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ホントいい人たち

陽だまり亭の一般の食事処で一人朝食を摂った後、受付で腹黒からクラウンの伝言を受けた。

今日はボルボと出掛けたらしい。朝早くからご苦労ですこと。伝言内容は明日男爵家に訪問と極シンプルなものだった。私は行きませんからねと言われたが別に来てもらわなくてもどうにでもなる。ソラナス男爵はコトネン伯爵に指名されて代わりにこの街を治めている領地なし男爵らしい。収益はこの街だけなのでその地位に必ず固執するはずだ。また他にも数名そういった領地なし男爵がコトネン伯爵領内にいることから、その立場を死守したいに違いない。こちらの要求を飲まないわけがないだろう。

はいそうですかと素っ気なく言ってモーガンの部屋に向かった。


モーガンの部屋から話声が聞こえる。

ノックをして中に入るとスイとライが来ていた。モーガンも身体を起こして食事を摂っている。


「おはようございます。体調良くなった?」

「おおアリス、おはよう!世話になっちまったな。お陰様でいい感じだ。」


モーガンは力こぶを作って笑ってくれた。

顔色も随分とよくなって、食事も普通のものが喉を通るようだった。それにしても回復するの早ない?あれだけズブリズブリと刺されていたのに。話を聞くと、どうもスイとライが特製薬草ジュースを飲ませているかららしい。昨日の昼から水代わりにずっと飲んでいるそうだ。今から飲むというので見せてもらったのだが、この世の物とは思えない色とニオイがしている。これは普通の人が飲んじゃダメなやつでしょ。

モーガンはリハビリを兼ねてもうしばらくはこの街に滞在するそうだ。仲間にも手紙を出して知らせているという。Bランクになったご褒美として羽を伸ばすのもいいだろう。





一緒にモーガンの部屋を出たスイとライは今からヒューミッド洞窟へ向かうらしい。

モーガンと私が襲われた場所だ。あの時この人たちがいなかったらモーガンはどうなっていたのだろう。もしかするとモーガン再起不能シナリオもあったかもしれない。自分の知り合った人が不幸になるのは勘弁してほしい。極悪人なら別だけど。そんなことを考えながらフードを深く被った。


「お姉ちゃん、フードは取った方がいいよ。」


スイが私のマントのフードを指差している。


「どうして?」

「今、黒っぽい服を着てフードまで被ってると間違われちゃうよ、強盗に。」

「え、マジで?」

「うん、ちょっと前からローブッシュで起こってるんだ。盗賊の件の方がすごくてそんなに表には出てなかったけど、人通りの少ない路地なんかで金品を奪われるんだよ。」

「ヤバいじゃん。手配書は出てないの?」

「それがさ、声掛けられたとたんに眠らされて誰も犯人の顔を見てないんだって。工房のオヤジが盗られた本人から聞いてるから間違いないぜ。」


ライも泊まらせてもらっている道具屋のご主人から聞いたらしい。

そういえば黒づくめがどうのこうのってパンチパーマやスバルさんが言ってたっけ。変に疑われたりしないように街を歩くのならフードを取って誰かと一緒の方がいいだろう。


「ねぇ、スイたちってこのまま街の入口まで行くのよね?よかったら自警団の近くまで一緒に行かない?」

「うん、いいよ。みんなとは街の外で待ち合わせてるから。ライもその方が嬉しいよね!」

「そりゃもちろん!こんな美人と歩けるなんて光栄だよ~。」


嬉しいこと言ってくれるじゃないですか、ホントいい人たち。

こんなクソしょーもない仕事よりもハブパラで人生を過ごしたい。原材料取ればいいだけでしょ?ソロでもいいんでしょ?んでたまにはこうやって仲間と話すんでしょ?群れるの嫌いな私にピッタリじゃん。

クラウンを王様にするなんてオーダー無かったら、自由に遊んでいいのなら、ハブパラに加入で決まりでしょう。



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