天然ドジっ子巨乳ロリ顔女
本当にお願いを聞いてもらえるなんて思ってもみなかった。
服や髪飾りなんてもう要らないから“ご褒美”は丸一日二人でダンジョンに潜りたいと言ったのだ。どうせダメって言われると思っていたのに、なんとクラウンはあっさりと了承してくれたのだ。何か裏があるんじゃない?
早速朝からこうして冒険者ギルドに来ている。
もちろん久しぶりにこの黒の衣装を身に纏ってるんだけど、フードの縁の部分にヨーコさんが白い刺繍を施してくれている。植物の蔦のような模様がステッチされていて目立ち過ぎず地味でもないとてもいい感じに仕上がっていた。残念だが今は被っていない。黒装束だと何処の誰だか知らないのだが老人を殺した犯人と間違われかねないからだ。違う街に行けば被ってみようと思う。
反対側のカウンター奥のクラークさんに軽く手を振った。多分彼は私の横にいるのがクラウンだと察したのだろう、怖いくらいの笑顔を向けていた。
クラウンに掲示板で適当なクエストを見繕ってもらう。
よしよし、やっとRPGっぽくなってきたじゃないですか!戦闘多めでも構いませんよ!
ウキウキしながらクラウンについて行く。すると受付カウンターの手前でクラウンにものすごい勢いでぶつかって来た者がいた。
「あいたたた、、。」
見るとフリフリのスカートを穿いた露出度多めの少女がくねっと倒れ込んでいる。
ここに来てベタ展開か?だいたい曲がり角でもないのにどうしてぶつかるの?
それに見た目が一番嫌いなタイプだ。アニメやラノベで供給過多の天然ドジっ子巨乳ロリ顔女。
その少女が落としたであろう依頼書を拾い上げると、先ほどクラウンが剥がしたものと酷似していた。字が読めないから雰囲気でしか分からないのだが、多分そうだと思う。
「す、すみません!急いでいたもので。」
甘ったるい声が響く。
すぐさま立ち上がりスカートを掃っていた手を前に添え、その少女は頭を下げた。
そんなに二の腕で胸を強調しますか?”だっちゅーの”じゃねーわ!それに後ろからパンツ丸見えでしょ。それ、見せパンなのか?
どうして戦闘があると分かっていてそんなミニスカートでヘソ出して胸の谷間が見えるような紙装備なわけ?
それにそんなに急ぐようなクエストか?内容わからんけど。一日で帰って来られるようなクエストしかクラウンは選んでないはずだし。
何気なくクラウンを見た。
それはもうシベリアかというくらいの凍気を帯びた眼差しだった。そうそう、普通の反応はこうでしょ。クラウンがデレる男だったらガッカリしたところだわ。
「これ、落としたわよ。どうそ。」
私もついつい不愛想に依頼書を突き出した。
クラウンは彼女に声も掛けずにカウンターへ向かう。それを見てすっきりとした気分になった。
受付の職員から依頼内容の確認を受ける。
なるほどダンジョンの地下四階のアーマディロホーンって言う魔物を討伐して魔石をゲットするのね。まあ一日で攻略するにはちょうどいいのかな。
「あの!お二人なんですか?よかったら一時的にパーティーに入れてくれませんか?私、どうしてもクエスト成功させなきゃいけないんです!」
わぁ、びっくりした。
さっきの女、なーに割り込んできてんのよ。成功させるかどうかは自分次第でしょ?
「組む気はない。足手まといは御免だからな。」
クラウンは彼女を見て一瞬で判断したのだろう、即答だった。
どこをどう見ても熟練した冒険者には見えないからね。すると冒険者ギルドのカウンター奥からクレメントさんが現れてこちらの窓口に近づいてきた。周りからはヒソヒソ話が聞こえる。揉め事と勘違いされたかしら?
クレメントさんは私とクラウンを交互に見ている。
そうですよ、このモブに見える男は王子様ですよ。私の目を見てわかったのかクレメントさんは受付の職員を下がらせるとクエスト受注票を見ながら小声で何やらクラウンに話し掛けていた。聞かれたくない会話なのかもしれないとカウンターに背を預けるようにして振り返ると天然ドジっ子巨乳ロリ顔女が目の前に立っていた。
ちょっと!普通もっと間を空けて順番待つでしょ!
さすがにイラっとしたので注意してやった。
「ちょっと近いわよ。ちゃんと並んでもらえないかしら?」
「ふえっ、、。」
あーこれもムカつくやつだわ。
半泣きになるとき、“ふえっ”なんて言うやついる?もうホント、この手のキャラ嫌いなんだけど。思わず舌打ちしちゃったわよ。私がいじめてるみたいになってるじゃない。
「なあ、その辺にしてやってくれないか、アリス。クラウンさんもパーティー加入を許可してくれたんだ、頼むよ。」
なにーーーー?!
オッケー出したんかい!そんでもってクラウンは偽名を使ってないのかい!吉本張りにズッコケたじゃない。
「その子はリディアって言うんだ。今日だけ、な?お願いだ、頼む!ちょこっと連れて行ってすっと帰ってくるだけでいいんだ!」
クレメントさんはカウンターに頭を擦り付けて懇願してくる。
そんなことされても、こっちだってクラウンと二人だけで冒険することを楽しみにしていたのよ、困るわ。それにどうしてクラウンもオッケーしちゃったの?不満という字を顔に張り付けてクラウンを見た。
「俺も嫌なんだ。」
クラウンがぼそりと呟く。
嫌なんだったら断らんかい!もしかして訳アリ物件なの?もう一度天然ドジっ子巨乳ロリ顔女を見た。向こうもこちらを見てびくりと身体を震わせたが、目を逸らしてクラウンの方に向き直した。
「よろしくお願いしましゅ、、やだ、嚙んじゃった。」
はぁ、、、、そんな嚙み方しません。
いちいちイラつく女だわ。




