表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/258

詐欺に多い手口だ

この前は置いていなかった机の上のインク壺とペン立てを観察しているとオズワルド(エロオヤジ)が一人で入ってきた。

前回一緒だったスキンヘッドのゴメスという男はいない。丸めた紙を二本持ってきたオズワルドは相変わらず乱暴にソファーに座ると丸めた紙を広げ始めた。それを私とモーガンの前に投げる。

また投げんのんかい!上下がくるんとなった紙を手に取ったが、数字はわかるものの文字はさっぱり読めなかった。モーガンは紙を左手で押し広げながら書きにくそうにサインをしている。


「お前の管理者はどうした?」

「私は夕方以降に手続きしようと思います。少し到着が遅れているようですので。」


そうそう、初見で相手の事を“お前”って呼ぶ奴、軽蔑するわ。

そう言えばクラウンもそうだっけ。まあ召喚主だし、あの声で“お前”はある意味オイシイから除外とする。それにしてもこのオッサンは何様のつもりなの?まだ“貴様”の方が許せるわ、“様”だけに。

こう思っていることはおくびにも出さずにへりくだって答え、オズワルドからそっと視線を外した。だって身に着けているものまで値段が分かるんですもの!意識しないでおこうとすればするほど数字が見えてくるものだ。


「そうかそうか、ちょうどいい、だったらそこにサインしろ。」

「え?」


クラウンと一緒じゃないとダメだと言ったのはそっちではないか。

さすがにモーガンもこちらを見て目をパチパチさせている。きっとあり得ない事態なのだろう。モーガンに自分の紙を見せて書かれてあることがおかしな内容ではないか確認してもらったが、モーガンと同じものだった。


「管理者には後からサインをもらうから。お前だって先に金が欲しいんだろ?」

「申し訳ありませんがどんな書類にも勝手にサインはしないよう教えられておりますので改めて管理者と共にお伺いいたします。ランクアップもその時で構いません。」


紙を元通り丸めてオズワルドにつき返した。

管理者の部分に別の名前を書かれても困るし、モーガンに確認してもらいはしたが何かこちらが不利になるようなことが書かれていないとも限らない。こういうのは絶対に単独で判断しない方がいいに決まっている。詐欺に多い手口だ。


「ふん、なら仕方あるまい。ではそれまではギルド預かりにしておこう。」


丸めた紙を奪うように取り、顎を触りながらオズワルドはあっさりと引き下がった。

不服そうな顔をしているが特に残念がってもいない。何か裏があると思ったのだが、私の考え過ぎだっただろうか。もう出て行けと言われたので素直に従った。




ランクアップを終えたモーガンは銀色の冒険者カードに感激している。

ゲームでもランクアップやレベルアップした時はめちゃくちゃ嬉しいものだ。ちなみに私はコンシューマーのRPGだとエリアボスはワンパンで倒せるくらいまでレベル上げする方だ。絶対に負けたくない。そしてお宝の取りこぼしは許さない。余談か。


「Bランクが銀色ならAランクは金色なの?他はどうなってんの?」

「Sランクが白金だな。Cランクは俺のをさっき見ただろ?DFは鋼と鉄、あんたのが鉛だ。まあ全部強度を上げて加工されてるけどな。」

「へ~。じゃあ何で私はデリヘルだって分かるの?」


首から自分のを出してモーガンに見せると顔を赤くして、こんなところで見せるなと言われた。

三種類目の薬草探しの道すがら話すから隠せ隠せと言ってくる。とにかく服の中に戻してギルドを出た。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ