新たな風
やっとの思いで悪霊をはらったやよいと雉は、もう一つの問題にぶち当たっていた。
「ねぇ雉‥‥‥これどうしよう‥‥‥。」
やよいが言ったこれとは今の生徒会室の状態。はっきり言って壊滅寸前である。
しかも、満里奈や先生のこともある。
「すまんなぁ‥‥‥。もう力は一個も残ってないんや‥‥‥。」
「じゃあ‥‥‥‥‥‥‥‥」
「どないしょうもない。」
「そうあっさりと言わないでよ!!」
「んなこと言うたって‥‥‥‥‥‥‥‥」
ややおとなしい言い争いをしていたそのとき、
「ん‥‥‥。な、なんなんですのこれは!!」
「やば!!雉早く!!」
雉は慌ててキジバトの姿になった。運良く満里奈には鳩になる瞬間は見られなかったらしい。
「ちょっと前原さん!!これはいったいどういうことですの!?って、なぜ鳩がここに!?」
「‥‥え‥‥?そ‥‥それは‥‥‥」
やよいは言い詰まった。雉のことを言うわけにはいかないし、でもこの状態をどう言ったらいいかわからなかった。
ふと、満里奈はやよいを見た。
「あら?前原さん。何か光っていませんか?」
「へ?なんのこと?」
「とぼけないでください!あなたの服、胸あたりが緑色に光っていますわよ!!」
やよいは実際に確かめてみたが、なんにも見えなかった。
だが、そのときの雉のつぶやきで顔色を変えた。
「どうやら、透視能力があるみたいやな。あの満里奈って子。」
「ええ!?じゃあ‥‥‥」
「お前の翡翠を見たんやろうな。」
「ちょっと前原さん!!聞いてますの!?」
「あ、ごめんごめん‥‥‥‥その‥‥‥‥」
本当のことを言おうとした瞬間、
「コラ!!お前ら!!ちょっと来い!!!!!」
気絶していた先生が目を覚ましてしまった。
「どういうことだ!!なんにも覚えてないっていうのは!!」
結局、何も知らないということにした。そうしないと後が大変なことになる。
「だから知らないんです。突然爆発して‥‥‥」
「ひょっとしてあのとき見えたあの男が犯人か‥‥‥!?」
「ち‥‥違います!!あの人は犯人じゃないです!!」
とっさにそう言ってしまった。
「なぜそう言いきれる?」
しまった、とやよいは思った。だが、言ってしまった以上どうしようもない。
「彼はわたしの親戚で、わたしが弁当を忘れたので届けに来てくれたんです。それで巻き込まれて‥‥‥わたしを助けてくれたんです。」
「じゃあそいつはどこにいるんだ!?」
「警察を呼びに行ってもらいました。」
やよいのとっさの嘘は、どうやらうまくいったらしい。
「っく‥‥‥まぁ今回は大目に見てやる。ただし!!今度こんな事があったら生徒会は活動禁止だ!!わかったな!!」
「「は‥‥はい‥‥‥。」」
二人は渋々了承した。
「もう!!いったい何がどうなっているんですの!?って、ちょっと前原さん!?」
「ごめん!!もう予鈴なりそうだから!!じゃね!!」
今話してもたぶん大変なことになるだろうから、後で言おう。そう考えた。
キーンコーンカーンコ−ン‥‥‥‥
「せ‥‥セーフ‥‥‥‥」
結局息切れしながら教室までたどり着いた。絵里の視線が痛かったが無視して席に座った。
「おはようやよい!って、そんなに警戒しないでよ‥‥‥。」
「ご‥‥ごめんごめん。で、何?」
「なんか今日、転校生が来るんだって。」
「転校生?」
やよいがそう言った瞬間、
「おーい。STするから席に座れ〜。」
そう言う担任の声とともにある長髪のオレンジ髪で、背の低い男の子が入ってきた。
「はい。転入生を紹介する。名前は風見 琉度君。」
「よろしくお願いします!」
席はやよいの後ろだった。だから琉度が席に着こうとしたとき、目があった。
「よろしく。」
「‥‥え‥‥!?」
すぐに琉度は微笑んだが、最初に見せた違和感のある目を、やよいは見逃さなかった。
「ちょっとやよい!!知り合いなの?」
「ううん‥‥‥。」
(なんなの‥‥‥?あの風見って子‥‥‥‥‥‥‥)
思考がそこから動かなかった‥‥‥。