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恐るべし

再び扉を開けるとそこにはメリンダさんと黒モフが待っていた。

黒モフはクラウンをちらっと見ただけでそっぽを向いていた。なんだ王子かくらいの反応だ。メリンダさんはと言うとめちゃくちゃ驚いていて腰を抜かしている。きっとクラウンは指のリングを取っているのだろう。そうでない限りモブ姿にこれだけビックリするはずがない。

彼女は床にひっくり返って慌てふためき、長いスカートで見えはしないがM字開脚状態で膝をがくがく揺らしている。私がそちらに行くことはできないので、クラウンにメリンダさんを起こしてもらった。こうなってしまった張本人の王子様に起こされるなんて、メリンダさんには悪いことをしてしまったかな。


メリンダさんにこれまでの経緯を話し、似顔絵を描いてもらえないかお願いしてみた。

笑顔で快諾してくれた彼女はちょうど時間が空いているので今すぐにでも書きますけれどもと言っている。お言葉に甘えてそうさせてもらうことにした。もうクラウンは無視。何か言いたげな感じだったが敢えてそれどころじゃない雰囲気を醸し出してスルーした。


それからみんなを部屋に戻して似顔絵作成に取り掛かる。

ハイドさんもレイラさんも突然メイドが現れて戸惑ってはいたが、私の無言の笑みの圧で何も言えないでいる。もちろんクラークさんは知っているのでメリンダさんの隣で似顔絵を興味深そうに眺めていた。

私は途中でメリンダさんにフードを被ってこっちを見てほしいだとか、髪を少し前に持って来てほしいだとかモデルのように扱われたが、基本椅子にぼーっと座っているだけだった。もちろんその間もクラウンは無視。改めて二人になったらあのスキルの事を話そうと思う。二人きりになれればの話だ。どうせ誰かが邪魔しに来て、そうそう二人だけになれるわけないのだから。


「アリスさん、完成いたしましたよ。嬉しいことにこのお嬢さんも似ていると言ってます。」


そう言ってメリンダさんに見せられた似顔絵はとても丁寧に描かれ、まるで写真のようだった。

まあ元が3DCGみたいなゲームだから紙媒体でも映えるよね。それにしてもこの眉間の傷って刀傷とかじゃないわよね。幅が太すぎるもの。傷というより火傷っぽいのかしら。目はそんなに大きくないのに存在感があるのは黒目が大きいからだと思う。

それにしても描き上げるの、めっちゃ早くない?やっぱりカミルのところの使用人はただものではないわね。


「でもその似顔絵ではフードも強調されているからアリス君は気を付けた方がいいだろう。一応は色刷りしようと思うんだが、モノクロだと勘違いする人も出てくるかもしれないしな。」


特徴的に黒と白が前面に出されるだろうから、色が付くとしたら肌の色くらいか。

気をつけろと言われても私はこの服しか持っていない。まあフードを被らなければいけるかな。仮に疑われて襲われたとしても正義中毒の奴等なんか返り討ちにしてくれるわ!


「でしたらアリスさん、ハーフアップなんてどうですか?そうすればちょうどインナーカラーの赤い髪が目立ちますよ。」


メリンダさんがどこから出したのかヘアブラシ片手に微笑んでいる。

なるほど、それもそうか。でもヘアゴムなんか持ってないし、その辺の紐なんかだとするりと解けてしまうだろう。


「よかったら私のバレッタをお貸しします。旦那様におねだりしてみてはいかがですか?きっとお喜びになられますよ。」


そういうや否や、メリンダさんは自分のバレッタを外して私に押し付けてきた。

見るとやや小振りの可愛らしいデザインでメリンダさんの好みがよくわかる逸品だった。でもカミルに買わせるのはちょっと、、、、。

これくらいの小物ならまだ手持ちで買えなくもない。手持ちと言ってもカミルから貰ったお金も含まれているのだが。


悩んでいる間に座らされて、あっと言う間に手の込んだ編み込みのハーフアップに仕上げられてしまった。

手鏡まで渡されて髪型の確認をさせてくる始末。恐るべし、カミルのメイド。でも明日から自分で普通に手櫛で簡単ハーフアップになってしまうんだけどね。メリンダさんの差し出してくれた手鏡を見ながら少し困った顔を作ってしまった。


「アリスさん!カミルが髪留め担当ならこの僕が洋服を担当しようじゃないか!黒でまとめられているシックな装いも素敵だが、可憐な姿も見せてくれないだろうか!」


ビックリした!

クラークさん、やっぱ声デカいよ。考え事をしている時にその音量はさすがに心臓に悪いです。そして何故私に貢ぐのですか?


「あ、いや、カミル区長には頼まないですし洋服も結構ですよ。」

「アリスさんにはお世話になってますからね!それくらいはさせてください!この街にはドーサツ商会の洋服屋もありますから!では今すぐにでも参りましょう!」


私の意見はお構いなしでクラークさんはグイグイ手を引っ張ってくる。

似顔絵の方は自警団に任せるとして、さすがにメリンダさんを侯爵邸に帰さないとマズいでしょ。

そして先ほどからずっとクラウンの射殺すような視線が痛いんです。

そうだよね。スキルの話はしないわ、カミルの話は出てくるわ、クラークさんが洋服を買ってやるって言うわ、クラウンの出番がないんですものね。絶対に何も買い与えてくれはしないんだろうけれども!



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