カルテットナイトへの依頼
(なずな視点)
「さて、みんな集まったところだし、僕がみんなを呼んだ理由を教えようか」
わけは一気に声のトーンを落とし、目を細めてゆっくりと玉座に座った。これはわけが大事な話をする時の癖だ。みんなの間に緊張が走る。
「ここ4年の間に、国や世界からは娯楽、産業など色々なものが消えた。その原因は魔王クシムである。それはみんなも知ってるよね?」
「えぇ。ペティーが宮殿の者をヴィラン側に操作したのも知ってるわ。
結局あの者はあっち側で始末されたらしいけれど……
ペティーは本当に何をしたと思っている
のよ……!!」
風璃はペティーへの怒りをあらわにする。
ペティーとは、魔王クシムの優秀な僕。
クシムの命令で、私たちの陣から人をゆっくり消していっている。
「風璃、その気持ちはわかるよ。
けど今回の話題はそこじゃない。
……さっき格好をつけたけど、これはいくら僕でも君たちには言いにくいものなんだ。最悪の場合、君たちは命を落としてしまう。クシムがこの世界の法則をいじったせいで、みんなそれぞれ決められた年齢で成長が止まって、死ぬまでずっとその年齢なんだ。
僕よりも小さい君たちに重いものを背負わせたくないんだよ…」
わけはものすごく言いにくそうにしている。
「それでも。それでも、わけは必死に、私たちに焼き手紙を送ってくれたんでしょ?
ちゃんと気持ち伝わってきたもん。
私はわけが1人で抱え込む必要ないと思う。教えてよ」
私は思ったことを素直に言う。
見るとみんなも頷いていた。
「そうね、なずなの言う通りよ」
風璃がわけから目を離さずに、静かにそう言った。
「わざわざ俺たちに送ってきたんだろ?それは俺たちじゃないとできない。そう思ってくれてんだろ、わけ。お前が俺たちを信用してくれているぐらい、俺たちもお前を信用してるんだからな」
今まで口を閉じていたみつるが口を開いた。
「ほら、みつるもこう言ってるし。わけ、教えてよ」
私はわけにもう一度頼む。大変なことになるのはなんとなく分かっていたけど、好奇心の方が勝ってしまった。
「……分かったよ。君たちを信じる」
わけは個人としてじゃなくて、カルテットナイトとして話を聞いてほしいという事に今更ながら気づいた。
「じゃあ本題に入るね」
ついに本題…!!
「ズバリ、君たちにはこの国を、そして世界を"彩る"活動をしてほしいんだ」
『世界を"彩る"?』
みんなの声が重なった。