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わかっててやってるのか?

それから二人は冒険者ギルドへ向かい、薬草採取の依頼を受けた。

モーガンもお金を受け取るまではCランク扱いなのでFランクのありすと一緒でもこの依頼を受けることが出来る。採取する薬草の種類は全部で三種類だ。ローブッシュ近くの洞窟や森林に生えているという。そのうちの一つは小一時間程度で行ける範囲にあるらしいので今から二人で向かうことにしたようだ。


王都方面とは反対の街の入口から出て次の小さな街ローワンまでの途中にサスカックの群生地帯がある。

サスカックというのは薬草の一種で低級ポーションの原料に欠かせない素材の一つだ。生のままでかじってもある程度の回復は見込める。ポーションを買うお金のない駆け出しの冒険者たちはこぞって持って行く比較的見つけやすい薬草だ。笹の葉のような形状をしているが笹のようにたくさん葉は付いていない。一つの茎に一つの葉だけだ。


二人がサスカック群生地に着いた時にはもうちらほらと先客がいた。

この手の依頼は他の冒険者も同時に受けているので採取場ですれ違うこともある。単独で来ている者やパーティーでの参加者など色々だ。中には採取者の護衛依頼を受けている者もいる。比較的安全な街道沿いでは普通に生産職の者が護衛を付けて摘みに来ることが多い。万が一こういったところで魔物に出くわした時は護衛の手に負えない数だと周りの冒険者も加勢する。お互いに助け合うのが冒険者の暗黙の了解だ。


「結構いるなぁ。いい葉はこの辺りじゃ今日はなさそうだな。もうちょっと奥行ってみるか?」


辺りのサスカックの様子を見たモーガンがありすに提案する。

サスカックの成長は早い。明日の同じ時間には今の新芽が採取可能な大きさにまで育つ。そのままただ成長するだけではなく、ある程度の大きさになると枯れてまた地中から新しい芽が出る。だから無限に広がって辺り一面がサスカックになることはない。モーガンはありすを連れて街道から離れた群生地帯まで行くことにした。


ある程度離れても冒険者がいないわけではない。

他の冒険者とはうまく距離を取って、まだ採取されてなさそうな場所で二人は落ち着いた。モーガンは地面に腹這いになってサスカックの茎や葉の裏、表面を丁寧に観察している。


「いい葉っぱかどうかなんて、見てわかるの?」


すぐ傍でありすもモーガンと同じ姿勢を取り、葉を眺めながら質問する。

真剣にサスカックを吟味しているモーガンの視界にありすの横顔が映った。長いまつ毛に艶のある唇、なんとも言えない甘い香りに鼻先をくすぐられたモーガンの心臓が跳ねる。今まで普通に会話していたのが嘘のように身体が強張っていた。向こう側に髪を落としたありすのハイネックから少し覗いている真っ白な肌が余計にモーガンを興奮させる。手を伸ばせばすぐ押し倒せそうな位置でありすが寝そべっているのだ。鼻息の荒くなったモーガンは思わずごくりと生唾を飲んだ。


「あんた、わかっててやってるのか?」

「ん?わかんないから聞いてるんでしょ。教えてよ。」


ありすはモーガンの目を見つめ、そのまま頬杖をついてきょとんとしている。

モーガンは純粋に思い違いをしているありすを恨めしく思い、肘をついて頭を抱えた。動く気配がないことから瞑想タイムに入ったのだろう。


「モーガン?どうしたの?大丈夫?」

「あーーーー!くそっ!!あのなぁ、俺だから我慢出来てると思えよ!」


握りこぶしでガンガンと地面を叩き、ありすに対する邪な思いを抑え付けているモーガン。

それを見たありすは同じように地面を叩いている。どうやら葉の見分け方だと勘違いしているようだ。


「、、、、いや、それは違う。、、、、もういい、あのな、葉はな、これくらいの幅でな。」


モーガンは頭を掻きながら膝をつき、胡坐をかいて体勢を立て直すと、苦々しい顔つきでありすにいい葉の見分け方を教えた。



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