表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/258

もう私は要らないのでは?

喫茶の建物に入る前に職安ギルドの様子を見た。

もう色々な道具や机などが運び込まれており、それなりにオフィスらしくなっていた。指揮を取っているのは既に最初の話し合いから参加している職員になる予定の人、ポールさんだ。

ポールさんは“ザ・凡人”を絵にかいたような特徴のない顔をしている。強いて言えばまつ毛が長いくらいだろうか。本当に特徴が無い。人混みに紛れたら絶対に見失う自信がある。こう見えて彼は伯爵家の次男でありめちゃくちゃ頭がいいらしい。家督は長男が継ぐので好きなことをしていいと言われているらしくどこかいい条件の婿養子になれないかとのらりくらりと過ごしていたそうだ。

自由だな!でも貴族っぽくないところがいい。物腰も柔らかで変な先入観もないから私が魔族だと言っても嫌な反応をしなかったのだ。逆に家柄を尋ねられ婿にどうかとまで言われた。

ホント自由だな!カミルの友達って感じするわ!

他にも職員予定者らしき人がいたが、夕方の集まりで挨拶をすればいいだろう。


喫茶の上階ではみんなせっせと掃除をしていた。

これだけの人数居たら誰かしら文句言わない?出来すぎでしょ?最近まで奴隷として心を痛めていたのではないのか。これもゲームの強制力だということにしておこう。

さてヨーコさんを連れてきたのは喫茶用の制服を作るためである。さすがに一から作るには時間が無いので既製品を少しだけ改造してオリジナルを作成してしまおうという魂胆だ。みんなには手を止めてもらってリビングに集まってもらった。

ノートとペンを持ったヨーコさんは丁寧に一人ずつ名前を聞いている。私も顔や特徴を覚えておいた方がいいと思ったので筆記用具持参である。ヨーコさんに金魚の糞のように付いて回っているのだがいったいどのようにしてサイズを測るのだろうか。取り敢えず名前、年齢等の確認は終わったのでヨーコさんに尋ねてみた。


「で、どうやって測るの?申告とかしてもらう感じ?」

「え?もう終わりましたよ。さ、仕立屋さんに行きましょう!時間が惜しいですから。」

「へ?いやいや、まだ測ってないでしょ?だって十六人もいるでしょ。」

「大体見たら分かります。もうメモしましたんで早くお屋敷のメイド服を取り扱っているお店に行きましょう!仕立屋さんまでダッシュです!」


なんだそのチート能力は。

メイドやってる場合じゃないでしょ。自分で店開きなさいよ。ツッコミどころ満載のスキルに一同閉口するしかなかった。





夕食後、またまたラハナスト侯爵邸の第二応接室である。

身内の打ち合わせにはちょうどいい広さだ。今から職員予定者とカミルを踏まえて明日のギルドオープンに向けての最終チェックを行う。


「でも、僕なんかが来てもよかったんでしょうか。角のせいで魔族と間違われちゃわないですかね?」


おどおどした口調で話すのはヤギの獣人のラミレスさんだ。

確かに魔族っぽい角をしている。耳も顎髭もヤギそっくり。獣人にも色々タイプがあるらしく、黒モフのようなそのまんま獣タイプ、角やしっぽ・耳だけが獣の所謂ラノベタイプ、獣が二足歩行しているタイプ、自らの意思もしくは何らかのきっかけで獣の姿に変身するタイプ。

ラミレスさんはラノベタイプだ。コスプレみたいでかわいいと思う。


「ラミレスはいつも気にし過ぎなのよ。何かあったら“メェ~”って鳴いとけば大丈夫だって。」


ラミレスの肩をバシバシ叩きながらけらけら笑っているのが商家の三女ジェシカさん。

肩にかかるくらいのストレートヘアで髪が邪魔にならないようにバレッタでハーフアップにしている。元気っ娘という感じがしていいムードメーカーになりそうだ。

その横で入念に資料に目を通しているのが子爵家の二女ジャネットさん。

赤いメガネに真っ赤なルージュ、髪は編み込みのシニヨン。正に秘書のような色気がある。いい人選をしたな、カミルよ。


「ハニー、申し訳ないんだけどあと一人は明日到着なんだ。いけ好かない野郎なんだけど名前はクラークと言ってチンケな商家の次男坊さ。」

「あらカミル、ドウサツ商会がチンケだって言うんならウチなんか最底辺になっちゃうわよ。」


ちょっとむくれたジェシカさんにアワアワしながらラミレスさんがお茶を勧める。

なんだかんだ言って仲がいいのがよくわかる。チームワークよさげな感じで立ち上げメンバーとしては申し分ないだろう。


「で、じゃれ合うのは構わないんだけどギルドの知名度はどうなのよ。初日から閑古鳥が鳴いてるなんて状況許さないわよ。」


眼鏡の蔓の部分をくいっと上げ、ジャネットさんが発言した。


「その点は抜かりないよ。僕が区役所で宣伝しまくったからね。当日の策も練ってあるさ。」

「カミルの策?怪しいわね。片っ端から女性に声掛けてるんじゃないでしょうね。」

「ハニーの前で誤解されるようなこと言わないでくれるかな。朝一で信頼できる数人にビラ配りをお願いしているよ。もちろん登録後に請け負ってもらう手はずだから。」


おお、なんかもう私は要らないのでは?

あとは任せてもいいよね?明日のオープン時間過ぎに元奴隷の皆さんを連れて行くと伝え部屋を後にした。あれだけの人数がいればいい客寄せになるだろう。ついでに簡単な仕事も請け負ってもらってもいいかなと思う。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ