ベタ過ぎて
教会の談話室からは庭で遊んでいる子供たちが見える。
今頃はお外で遊ぶ時間なのだろうか。おままごとをする者、追いかけっこをする者、その子供たちを見守る者。人間っぽく見える者もいれば、今すぐモフりに行きたい容姿の者もいる。ああ、人間じゃなくて人族だったか。みんな人族だけど見た目で迫害されているんだっけ。見た目って言えば、目の前に座っている人の方がよっぽど怖いでしょう。
「で~、団長さんと美人さんは何でこんなところにいるのかしら~?不倫でもしてるの?」
シシャモ足を美しく組み替えたデカパイオネェ。
もう風が起こるのではないかと思うような長いつけまつげにクレオパトラ並みに引かれたアイライン、鷲鼻でぼってりとした大きな唇。もうタラコですよね。
「だ、誰が不倫だ!変な事を言うんじゃない!私は愛妻家だ!」
「え~?恐妻家の間違いなんじゃなぁい?んふっ。」
必死感半端ない中年眼鏡とケバケバしいおんなおとこの言い争い、いる?
これは必要なイベントなのだろうか。何に繋がる伏線なのだろうか。助けた子供に意味があるのか、助けたことによって知り合える彼らに意味があるのか。ガイドが無いからわからない。何かヒントになるものは無いかと必死になって捻り出していると談話室のドアが開いた。
「チィス、こんなところに居たのか。ヘンリーは眠ったぞ。しばらく休ませておくからな。テリーも手当てしといたから。」
「あら~オージン、早かったわね~。ご苦労様~。あんたもこっちに来て座りなさいな~。」
ガタイのいいオネェはオージンと言うのか。
そう言えばテリーがオー先生って言っていたような気がする。ちっすって、挨拶なの?まさか名前?わからない、もう少し考えてみよう。
「何でヘンリーはあんな怪我してんだ?まさか団長さんが追い詰めたんじゃねぇだろうな?」
ガタリと木の椅子に腰かけたオージンが質問した。
そんな乱暴に座ったら椅子が壊れますよ。ただでさえサイズが合ってないでしょう、色々はみ出しまくってますよね。
「こちらのアリス君がこの辺りを見たいと言ってな。その時にたまたま暴力を振るわれている子供を助けたんだ。」
ありす君って、そんな呼び方してましたっけハイドさん。
正面の二人の圧がものすごい。めちゃくちゃ胡散臭そうな話だと思っている目だ。
「本当かしらぁ?実は二人して連れ去ろうとしてたんじゃないのぉ?ヘンリーはオズワルドの息子よぉ。捕まえようとしたんじゃないの~。」
「だったら渡しゃしないぜ!ヘンリーは親父とは正反対の真面目で優しいいい子なんだ。無理矢理ってなら、この俺が相手してやる!」
オージンは指をポキポキ鳴らしながら凄んでいる。
なんなんですかーこの展開。偶然過ぎるでしょう、オズワルドの息子って。ハイドさんも寝耳に水のようだ。ハイドさんも知らないってどういうこと?こじつけですか?ベタ過ぎてストーリー作ったの誰ですかってレベルでしょう。
もしヘンリーがオズワルドの息子だとしたらこの教会は身分にかかわらず子供を受け入れているということになる。准男爵の子供が庶民と一緒に過ごすのだろうか。一代限りとは言え准男爵も貴族なのだから貴族同士でのお付き合いになるのでは?でも子供は平民なのか?その辺がよくわからない。深く考えるのはよそう。今はオネェたちを落ち着かせなければならない。
「誤解です、あの子がオズワルドの息子だなんて知りませんでした。たまたま倒れているのが見えて駆け寄ったんです。鱗のようなものがある子にイジメられていました。だから助けたんです。」
少し端折ったがだいたいは正しいことを言ったつもりだ。
物陰からしばらく見ていたとか、肉球をギューギューしたなどは些細な事なので話さなくてもいいだろう。




