表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣のクラスの「氷の令嬢」が、隣の部屋で空腹のあまり倒れていた件。〜胃袋を掴まれた彼女が、俺の前でだけ「ふにゃふにゃ」になるまで〜  作者: 比津磁界
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

259/282

第259話:お揃いのパジャマと、頑張り屋の彼氏

今回は凛ちゃん視点。

「ねえねえ凛、沙紀! 今週のお泊まり会さ、せっかくだからお揃いのパジャマ着たくない!?」


それは、月曜日のお昼休みのことだった。

いつものようにお弁当を広げていた陽菜ちゃんが、突然目を輝かせてそんな提案をしてきた。


「あっ、それ絶対かわいい! 賛成!」

「……お揃いのパジャマ。うん、すっごく楽しそう!」


沙紀ちゃんと私が即座に頷くと、「よし、決まり! じゃあ水曜の放課後、駅前のモールに買いに行こ!」と、トントン拍子でお買い物の予定が決まった。


そして、待ちに待った水曜日の放課後。

私たち3人は、駅前の大型ショッピングモールにある、ルームウェア専門店の前にいた。


「うわぁ〜! 見て見て、このモコモコのやつ! すっごく触り心地いい!」

「こっちのサテン生地のやつも大人っぽくてかわいいよ! どうする? デザイン揃えて色違いにする?」


色とりどりのパジャマが並ぶ店内で、陽菜ちゃんと沙紀ちゃんがウキウキと服を手に取っている。

私も外では一応『氷の令嬢』なんて呼ばれている手前、学校ではなるべくポーカーフェイスを保っているけれど……今日ばかりは無理だ。

大好きな友達と、こうして可愛いパジャマを選んでいるだけで、楽しくて自然と口元が緩んでしまう。


「凛はどの色がいい? やっぱりクールなブルーとか?」

「うーん……私は、この白と薄いグレーのボーダーのやつがいいかな」

「あ、それかわいい! じゃあ私ピンク! 沙紀はミントグリーンね!」


3人で色違いのモコモコパーカーとショートパンツのセットアップを胸に当て、鏡の前でふふっと笑い合う。

(これ、朝陽くんが見たら……『かわいい』って言ってくれるかな……)

そんな考えが頭をよぎり、一人でこっそり顔を熱くしながら、私たちはお揃いのパジャマを購入した。


買い物を終えた後は、モールの中にあるパスタ屋さんで晩御飯を食べて帰ることになった。


「いただきまーす! ん〜、この『明太子とイカの濃厚クリームパスタ』めっちゃ美味しい!」

「私の『サーモンとほうれん草の和風パスタ』も当たりだよ。凛のトマトソースはどう?」

「うん、すっごく美味しい。」


女子3人で美味しいパスタをつつきながら、話題は当然、金曜日のお泊まり会のことへ。


「パジャマも買えたし、あとは金曜日を待つだけだね!」

「うん。でも私、実はお揃いのパジャマと同じくらい……瀬戸くんの作ってくれるご飯が楽しみだったりするんだよね〜」

「あ、それ私も! 凛がいつも『世界一美味しい』って自慢してるから、ハードル上がりまくってるよ?」


ニヤニヤとからかうように笑う二人に、私は胸を張ってドヤ顔を作った。


「えへへ、うんと期待してていいよ。朝陽くんのご飯は、本当に美味しいんだから」


美味しいパスタを食べながらも、やっぱり頭に浮かぶのは、いつも私に一番美味しくて温かいご飯を作ってくれる、大好きな彼氏のことだった。


「ただいまー……」


夜の8時過ぎ。

マンションに帰ってきた私は、自分の部屋に荷物を置く前に、隣の朝陽くんの部屋のドアをそっと開けた。

お泊まり会の準備のことで少し話したかったのだけど、リビングは薄暗く、奥のデスクの小さなデスクライトだけが点いていた。


「朝陽くん……? って、あれ」


そっと近づいてみると、朝陽くんはデスクの椅子に座ったまま、机に突っ伏してスースーと静かな寝息を立てていた。


「……寝ちゃってる」


抜き足差し足で近づき、机の上を覗き込む。

開かれたノートには、『金曜夜:オムライス、サラダ、スープ』『動画用台本案:チーズを入れるタイミングで一言』といった文字が、びっしりと書き込まれていた。


「……朝陽くん」


私の友達を最高のおもてなしで迎えるために。

そして、新しく始める動画投稿のために。

私が友達と楽しくお買い物をしてご飯を食べている間、朝陽くんは一人でずっと、こんなに一生懸命準備をしてくれていたんだ。


キュンッ、と。

胸の奥が締め付けられるように熱くなって、愛おしさがドクドクと全身に巡っていく。


私は近くにあったブランケットを手に取ると、朝陽くんの広い背中から肩にかけて、そっと優しく掛けてあげた。


「んぅ……」


ブランケットの感触に少しだけ身じろぎした朝陽くんが、寝言のように小さく呟く。


「……りん……」


「…………〜〜っ」


夢の中でも私のことを考えてくれているその可愛すぎる寝言。

思わず両手で口元を覆い、限界までニヤけてしまう顔を必死に隠す。


「……お疲れ様。私の、かっこよくて大好きな彼氏さん」


サラサラの髪を優しく一度だけ撫でて、私は彼の寝顔にこっそりと微笑みかけた。


金曜日のお泊まり会が、ますます楽しみになった。

そして、このお泊まり会が無事に終わったら……私から朝陽くんに、とびっきりの「ご褒美」をあげよう。


静かに寝息を立てる彼の隣で、私は密かにそう決意したのだった。

第259話、ありがとうございました!


今回は凛ちゃん視点での、お泊まり会直前の日常エピソードでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ