって言われても。っていうかいつここに来たの!?」
話は飛んで、現在琉度の家。
「雉に飛んでもらったの♪」
「なんですかその不気味な笑顔は・・・まあいいや。要するに、僕が記憶あるかないかってこと?」
「うん!!そういうこと!!」
やよいはかなり真剣なまなざしで琉度を見た。
雉も少し用心深く見ている。
「‥‥‥‥で、いったい何のことです?いったいどこの記憶のこと?」
「あ‥‥‥説明してなかったっけ‥‥‥。」
やよいは少し崩れて、気を取り直して続けた。
「わたしが琉度に頼んでカーネリアンを持つ雉の妹さんのところに行った記憶!!」
「‥‥‥‥うん。普通に覚えてるけど?」
やはり琉度は覚えている。
別に覚えていても覚えていなくてもあまり結果は変わらないような気もするが‥‥‥。
「じゃあ‥‥‥あれはいったい誰が‥‥‥」
「あれって?」
琉度は興味津々に聞いてきた。
「琉度も知ってるでしょ?私たちが1週間消えていたっていう話!!なぜかそれがみんなの記憶から消えちゃってるのよ!!」
やよいはそう言って琉度を見た。
琉度は相変わらずおっとりとした顔。
しかし、続けた言葉にやよいと雉は驚いた。
「そんなの簡単じゃん。これを使えば。」
そう言って琉度はある物を取り出した。
それはただの小さなマイク。
「「はい?」」
雉とやよいは声を重ねてそう言った。
「闇の通販で買った。」
「なんですってぇぇぇぇ!?!?」
「なんやとぉぉぉぉぉぉ!?!?」
「ちゃんと使えるよ。こうしてこうしたら。」
「「まじですかぁぁぁ!?!?!?!?」」
二人の叫びはむなしく響いた。
「何?これって結局骨折り損のくたびれもうけ?」
やよいはため息をつきながらそう言った。
雉もかなり脱力している。
「ちょっと二人とも。僕を疑ってたの?」
「違うよ〜。原因がこんな事だったなんて‥‥‥。」
「‥‥‥‥‥‥‥」
「どうしたの雉?」
少し思い詰めた顔をしている雉を見たやよいは、気になって声をかけてみた。
「いや‥‥‥なんでもあらへん。帰るか。邪魔したな。」
「ごめんね琉度!!」
二人はそう言って琉度の家から出ていった。
「‥‥‥‥相変わらず鈍いんだか鋭いんだか‥‥‥‥」
琉度はそう言ってあやしい笑みを浮かべた‥‥‥‥‥。
「ねぇ雉。さっき何を悩んでたの?」
やよいは琉度の家を出る前の雉の顔が気になって聞いてみた。
すると雉は悩んだ顔でこう告げた。
「琉度のことを疑っているつもりはないねんけど‥‥‥普通はいくら通販でその商品があっても‥‥‥相当な力がないと、できんのや‥‥‥‥‥。」
「え‥‥‥‥?」
雉の一言で、風向きは大きく変わった‥‥‥‥‥‥。