1から100まで不思議な奴
「ねぇ、風見君ってどこから来たの?」
「どこ生まれ?」
「ひょっとしてハーフ!?」
先ほどから風見琉度という転入生の周りには女子が集まっている。
理由はおそらく、小さくてかわいいことと、容姿であろう。
風見は、橙の長髪をポニーテールにして、さらになぜか包帯のような帽子をかぶっている。
「いっぺんに言われても‥‥‥」
風見は正直困っていた。見た目はただの小さな子供のようにしか見えない。
ただ、今言えることは‥‥‥
「思い違いかなぁ〜?」
「何が?」
やよいがそう言った瞬間、目の前に逆さまの風見がいた。
先ほどまで後ろで質問攻めにされていたはずなのに。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!びっくりした!!驚かさないでよ!!」
心臓バクバク状態のやよいは風見に怒鳴りつけた。
「風見君!?何やってるの!?」
そばにいた絵里は驚いている。軽々と天井にあるライトに足を挟んでいるのだから。
「いやぁ〜。ついつい。驚かせたならごめんね〜。」
そう言って風見は華麗に飛び降りた。
周りからおお〜という声があがっている。
「何かやってたの?中国拳法とか。」
「やってないよ?ただ自己流で。」
「うっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!?!?!?」
「じゃぁサーカスとかは?」
「別にやってないけど?」
そう言ってにこやかに笑った。
「前はどこにいたの?」
「アフリカ。」
「ええええぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」
あまりにも謎が多すぎる。
ぶっちゃけ、
1から100までわからない奴だった。
「っと、言うわけなの。雉はどう思う?」
「んなこと俺に言われても‥‥‥。」
昼休み、絵里をほったらかして(おい)屋上に来ていた。
そこで雉と合流したのである。
「なんか変なのよ。っていうか根本的に違うというか‥‥‥‥。」
「せやなぁ〜‥‥‥そんな奴知り合いにはおらんねんけど〜‥‥‥‥」
(まさか‥‥‥‥‥‥‥‥‥んなわけあらへんか。)
「どうしたの?雉?」
雉が急に黙り込んでしまったので、やよいは少し不安になって雉の顔をのぞき込んだ。
「!!!な‥‥なにしとるねん!!!///」
雉は少し赤くなって慌てて退いた。
やよいにはよくわからなかったらしい。鈍感もほどがありますぜ。
「とにかく、危ないと思ったらその首に掛けてるペンダントを握って力込めればすぐに行くから。」
「そう言えば‥‥‥これとれないの?」
「今更かい。契約してんねんからとれるかい。」
「ちょっと待ってよ!!体育の授業どうしろっての!?」
「知るかぁ!!」
「楽しそうだね!」
「「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」」
いきなり音もなく風見がやってきた。
「久しぶり。雉。」
「ええええええ!?!?雉知り合い!?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥なんで‥‥‥‥‥あんたがここにおるんや?」
雉は少しあきれたような声を出した。
それとは裏腹に風見は笑顔で
「そんなこと、面白そうだからに決まってるじゃん!」
そう言ってやよいの方を見た。
「へぇ〜。知り合いだったんだ〜!!」
「ど‥‥どういうこと?」
「こいつは‥‥‥‥‥」
雉が何か言おうとした瞬間、
「 」
風見は雉に何か言った。
すると雉は黙ってしまった。
その代わりに
「僕と雉はまぁいわゆるマブダチ見たいなかんじ。」
「はぁ‥‥‥‥‥」
風見は相変わらず笑顔で話していた。
「で、その〜‥‥‥雉の正体知ってるの?」
「知ってるよ。僕だって力使えるし!」
「ええええええええええええ!?!?」
「っていっても、せいぜい敵の声を聞き分けるとかそんなくだらない能力だけど。」
やよいは唖然としてその話を聞いていた。
いきなり訳がわからない。突然現れて、雉のことを知っていて、自分の事を思いっきりばらして‥‥‥。
雉はさっき何を口止めされたのだろうか‥‥‥。
そのとき、
「3体近づいてるよ。」
風見がそう言った。
「!!!」
遅れて雉も気づいた。
「ええぇ!?!?何でわかるの!?」
やよいは慌ててそう言った。
だが、すぐに雉がこういった。
「隠れとけ!!たぶんねらいはやよいや!!」
「だろうね。契約している人間の魂って、あいつらにしたらおいしいらしいから。」
「わたしって料理なの!?喰われるの!?!?」
「つっこみどころはそこかいな。」
「うるさい!!」
いつものことだが、大事なときにけんかになる。
「けんかしてる場合じゃないよ。もうかなり近づいてる。」
二人はけんかをやめ、そっとその方向を見た。
「やよい。早く‥‥‥」
「雉は力回復してないんでしょ!?わたしも戦う!!」
「アホ言え!!そんな事したら‥‥‥」
「けんかしてる場合じゃないよ〜。」
敵はもうすぐ目の前に来ていた。
「もう!!1日何回来るのよ!!雉!!あんたって疫病神!?」
「んなわけないやろ!!」
「もういい!!あいつら何とかしないと!!」
「無理するんやないで。」
「雉こそ!!」
信頼関係ができた会話をして、敵をにらみつけた。
「翡翠って、けなげだねぇ〜。雉の奴、えらく面白いのと契約したね。」
この声は二人には届かなかった。