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  作者: 時雨
2/21

出会いは道ばたで



 「・・・うわ〜、もうこんな時間!?早く帰らないと!!」

 

 

 もう日が暮れ、空は薄暗くなっていた。周りには誰もいなく、静まりかえっている。

彼女の名前は前原やよい。雪咲高校に入学して約3ヶ月、だいぶ高校に慣れてきたまぁ普通(?)の高校生で、現在生徒会に入っている。

生徒会の仕事はあまり楽じゃないらしく、むしろ大変で、今日も居残りして仕事をかたづけていた。



 「何で同じ1年の子は仕事ないのよ!これってイジメじゃないの!?あーもう!!今日は大事な日なのに〜!!これじゃあ今日厄日じゃん!!」

やよいは一人でぶつぶつと呟きながら、猛スピードで走った。学校から家まではそう遠くない。

ふと見えたのは家の近くの曲がり角。この角を曲がったら家はすぐそこだ。


 「よかった!思ったより早く家に着きそう!」

そう言ってその角を曲がろうとした‥そのとき‥‥‥。





 “ゲシッ”





何か柔らかい物を蹴ったような‥‥‥?

やよいは止まって周りを見てみると、周囲には羽が何枚か散らばっていた。

そしてそこには、おそらくさっきのやよいの蹴りを受けてしまったであろう鳩が、ひっくり返っていた。

「…ひ‥ひょっとしてわたしが殺しちゃった‥‥!?」

慌ててその鳩に近寄った。運良く、その鳩は気絶していただけで、ちゃんと生きていた。

「よ‥よかった〜(よくないだろ)。あ、でも怪我してる!手当してあげないと!」

やよいはその鳩をそっと拾い上げた。そして両手に抱いて、また家まで走っていった。


その選択が、後に後悔することになるとは知らずに‥‥‥。









 鳩に気を取られてるうちに、もう辺りは真っ暗になっていた。

「ただいま〜!!」


「やよいお姉ちゃん遅い!今日はわたしの誕生日なのに!!」

「ごめん!すみれ。でもわざわざ待っててくれたんだ。ありがとう。そして誕生日おめでとう。」

「…///分かればいいの!」

すみれはやよいとは5つ離れた妹で、意外なところで結構鋭い。

「ところでお姉ちゃん。手に持ってる物なに?」

「あ‥これは‥‥‥道ばたで拾ったの。怪我してた(怪我させた)から‥‥‥。」

「かわいそう‥‥。大丈夫?この子。しかもキジバトじゃん。」

「大丈夫だよ。ちょっと待ってて。この子の手当てしてくるから。」

「あ、下におりてくるときは、あのペンダントしてきてね〜!」

「はいはい。」

やよいはそう言って、急いで2階の自分の部屋へ向かった。


「お姉ちゃん大丈夫かな‥‥。すっごくぶきっちょだから‥‥ちゃんと手当できるのかな‥‥。」









そして、やよいの部屋では‥‥‥


「手当はこんなもんでいいかな?いいよね!よしOK!!」

彼女いわく手当は終わったらしい。

だが、その鳩は頭以外すべて包帯でぐるぐる巻きにされていて、飛ぶことはおろか、羽を動かすことすらできない状態だった。

はっきり言ってこれでは手当どころか怪我が悪化しそうだ。

しかしやよいはすっかり満足したようで、服を着替えてペンダントをつけていた。

どうやらそのペンダントは去年、妹が姉に渡したプレゼントらしい。

支度が済んだので、下におりようとした。だがそのとき、鳩が少し動いた‥‥‥ように見えた。

「あれ?ひょっとして気がついた?」

そう思ってよく見てみたが、まだ気絶していた。

「そういえばなんかこの子地味だな〜(お前のせいだろ)。」

包帯まみれにしても、たしかにこの鳩は地味だった。

「そうだ!このペンダントの色違いがあったから、それをつけてあげたら‥‥‥。」

と言って、つけているのとは色違いのペンダントを手に取り、その鳩にかけた。そのとき‥‥

「‥‥いってえ!!な‥なんやこれ!!おいお前!!なんちゅーことを‥‥」

「・・・・!?」

やよいは一瞬、何が起こったのか分からなかった。だがすぐに大声で叫んだ。

「えええええええええ!?は‥鳩が‥‥‥‥しゃ‥‥しゃしゃ‥‥しゃべった〜!?」

「驚くより先にこの包帯とペンダントをなんとかせえ!!」

しゃべる鳩は必死に抗議するが、やよいは全く聞いてない。

「な‥‥なによ!!キジバトでも普通は‥‥」

「あ‥‥アホ!!それ言うたら‥‥‥」

鳩がそう言った瞬間、ものすごい光がやよいとその鳩を包んだ。

「な‥‥なによこれ‥‥‥」

そう言って、やよいは意識を手放した。

「くそ‥‥」

その鳩も同じように、気を失った。












すぐに光は消えたが、やよいと鳩のペンダントだけは光輝いていた。




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