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カルテットナイト、地獄を見る

(なずな視点)

私たちは、例の場所に集まっていた。

「やっぱり、集合場所と言えばここだよね〜」

「長い間一緒にいるし、何も言わずともここに集まってるしな」

風璃と涼空もうんうんと頷いている。

「ねぇ、まだお昼下がりだけど、夜空を見てから出発しない?

 ……もしかしたら、今夜の景色が人生最後に見るものかもしれないじゃない」

「…いいけど、最後の言葉は撤回して!

 私たちは絶対帰ってくるんだから」

風璃のほっぺを両手で挟み、そう言った。

「せやな、なずちゃんの言う通りや。

 夜空に願掛けでもしとくか?」

「お前が願掛けしたら叶わない以外なくね?

 このラッキーボーイめ」

男子二人組の会話で、私と風璃は同じタイミングで吹き出した。

「ごめんなさい、なずな。

 さっきの言葉、取り消すわ」

「……!うん。

 …それじゃ、夜になるまでここでまったりしとこうよ!」

「いいわね、賛成!」

そこから、大きくなってからしたいことや昔話をした。

このメンバーで話していると、時間はあっという間に過ぎていった。

「…………ねぇみんな、見て!」

空を指さすと、満天の星と一つの月。

そして同時に優しい風が吹き、花びらが舞った。

「綺麗ね」

「……この花たちも、星もすごいよね。

 この真っ白な国で唯一色が入ってるんだもん」

「だな。

 …ま、しばらくはこの景色とはお別れだ」

「別の場所はまだここまで白くはなってないはずや。

 その時も、4人で見れたらえぇな」

涼空がそう言ってから全員が口をつぐみ、景色を目に焼き付けていた。

しばらく経った後に、誰からともなく寝袋を取り出す。

ふんわりとした花のいい香りに見送られ、私は夢の中に入った。


翌朝。

「せっかくだし、全国を回って制覇したいわね!

 クシムからの追跡とかも気にしなくて大丈夫そうだし」

昨日の幻想的な会話からは一転。

風璃のその一言で運動不足ぎみの私たちは足が終わるということを一瞬で理解した。

でも風璃、目がキラキラしてるんだよなぁ、断りづらいなぁ……

「しゃーないな。頑張ろか!」

涼空を見ると、めっちゃ作り笑いしていた。

いやいや、あんたが一番体力あるでしょうが…

「そうだね。ところどころ宿屋もあるだろうし、休み休み行こっか。

 休憩は大事だからね」

「……!うんっ!やったぁ!」

笑顔が眩しすぎる………琳火と競っても互角……

「あっ、そうだ!せっかくなら森とか池とか回って、世界を一番詳しく知りましょう、その方が旅を楽しくできるわ!」

お願い風璃、これ以上涼空の引き攣った顔見たくない…!

みつるなんかほら、タコ食べた時みたいな顔になってるから…!

あ、でも風璃たちはタコ分かんないのか。

スンッと無表情になったのが自分でもわかった。

「……なずなって表情筋よく動くわよね」

いやいや、それ、あなたが言っちゃいます…?

私たちは苦笑しながら、寝袋などを片付ける。

このタイミングで契約魔者たち(主にアモンとキューテの大はしゃぎ、シュージュとアザゼルの喧嘩)に邪魔されまくってなかなか進まなかったのはまた別の話。


(ペティア視点)

ここはクシム様のお城。

いわゆる魔王城とかいうやつだ。

「ペティー、帆影。こちらにおいで」

「!クシム様っ!!」

「クシム様」

ペティーと帆影は、クシム様の元へ駆け寄る。

「ペティー、帆影。

 カルテットナイトたちが動き出した。

 キミ達にはハイジョをお願いしたい。

 できるだろう?」

クシム様はペティーの頭を撫でながらそう言った。

「どうして?クシム様の方が強いんだから、その方が早く終わるのに?」

「頭沸いてんのか。クシム様は今現在封印されている、出られるわけないだろ」

あ、そっか……

「帆影、流石だな。僕は今封印されている。

 あのすずな、とかいう恨めしいカラーナイトに…!」

「いい、痛い!痛いよクシム様ぁ!

 そいつらに怒るのはいいけど、ペティーの髪の毛引っ張んないで!」

「あ、すまん…

 …話を変えて。2人には仲間としてカルテットナイトたちに介入し、隙を見て殺してもらう。

 いいな」

クシム様はしれっとなかったことにする。

「帆影、あまりやりすぎるなよ。

 キミはたまに暴走するから」

「自分、暴走したことない気がするんすけど」

「はい!ペティーは了解したぞっ!」

クシム様のお膝から降りて、ピシッと手を頭に合わせる。

「……分かりました。

 …ペティー、クシム様のお膝にもう一度乗ろうとするな」

「バレた…」

「そんなん余裕で分かる。当たり前だ」

「じゃあ。そろそろ戻らなくては。頼んだ」

そうしてクシム様は眠りについた。封印は1日、一定時間だけは解除できるらしい。

でもその日分の力がなくなったら戻る。

そうやってループしてるんだって。

ただ、最近は封印を解く近道を見つけたらしくて、クシム様の魔力はフル稼働。

「ねね、帆影。

 ペティーたちは、カルテットナイトたちにどうやって近づくの?」

「あいつらには顔割れてるし、変装が手っ取り早いだろうな。

 ペティー、服とか頼んだぞ。得意だろ、こういうの」

ふいっと変な方向を見ながらそう言われた。

カチンとくる。

「確かに得意だけど、ペティーへの口の聞き方がなってないんじゃないかい!?」

「チッ…」

え、舌打ちだけ!?

「あーもう!分かったよ!ペティーやる!

 ……でも、ペティーたち、名前はどうするの?よゆーでバレちゃうよ?」

「あぁ、それなら問題ない、考えている。

 ペティーは"ライアン"と名乗れ」

おお〜!

って、あれ?

「帆影は?」

「なんでもいいだろ」

「知っとかないと、カルテットナイトたちの前で帆影のこと呼べない!」

心底嫌そうな顔をされる。

「…ラガイ」

「はーい!」

んじゃぁ、帆影の名前も知れたことですし。

「パパッとつくっちゃお〜!」

「おう、頼んだ」

機織りの人形(ウィーブドール)

ペティーは特に何も考えず、お人形さんたちに手伝ってもらった。

「はい!できた!」

結構丈夫なやつができたんじゃないかな。

「はっや。さすがだな。じゃあコレ着て出発すっか」

「うん!」

カルテットナイト……

クシム様を封印し、その身を束縛した者たち……

でも、何か、失ってはいけない関係がカルテットナイトたちとある気がする。

「……ぼさっとしてる暇ねぇぞ」

「あ、うん!ごめーん!」

ペティーたちはカルテットナイトの息の根を止めなきゃ。

それが、ペティーたち"アーマー"の定めだから。

帆影はペティーに手を差し伸べた。

「ふはっ、帆影なにしてるの、あははっ」

「…?」

「あははっ!」

何もわかっていないような帆影の顔を見て、平常運転だと安心する。

魔王城にペティーの笑い声がこだました。


(なずな視点)

私と涼空の前には、撃沈しているシュージュとアザゼルの姿。

アモンとキューテはみつるから軽いお叱りを受け、拗ねていた。

さて、そろそろ出発しなくちゃ。

「みんな、出発しよっか」

「え、ええと…

 …あたしたちは全然いいんだけど、ほら、その子たちは…?

 シュージュも拗ねてるし」

「無視無視!

 片付けを邪魔してきた方が悪い!」

正直可哀想とも思ったけど、これぐらいしなきゃ今後、同じことする可能性が高い。

ううん、ある。

だってシュージュだもん。

「さぁ涼空、勝負よ!」

何を??

「風璃に負けたらアザゼルおんぶするわ」

何言ってんの??

「キモいからやめろ」

拗ねモードから先に戻ったのはアザゼルで、冷静にツッコミをする。

「あほたれ。そこはおんぶじゃなくて抱っこだろ」

みんな、本当に何言ってんの??

あほたれなのはみつるだよ。

「ちょっと黙って?5分ちょうだい。

 私の頭の情報処理速度、今めっちゃ遅いから」

「お前何言ってんの?」

「こっちのセリフだあぁ!!

 さっきの私の気持ちを思い知れ!!」

みつるはまだ首を傾げている。

……その首、曲がっちゃいけない方向に引っ張ってあげようか…

「全く………」

まあ、グチグチしてるのもあれだし。

「とりあえず最初は…

 ……………誰?そこにいるのは分かってるから、出てきた方が身のためだよ?」

みつるたちも気配に気づいたのか、近くの茂みに注意を寄せる。

「やはりバレてしまいましたか…………

 さすが、わけ様のお墨付きであるカルテットナイト様ですね」

男の人とも、女の人とも取れる声でそう言ったあと、茂みから人が出てきた。

「はじめまして、カルテットナイト様。

 ワタクシはベラフォーレル。わけ様の影でございます。"ベラ"とでもお呼びください。

 ワタクシはあなた方に情報をお伝え致します。

 みなさまのことは主人から聞いています。

 よろしくお願いいたしますね」

そう言ってベラさんは深々とお辞儀をした。

フードがついた黒色のローブを着ているから、顔は鼻と口しか見えない。

ここまで律儀に挨拶されると、面食らってしまう。

「単刀直入に聞く。今ここに来たってことは、何かあったんだな?」

さっきの言葉を謝ろうと思って開きかけた口は、みつるの言葉で遮られた。

「さすがですね。お察しの通り、深刻な問題が。

 先程、魔王軍の者が出陣したのを確認いたしました。

 しかし、何のために、というところまでは突き止めることができておりません。

 ただ注意をしておくことに越したことはございません、お気をつけを」

…ペティーたちが……

「……ありがとうございます、ベラさん。

 ちゃんと私たち、この世界を取り戻すので」

「………?

 ワタクシ、そのようなことは一言も…」

「直感ですけど、ベラさんの心も、チルテのように真っ白な気がします。

 薄情者って言いたいわけじゃなくて、何か過去に辛い経験をしてきたのかなって…」

隣のシュージュが、少し目を見開いた気がした。

「……なずな様はすごいですね。

 詳しいことは言えませんが、過去に友達が拐われてしまったんです、あの魔王に。

 そこから何もかも止まって、苦しい幼少期を過ごしました。

 できることならワタクシが助けたかった。

 けど、今のワタクシにはそんな力、残っていない。

 カルテットナイト様はチルテの光です。

 どうか、闇を暴いてくださいませ」

私たちはベラさんに別れを告げ、歩き始めた。

「…………元気そうでなによりだよ、なずなちゃん。

 もう、お母さんのことは忘れちゃってるかな…

 なずなちゃんのことをカルテットナイトって呼ぶの、結構辛かったよ」

後ろで小さな声が聞こえた。

「あの、ベラさん。今、なんて?」

「あ、いえ、特には……

 行ってらっしゃい、と言いました。お気をつけて」

ベラさんはほほえんでくれた。

私たちは顔を見合わせる。

そして。

『行ってきます!』

声を揃えてそう叫んだ。

「よーし、競争や!」

「負けないわよ!」

「ちょっと、2人ともはしゃぎすぎだよ!」

「ふっ、ほら、なずなも行くぞ」

「みつるも!?」

風璃、涼空はタタタッと走って行く。

みつるも私の手を掴んで走り出している。

最後、チラッとベラさんを見ようと振り返ると、風の音とどこかで聞こえる木の葉がすれ違う音と共にベラさんはどこかへ消え去っていた――――。

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