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第6話 宝塚隆史、初授業

 大学の正門が見えたところで、俺は一度立ち止まった。


 門の横のガラスに、自分の姿がうっすら映っている。


 鼻筋。顎の落ち方。首の見え方。肩の線。


 朝、部屋で最後に触ったときより、少しだけ馴染んで見えた。


 昨日までの俺ではない。


 少なくとも、構内を歩いても誰の視界にも引っかからない側の男ではなかった。


「……行くか」


 小さく言って、背筋を伸ばす。


 顔だけじゃ足りない。こういう顔なら、こう立った方がいい。視線は少し高く。肩は開きすぎない。首の力は抜く。


 そんなことが、考えなくても分かるのが少し気味悪くて、かなり気分がよかった。


 門をくぐった瞬間、二人組の女子がこっちを見た。


 一人が何か言って、もう一人も振り向く。


 通り過ぎたあと、また少しだけ見られる。


(……おお)


 思わず心の中で声が出た。


 気持ちいい。


 まだ何も起きていない。ただ見られただけだ。


 けれど、その「ただ」が今までの俺にはなかった。


 俺はなるべく平然とした顔で歩いた。


 ここで挙動不審になるのは違う。せっかく作った顔なのに、中身がいつもの小野隆史では台無しだ。


 教室の前まで来たところで、一度だけ深呼吸する。


 ドアを開けた。


 数人の視線がこっちへ向いた。


 そのまま、教室の空気が一瞬だけ止まる。


「……え」


 誰かが小さく言った。


 その反応だけで、内心かなり来た。


 俺は何でもない顔で空いている席へ向かおうとした。だが、その途中で女子の一人が声をかけてくる。


「あの、経済の人ですか?」


 いきなり近いな、と思ったが、顔には出さない。


「まあ……」


 曖昧に返す。


「何年ですか?」


「二年」


「え、二年?」


「見たことなくない?」


 早い。


 気づけば、俺の周りに女子が集まっていた。


「名前なんていうんですか?」


「サークル入ってます?」


「どこの学科ですか?」


 距離が近い。


 シャンプーとか柔軟剤みたいな匂いが一気に近づいてきて、少し頭がくらっとした。


「いや、そんな一気に言われても」


 笑って返すと、そのひと言で空気がまた少しやわらかくなる。


「声もいい」


「分かる」


「どこにいたんですか、今まで」


「いや、普通にいましたけど」


 自分で言っていて、ちょっと笑いそうになった。


 普通にいたのは本当だ。ただ、昨日までこの顔じゃなかっただけで。


 教室の後ろで椅子を引く音がした。


 松岡だった。


 こっちを見て、露骨に眉をひそめている。


 女子の壁の向こうで、松岡が俺のいつもの席の方を見る。そこは当然空いている。


 それからまた、俺の方を見る。


「小野またサボりかよ……」


 小さくぼやいているのが聞こえた。


 ちょっと笑いそうになったが、ここで視線をやるのは危ない。


 俺は知らない顔を続けた。


「ねえ、お昼どうするんですか?」


「学食?」


「一緒にどうですか」


 展開が速すぎる。


 モテるやつって、こんな感じなのか。


 正直、かなり気分がよかった。今までの俺がどれだけ頑張っても得られなかった反応が、顔と立ち方を少しいじっただけで目の前にある。


 その事実が、恐ろしいくらい気持ちいい。


 同時に、少しだけ怖くもあった。


「……あとで考えます」


 とりあえずそう言って席に着く。


 女子たちはまだ少し名残惜しそうにしていたが、教授が入ってきた気配でようやく散った。


 前の方の席に戻る子。俺の斜め前に座る子。何度か振り返る子。


 教室はいつもの講義室なのに、空気だけが少し違っていた。


 松岡が後ろからまだこっちを見ている気配がある。


 知らん顔だ。


 知らん顔で行くしかない。


     ◇


 講義が始まって十分くらいで、最初の違和感が来た。


 腹が減った。


 いや、減ったというより、腹の奥が内側から引っかかれるみたいな感覚がじわじわ広がってくる。


 朝、部屋を出る前にパンを食ってきたはずなのに、そんなものはとっくに燃え尽きたみたいだった。


 人体をいじるとこうなる。


 昨日の夜、鏡の前で顔と首と肩を触ったときから分かっていた。物をいじるのとは減り方が違う。


 もっと露骨に、自分の中身を使っている感じがある。


 教授の声が少し遠くなる。


 黒板に書かれた図や数式は見えているのに、頭に入りきらない。


 肉。


 頭に浮かぶ言葉が、それだけになっていく。


 焼いた肉。油のある肉。噛んだときに「これは肉だ」と分かるもの。


 昨日のコンビニのハムやサラダチキンでは足りない。もっと、はっきりしたやつが要る。


「……っ」


 腹が小さく鳴った。


 ノートを取るふりをしながら、俺はじっと時間が過ぎるのを待った。


 昼まであと少し。


 あと少し持てばいい。


 だが、人体造形の代償は思っていたより性格が悪かった。


 時間が経つほど、肉の映像だけが頭の中ではっきりしてくる。


 唐揚げ。焼肉。カツ。ハンバーグ。


 学食のしょぼい肉料理ですら、今の俺にはやたらとうまそうに思えた。


 自分でも少し怖い。


 これ、授業のあとすぐ食わないとまずいんじゃないか。


 そう思ったところで、昼休みを知らせるチャイムが鳴った。


 助かった、と思う前に、周りの女子が一斉に動いた。


「ねえ、さっきの続きなんだけど」


「お昼どうします?」


「一緒に行きません?」


 早い。


 腹の減り方が普通じゃないこっちからすると、かなりきついタイミングだった。


「悪い、ちょっと急いでて」


「えー、何で?」


「午後用事?」


 深刻な顔になっていたらしい。まずい。


 俺はできるだけ軽く笑ってみせる。


「ほんとに、ちょっとだけ。あとで」


 それだけ言って席を立つ。


 背中に声が飛ぶ。


「逃げた!」


「あとで絶対教えてくださいね!」


「名前まだ聞いてないんだけど!」


 最後の一言に、少しだけ背中がひやっとした。


 名前。


 そこはまだ曖昧にしたままだった。


 だが今はそれどころじゃない。


 肉だ。


 とにかく肉を入れないと危ない。


 教室を出ると、後ろから松岡の声が聞こえた。


「……なんなんだよ、あいつ」


 苛立ちの混じった、納得のいかない声だった。


 すまん、とは思ったが振り返らない。


 今の俺が松岡と向かい合うのは危険すぎる。


     ◇


 そのころ、教育学部の棟では、翔子が昼休みの準備をしていた。


 ノートを閉じる。筆箱を鞄へ入れる。友達が「学食行こ」と言って立ち上がる。


 翔子も椅子を引いた。


 頭の片隅には、昨日見た横顔がまだ残っている。


 あの人。


 白いシャツの方が似合うと思ったのに、結局そのまま去っていった人。勝手に「オスカル様」と呼んで、帰ってからスケッチブックにまで描いてしまった人。


 もちろん、今日また会えるなんて思っていない。


 大学は広い。学部も違うのだろう。たまたま見かけただけの誰かだ。


 それでも、学食へ向かう足のどこかに、ほんの少しだけ期待があった。


「翔子、今日なに食べる?」


 友達に聞かれ、翔子は我に返る。


「……まだ決めてない」


「またうどん?」


「今日は違うかも」


「珍し」


 学食は昼で混んでいた。


 トレーの音、人の声、食券機の前の列。いつもの、少しだけ落ち着かない空気だ。


 翔子は友達と一緒に列へ並ぶ。


 何となく、唐揚げ定食にした。


 特に理由はない。


 ただ、今日はそういう気分だった。


 トレーを持って席を探し、友達と四人で座る。


 箸を持ち上げたところで、ふいに向こう側の列に入ってきた人が目に入った。


 翔子の手が止まる。


 あの人だ。


 昨日、駅前で見た人。


 勝手に「オスカル様」と呼んだ人。


 また会えた。


 それだけで、胸の奥が少し跳ねた。


「え、なに?」


 向かいの友達が聞く。


「……ううん」


 翔子は首を振る。


 言えるわけがない。昨日見かけただけの、名前も知らない男の人をまた見つけて、少しうれしくなっているなんて。


 その人はメニューの前で少しだけ立ち止まり、迷わず焼肉丼を取った。


 それが何となく似合う、と思ってしまって、翔子は自分でも少しおかしかった。


     ◇


 焼肉丼は、今の俺には正解だった。


 席に着くなり、箸を割る。肉を持ち上げる。口へ入れる。


 うまい。


 学食の焼肉丼だ。味なんて濃いだけで、肉もそこまで上等じゃない。普段なら、まあこんなもんかで済む。


 なのに今は、一口ごとに体の内側が静まっていく感じがした。


(やっぱり肉か……)


 もう一口。


 さらにもう一口。


 食べる速さが、自分でも少しおかしい気がする。噛んでいないわけじゃないが、とにかく止まらない。


 口に入れたぶんだけ、腹の奥のざらつきが取れていくからだ。


 半分くらい食べたところで、ようやく少しだけ呼吸が戻る。


 そのとき、視線に気づいた。


 向かいでも隣でもない。


 少し離れた席からの、じっとした視線。


 何となくそちらを見る。


 昨日のメガネの子がいた。


 駅前で、少し離れたところからこっちを見ていた子だ。今日も地味な服で、髪もきっちりまとめていて、ぱっと見では目立たない。


 けれど、見ている目だけがやたらと真っすぐだった。


 あ、と思う。


 この子、昨日の。


 向こうも気づいたらしく、小さく目を見開いていた。


 それから少しだけ視線を下げ、自分のトレーを見る。持っている箸が止まっている。


 不思議な子だな、と思った。


 昨日もそうだったが、近づいてくるわけではない。ただ、見ている。妙に熱心に。


 俺はまた焼肉丼へ箸を伸ばした。


 だいぶ落ち着いたとはいえ、まだ足りない。胃袋が埋まるかどうかではなく、体のどこかが「もう少し入れろ」と言っている。


 肉を食う。


 食う。


 やっと、腹の底の焦りが少し薄れる。


 そのときだった。


 椅子の引く音がして、さっきのメガネの子が立ち上がったのが見えた。


 友達らしい女子が何か言う。


 メガネの子は小さく返事をして、自分のトレーを持つ。


 そして――こっちへ来た。


 周りの女子が、なんとなくこっちを見ているのが分かる。


「……え」


 思わず、箸が止まる。


 まっすぐ俺の前まで来て、その子は立ち止まった。


 近くで見ると、やっぱり地味めだ。けれど、肌は白いし、目は思ったより大きい。


 メガネの奥で、緊張がそのまま揺れているみたいだった。


「あの」


 声が小さい。


 それでも、ちゃんと届いた。


 その子は自分のトレーから小皿を持ち上げる。


 唐揚げが三つ載っていた。


「……よかったら、これ」


 唐揚げだった。


 一瞬、意味が分からない。


「え?」


 間抜けな声が出る。


 その子は少しだけ肩をすくめるみたいにして言った。


「私、そんなに食べないので」


 本当は食べるつもりだったのかもしれない。少しだけ言い訳っぽかった。


 でも、俺は唐揚げを見る。


 その次に、その子を見る。


 肉だ。


 しかも、今ちょうど欲しかったやつだ。


 ありがたすぎる。


 ――本能が、それを理解していた。


「……いいの?」


 そう聞くと、その子はこくりとうなずいた。


「はい」


 小さな声だった。


 けれど、断られたらかなり傷つくだろうな、というのが分かるうなずき方だった。


 俺は小皿を受け取る。


「ありがとう」


 言うと、その子の目がほんの少しだけ揺れた。


 唐揚げを一つ、すぐに口へ入れる。


 うまかった。


 学食の唐揚げだ。特別うまいわけじゃない。衣も少しべたついているし、冷めかけている。


 なのに、今の俺にはさっきの焼肉丼よりさらにぴったり来た。


 噛む。


 飲み込む。


 その瞬間、腹の奥の最後のざらつきが少し静まる。


「……助かった」


 思わず本音が出た。


 その子は一瞬きょとんとして、それからすぐに視線を落とした。


「いえ……」


 そこで終わりでもおかしくなかった。


 でも、そのまま帰らせるのも変な気がした。せっかく唐揚げをもらったんだし。


「昨日もいたよね」


 俺が言うと、その子の肩がぴくっと揺れた。


「駅前の店の前」


「……あ」


 耳まで少し赤くなる。


 図星らしい。


「すみません」


「何で謝るの」


「その……見てたので」


「見られてたのは気づいてた」


 そう言うと、その子はますます赤くなった。


 なんだこの反応。ちょっと面白い。


 ただ、からかうのは違う気がしたので、そこでやめる。


「名前、聞いてもいい?」


 女子に囲まれていたときは、こっちが名前を聞かれる側だった。こうして自分から聞くのは、少し不思議な感じがした。


「高田……です」


「高田さん」


「はい」


 小さくうなずく。


 俺も名乗り返しかけて、そこで止まった。


 本名を出すのはまずい。


 同じ大学なんだ。どこかで松岡や、いつもの俺を知ってるやつとつながるかもしれない。


「……ごめん。名前は、また今度で」


 自分でも苦しい返しだと思った。


 けれど高田さんは、意外にも慌てて首を振った。


「いえ、私の方こそ、急に話しかけてすみません」


 会話が少しずつ噛み合っていない。


 でも、その噛み合わなさが妙に嫌じゃなかった。


 高田さんは自分でも混乱しているらしく、トレーを持ち直す。


「……戻ります」


「うん」


「唐揚げ、食べてください」


「食べてる」


 俺が二つ目を持ち上げると、高田さんは少しだけ笑った。


 ほんの一瞬だけ口元がゆるむ。地味な印象の中で、その笑い方だけが妙にやわらかかった。


「じゃあ」


 そう言って、高田さんは友達の席へ戻っていく。


 向こうの席では、友達が完全に興味津々の顔をしていた。何を話すのかはだいたい想像がつく。


 俺は手元の唐揚げを見る。


 最後の一つを食べる。


 うまい。


 腹が落ち着く。


 さっきまでの切迫した飢えが、ようやく人並みの空腹へ戻っていくのが分かった。


「……助かったな、ほんとに」


 小さくつぶやく。


 顔を上げると、高田さんが向こうの席でこっちを見ていた。


 目が合う。


 彼女は一瞬固まってから、慌ててトレーの方へ視線を落とした。


 その反応に、少しだけ笑ってしまう。


 昨日見かけた不思議な子。


 今日、学食でまた会った子。


 しかも、唐揚げをくれた。


 なんなんだろうな、と思う。


 でも、悪い感じはまったくしなかった。


     ◇


 翔子は席に戻ってからも、しばらく自分の心臓がうるさいのをどうにもできなかった。


「なに、あのイケメン知り合い?」


「ちがう」


「違うのに唐揚げあげたの?」


「……うん」


「翔子が?」


「……うん」


 友達の声が面白がる方へ寄っていくのが分かる。


「まあ、仕方ないよ。私も唐揚げ注文すればよかった」


「今からでも持っていこうかな。きっと唐揚げ好きなんだよ」


 トレーの上のご飯はほとんど手つかずだった。唐揚げの皿だけが空いている。


 自分でもよく分からなかった。


 ただ、見ていたら足りていない気がした。あの人はもっと肉を食べた方がいい、みたいな、変な確信があった。


 どうしてそんなことを思ったのか、自分でも説明できない。


 でも、持っていってよかった。


 ありがとうと言われた。


 助かった、とも。


 それだけで、胸の奥が少しあたたかい。


 翔子はそっと鞄から小さなスケッチブックを出した。


 友達に見られないよう、膝の上で開く。


 みんなはあの人に注目している。


 でも、私だけ少しだけ近くで見た。


 さっきの横顔を、急いで描く。


 箸を持つ指。首の傾き。唐揚げを受け取ったときの、少し驚いた目元。


 線が迷わない。


 描きながら、心の中で小さくつぶやく。


(やっぱり、オスカル様だ)


 意味は自分でもよく分からない。


 でも、昨日そう思って、今日また会って、さらにそう思ったのだから仕方ない。


 翔子はページの端に、小さく書いた。


 オスカル様


 すぐに恥ずかしくなって、周りを見回す。


 誰にも見られていない。


 少しだけ安心して、ページを閉じる。


 もう一度だけ、そっと顔を上げた。


 宝塚みたいな横顔の人が、もう食べ終わって席を立とうとしていた。


 翔子はまた胸が鳴るのを感じた。


 どこの学部かは知らない。


 でも、また会えた。


 今日はそれだけで十分だった。


     ◇


 学食を出るとき、さっき教室で囲んできた女子の一人とすれ違った。


「あっ」


 向こうが気づく。


「やっぱりいた」


「さっき逃げましたよね?」


「逃げてないって」


「逃げてました」


 笑いながら言われる。


 そこまで責める感じじゃない。軽い冗談だ。


「午後、また会えます?」


「たぶん」


「たぶんって何ですか」


「たぶんはたぶん」


 そんなやり取りをしている自分に、少しだけ笑いそうになる。


 昨日までの俺なら、こういう会話そのものが発生していなかった。


 女子が話しかけてくる。顔を覚えられる。次を聞かれる。


 全部、変身の力で手に入れたものだ。


 胸のどこかが気持ちよくなる。


 同時に、胃の奥に小さな重さも残る。


 これだけ簡単に反応が変わるなら、人間って何なんだろうな、と一瞬だけ思う。


 顔。立ち方。首筋。肩の見え方。


 たぶんそれだけで、世界の対応は平気で変わる。


 怖い。


 でも、面白い。


 やめられそうになかった。


 コンビニに寄って、パンと肉まんと唐揚げを買う。


 それでも足りる気がしなくて、帰りにスーパーで値引きの肉までかごに入れた。


 部屋に戻って袋を机に置いた瞬間、どっと疲れが出る。


「……食いすぎだろ」


 自分で言って、レシートを見る。


 笑えなかった。


 高い。


 いや、一つ一つは大した額じゃない。


 でも昨日の夜から、肉、唐揚げ、パン、学食、また肉と、明らかに食費のペースがおかしい。


 財布を開く。


 中身が軽い。


 千円札が一枚と、小銭が少し。


「……まずいな」


 思わず声が漏れた。


 顔を変えれば見られる。


 女の子が寄ってくる。


 今日だけで、それは嫌というほど分かった。


 でもその代わり、この体は肉を欲しがる。


 しかも、かなり露骨に。


 机の上の肉のパックを見る。


 鏡の中の、自分じゃない顔を思い出す。


 あれを知ってしまった以上、簡単には戻れない気がした。


 今のままじゃ、たぶん金が足りない。

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