時がたっても
「雉!!よかった‥‥‥。」
雉はそっと目を開けて、やよいの方を見た。
「やよい‥‥‥」
見知らぬ場所なのでふと周りを見渡そうとして、表情が変わった。
近くにいる、都を見たから。
都も複雑な顔をしている。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥お前が‥‥‥俺を‥‥‥‥」
「‥‥‥カーネリアンの力で、です。決して巫女の力でお助けしたのではありません。」
「んなことどうやったってええわ。‥‥‥何でお前が‥‥‥‥」
雉は怒りが混じった声でそう呟いた。
そして冷たくて鋭い目で都を睨んだ。
「‥‥やよいさんに頼まれました‥‥‥あなたを助けてくれと‥‥‥人間の頼みには巫女は応じます‥‥。」
負けじと凛とした空気を放って都が話す。
「なんやと‥‥‥?」
雉は先ほどから殺気も出し始めた。
回復してもらったのに、礼はしないし逆に睨みつけるなんて。
「‥‥‥ちょっと‥‥‥二人とも‥‥‥」
「言ったって無駄だよ‥‥‥」
風見はそう吐き捨てるように言った。
でも、いくらなんでもこれはひどい‥‥‥。
「ふざけんのもたいがいにしろや!!」
「ふざけてなどいません!!」
「じゃあ何で俺を助けたんや!!」
「そ‥‥‥それは‥‥‥‥」
「いい加減にしなさいよ‥‥‥‥」
ふとやよいの小さな声が聞こえた。
「え?ち‥‥ちょっとやよいちゃん?」
琉度の声も聞こえていないのか、ふらっと立ち上がる。
「や‥‥やよい‥‥‥?」
「やよいさん?」
二人もさすがに驚いてやよいの方を見た。
だが、やよいはそれすら聞こえてないようだった。
「妖魔だの巫女だの‥‥‥‥そんな事でけんかして‥‥‥」
やよいの体に、緑色の光が集まってきた。
翡翠の力が高まってきているようだ。
「おい!!やよ‥‥‥」
「んなくだらないことでけんかするな!!とくに雉!!!!」
そう言って雉を指さした。
雉はもう訳がわからない。
「その腐った根性直してこい!!!!」
そう言った瞬間、雉の近くで大爆発が起こった‥‥‥‥。
「ってて‥‥‥‥って、やよいぃ!!てんめぇ何すんじゃボケェ!!」
「うるさい!!黙って聞いてればごちゃごちゃと!!回復してもらったくせに礼もうまく言えないの!?」
「じゃかぁしい!!何で天敵の巫女に‥‥‥‥」
そう言って雉はうつむいた。
口ではそう言っているが、どうしたらいいかわからない。そんな気がした。
やよいはそんな雉を‥‥‥‥
もう一回爆発させた。
「うわ〜‥‥‥やよいちゃんごっついことを‥‥‥翡翠が爆発系苦手でよかったねぇ〜‥‥‥。」
琉度はそう言って雉の元へ足を運んだ。
「おいコラァ!!1度だけでなく2度までも!!」
「うるさい。あんたがここまで物わかりの悪い奴だなんて思わなくて。」
「なんやとぉ!?」
「あ〜らなによ!!」
「あ〜あ‥‥始まっちゃったよお約束が。」
琉度の言った通り、うるさいのが始まった‥‥‥‥‥‥‥が‥‥‥‥
「ぷ‥‥‥あははははははは!!」
突然都が笑い始めた。今まで無表情だった都が。
「み‥‥都‥‥‥‥さん?」
「ご‥‥ごめんなさい‥‥だって‥‥‥あんまりにも面白くって‥‥‥」
都はまだ笑い足りないのか、おなかを必死で押さえている。
「雉は‥‥‥お兄様は‥‥‥おそらくわたしのために演技してたのに‥‥‥」
「えええええええええええ!??!そうだったの!?!?」
やよいはものすごい勢いで雉をみた。
雉はあっけにとられていたが、ぼそりと
「そんなつもりやなかってんけど‥‥‥‥まぁそないなるんかいな‥‥‥」
と答えたとか。
「ご‥‥‥ごめんなさい‥‥‥」
「いいんですよ。お兄様の‥‥‥久しく見ていなかった笑顔が見られたんですもの。」
そう言って都はぎこちなく微笑んだ。笑うのは本当に久しぶりのようだ。
「大丈夫なんか?お前‥‥‥俺とおっても‥‥‥」
「わたしも逃げたんです。今は巫女は続けていますが、なるべく一族とは接触しないようにしております。ですが‥‥‥そろそろ危なそうです。」
「見つかりそうなんだね。」
「はい‥‥‥」
琉度の問いに都は悲しそうに答えた。
「お兄様は妖魔ですから‥‥‥巫女の気配とは大きく違うようで‥‥‥」
「んなら、さっさと退散するわ。ありがとうな、都。」
「はい!」
そう言って二人は笑った。
何百年の歳月も気にしないような、そんな笑い顔だった。
「そう言えば今更だけど、巫女って長生きできるの?」
やよいの素朴な質問には琉度が答えた。
「本来の巫女って言うのは巫女さん姿してる奴の事じゃなくて、一度死んで神の力によって再生された者を巫女と呼ぶんだよ。だから巫女は死ぬ事はないんだ。姿も自由自在に変えられる。」
「一度死ぬの!?」
「死ぬっていっても、魂を取り出すというか‥‥‥なんかそう言う儀式があったみたいだよ。」
「へぇ〜‥‥‥‥。」
そこまでしてなるようなものだろうか。
ふと不思議に思ったが、雉の声でその思考は途絶えた。
「おい。そろそろ行くで。」
「うん!行こう、琉度。」
「はいはい。じゃあ下がって。」
そう言って、琉度は小さな白いペンダントを取り出した。
するとここに来るときと同じような陣が浮かび上がった。
「じゃあ‥‥‥ありがとうございました。」
「お元気で。兄を頼みます。」
そう言って、都は静かに笑った。
作られたトンネルをくぐっている最中、ふとやよいは呟いた。
「何か今日災難だなぁ〜‥‥‥朝も昼も‥‥‥」
「仕方ないよ。翡翠なんてレア中のレアだし。」
「なんやお前ばてとんのかやよい。」
「誰のせいだと思ってんの!!!!」
「はいはい悪かった。」
「ほんとに反省してるの〜?(にやり)」
「キモイ!!琉度そのキモイ笑い顔やめんかい!!」
そう言いながら、3人は元の世界へと戻っていった。