カルテットナイト、ここに参上!
(なずな視点)
「やぁっと、着いたぁ!!」
私とシュージュはチルテ城に来ていた。
「こーら、騒がないの!今まで何個物壊したと思ってるの?」
「はぁい」
とシュージュは嬉しそうに言う。わけやみんなに会えるのが嬉しいんだろうな。
そうほっこりしてるとなにやらわいわい聞こえた。
「うし、いっちばんのりー!!………って、先になずちゃん達おったんかいな。
なんや、僕一人だけ喚いてアホみたいやん」
「オマエは元々アホだがな」
私のことを「なずちゃん」って呼ぶ人はこの世に1人しかいない。
「なんやとー!?」
そしてこの喧嘩っぷり。
笑いが込み上げてくる。
「涼空、大声出しちゃだめだってば、あはは!」
「ごめんな。久しぶりやなぁ、なずちゃん、シュージュ。元気やった?」
「うん、私もシュージュも元気だよ!」
やっぱり涼空だった。涼空はカルテットナイトの最年長。私、みつる、風璃は16歳だけど涼空だけ18歳。でも関わりやすくて話しやすいからお兄ちゃんみたいな感じかな。
でもアザゼルとシュージュが会ってしまうのは本当になんかやだな……
「この下級悪魔!いっつもいっつもガン飛ばしてくんなっつってるだろ!
それでも勇者様の契約魔者か!?」
「かっちーん!ボクは上級悪魔だよ!キミこそ、堕天使の中でも落ちこぼれでしょ!いつもガン飛ばしてるわけじゃないもん!りっくんが毎回可哀想だよ!」
まただ。涼空とアザゼルはケンカって感じだけど、この二人は文字通り喧嘩なんだよね…
よく飽きないね、何回やるのあなた達………
「なんだと!?」
「まだ言うの!?」
「オマエ一回表出ろ!今回こそ決着つけてやるからな!」
「こっちこそ!ボッコボッコのメッタメタのバッキバキのあんぽんたんにしてやる!」
ギャーギャー騒ぎながら、外に出ていく。
もちろん止める暇もなく。
シュージュの腕を掴もうとした右手はひらひらと空中を漂った。
「あぁ、もう………涼空、ごめんね、あとでシュージュにちゃんと言っとくから…」
「いやいや、アザゼルの方にも責任あるし、なずちゃんが悪いわけではないで。あの二人、文字通り犬猿の仲やからしゃーないねんけどな。こっちこそごめんな」
「ううん、大丈夫だよ。
……あ!」
私は気配を感じた。この気配は多分………
「風璃様、なずな様も涼空様もおられます」
「ふふ、早く着くとは言ったけれど、この二人にはやっぱり負けるわね」
「風璃!」
親友である風璃が来た。
「なずな、久しぶりね!元気にしてた?」
「もちろん!風璃も琳火も元気そうで何より!」
「わたくしの心配はご無用です。なずな様もご健在で何よりです」
琳火は相変わらず硬いなぁ。
「シュージュとアザゼルは?」
と風璃が聞いた瞬間に外で爆発が起こった。琳火はサッと戦闘体制を取る。
アレは……
「あっれれ〜、どうしたの、アザゼル!
キミの実力こんなのだったっけ〜?」
「黙れ、喚くなゴミが」
…………やっぱり、あの二人の喧嘩だわ。
「…うん、あそこも相変わらずね!」
「待って風璃、お願いだからそこは相変わらずって言わないで!」
「褒めているつもりよ?むしろ、時間が経ってもあんな感じが羨ましいわ」
「まあそうだね。
欲を言えば別のとこに使ってほしいよ、あの集中力は……」
そうぼやいていると。
「わぁい!いっちばぁん!」
「い、い、いっちばぁん、!」
ケットシーの双子が騒ぎながら出てきた。
「なずなちゃんも、風璃ちゃんも、涼空くんも琳火さんもいる!」
「け、けど、シュージュちゃんもアザゼルくんもいないよ?さっきドォン!って音が聞こえたから、多分、また喧嘩してるのかな」
キューテ、ちゃんと予想が当たってるよ…
「よぉ、なずな。久しぶりだな」
「うわっ!?」
さすがサウンドナイト、ここに来るまでの音が聞こえなかった……
「めっちゃびっくりしたんですけど!?」
「あはは、俺の勝ち〜」
「勝負とかなんもしてないじゃん!」
軽くこっちでもケンカが始まりそうだった。
みつるとは幼馴染。でも色々あって昔は一緒に住んでいた。
「よーし、みんな集まったところでアレ、やるわよ!」
風璃が急に大声で宣言した。
え、待ってアレって……
「ささ、なずなからどうぞ!」
えぇ……本当に嫌……
「わ、私やらない」
「何回やっても慣れねぇから無理」
「ホンマに恥ずい」
「なんでみんなそんなこと言うの!?
楽しいのに……」
シュンと肩を落とす風璃。
「ごめん風璃、楽しいって思うのは風璃だけ
だと思うよ」
「んん〜……じゃあやめましょうか…」
「てか最初から決めなきゃよかったのに」
みつる……あんたねぇ…
「ま、まぁまぁ…」
「しっかし、シュージュもアザゼルも大変だな」
なんの前触れもなくみつるが言ってきた。
相変わらず空気が読めない男だ。
「え?大変って何が……」
みつるは「ん。」とドアの方を指差した。
そこを見るとシュージュとアザゼルがいた。
ボロボロになっている。
「聞いてよ、お姉様!こいつ、ずっとボクのことをバカバカ言ってたんだよ!?」
「間違ったことは言ってねぇ」
「二回戦目の鐘なったよ!?」
「どこでだよ」
「ボクの中でだよ!」
「オマエの中なんか知らんがな」
二人はまたやいのやいの口喧嘩を始めた。
そこで私と涼空はアイコンタクトを取る。
カルテットナイトのカラーナイトとラックナイトの別の意味での絆見せてあげるよ。
そして、私は大きく息を吸う。
「何回やったら気が済むの、いい加減にしなさい!!!」
「毎回毎回そうやってすぐボロボロなって!
自分らの傷はいつも誰が治してると思ってんねん!!!」
…お説教です。
まったく、毎回懲りないよね。
これで怒るのは何回目なのか分かんなくなってきた。
「ふふふ、登場から騒がしいね。やっぱり、君らは仲良しさんだね」
チルテ王国の王、わけがやっと来た。
あれ?後ろのカーテン、誰かいる…?
でもわけは結構強いから敵だったら気づいてるはずだよね。
じゃあ気のせいか。