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めっちゃ臭い液体

「おい、魔族女!途中で放っぽりだして来たんじゃねぇだろうな?男誑し込んでんじゃねーぞ!」


ボルボは相変わらずありすに対して辛辣だ。

モーガンに目をやりながらもありすを威圧している。この空間だけに張り詰めたような空気が流れた。ボルボは少し顎を上げありすを見下し、ありすは眉を顰め露骨にボルボを睨みつけている。二人の間にバチバチと火花が飛び出ているようだ。

モーガンはありすが魔族だと聞いて驚きを隠せない。ありすのシニヨンカバーから少し覗いている尖った耳を確認し、尻の辺りをじろじろ観察している。周囲の客も何事かとフロントにちらちら視線を送っていた。

スバルがさっとボルボとありすの間に入って落ち着かせようと必死に手をバタつかせている。


「ボルボさん、お腹空いてるって言ってましたよね?お昼食べましょう!今日の日替わり定食は絶品だそうですよ。さあさあ、売り切れる前に行きましょう!アリスちゃん、またあとでね!バイバイ!」


スバルはボルボの背中をぐいぐい押しながらありすに別れを告げた。

チッと舌打ちするボルボをありすは見逃さない。ボルボに向かって下瞼を人差し指で下げ、盛大に舌を出した。その光景を見てマクシミリアンはクスクスと笑っている。嵐のような出来事にモーガンは棒立ちするしかなかった。


「はぁ、何で目の敵にされなきゃいけないのよ。思えば今までの日々が天国のようだったわ。あとあの女もいるのか、胃が痛いな。」


ボソッとつぶやいたありすにマクシミリアンが返す。


「マーキュリー嬢はクラウン様と一緒にお出掛けになられていますよ。」


聞かれているとは思わなかったありすはジト目でマクシミリアンを見た。

マクシミリアンは上品な仕草でありすの耳元に顔を寄せる。よかったですねとありすにだけ聞こえるように言ったあと、混雑している喫茶の方へとゆっくり歩いて行った。どこのパーティーでも諍いはあるがこれだけ相性が悪いのはモーガンも初めてだったようで若干引き気味になっている。




ボルボと同じところで食べたくないありすはそんなモーガンを無理矢理誘って別の通りの食事処に来ていた。

それなりに流行っていそうな小洒落た店で、格安のランチメニューがあった。もちろん宿屋の喫茶で食事をした方がクラウンの支払いになるのでお金はかからないのだが、ありすはお金よりも心の安寧を取ったようだった。


「で、モーガンはお金貰えるまでどうするの?」

「そうだな、さっきキルドの掲示板を見た時に数日間のクエストがあったからそれでもやろうかなって思ってる。報酬貰ってクエストも終わったら王都に戻るよ。」

「そうなの?私も一緒に受けられそう?よかったらお願いしたいわ。」


ランチメニューは白飯の上にシチューをかけたものだった。

鶏肉は柔らかく、人参やジャガイモ、ブロッコリーなどの野菜がゴロゴロ入っている。男性でも食べ応えのあるボリュームだ。サラダとスープもついている。モーガンはうまいうまいと言ってものすごい速さでたいらげていた。あまりにも美味しそうな食べっぷりにありすは自分の分も少し分けてあげている。

食後のお茶は二人ともコーヒーだ。元々モーガンはコーヒー派らしいがありすは紅茶を飲み飽きたのかミルクを多めに入れてラテ感覚で飲んでいた。


「こんなにゆっくりしてていいの?依頼取られちゃわない?」

「ああ、大丈夫だ。討伐とかじゃなく薬草採取の依頼だからな。人族は神族みたいに回復系の魔法や魔術が使えるやつが少ないだろ?薬草から作られるポーションが俺たちの命綱なんだ。採取クエストは常設だからいつ行ってもあるんだよ。」

「へぇ~、そうなんだ。ね、魔族にもポーションって効くの?」

「アンデッド系はどうか分からんが普通の魔族なら効くんじゃないのか?あんた、飲んだことないのか?」

「、、、、うん、多分。めっちゃ臭い液体は塗られたことあるけど、、、。」


ありすはニオイを思い出したのか少しえづいている。

ありすのえづき具合を見て想像を絶するような激臭がするのだろうとモーガンもコーヒーカップを置き、貰いえづきしていた。



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