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ダンジョン探索させろ

連れて行かれたのはあの趣味の悪い応接室。

クラウンも目がチカチカするのか若干引いていた。クレメントさんもちょっと気まずくなっている。クソギルマスの趣味なのだから気にすることはないと思うのだけれど。ギルド職員が紅茶を持ってきたのだが、その来客用のカップも見事に金と赤だった。

終わってるでしょ。


「クレメントと言ったな、オズワルド准男爵が解任になると誰がギルドマスターになるんだ?ギルド運営の事はわからんから教えてくれないか?」

「おそらく私になるかと。」


クラウンが金赤ティーカップを嫌な顔で見ながら話しかけた。

ソファーに座ったとたんにずっと俯いているクレメントさんは拳を握りしめたまま恐る恐る答えている。クレメントさんにしたらめちゃくちゃ偉い人を目の前にしている訳だから緊張もするだろう。一体何の話をするのかしら。

私を連れてきたということはランクアップの手続きをついでに済ませてしまおうということ?そう考えると私がクレメントさん側に座らされてるのっておかしくない?私はクラウン側でしょう。


「そうか、それを聞いて安心した。ここのギルドの決定権はお前にあるんだな。」

「ええ、いや、まあそうですが、正式に決まればの話になります。」

「どれくらいかかる?」

「ギルドマスターの空席は魔物絡みの緊急事態の特例以外はあってはならないことですので、本日の件を本部に伝えた時点で副ギルドマスターの私が自動的に繰り上がりますが。」

「ならメッセンジャーを飛ばして本部に直ぐに報告しろ。オズワルド准男爵は完全に黒だからな。」


クラウンは顎でくいっと指図しているが、クレメントさんは視線を落としたままなので気付いていない。

クラウンも見たら分かるでしょ。今すぐにって言ってますよと小声で教えてあげるとクレメントさんは脱兎のごとく応接室を出て行った。

クラウンとの気まずい時間が過ぎていく。耐えきれなくなったのでどうして私がここに呼ばれているのかを確認することにした。


「クラウン?」

「何だ。」

「あのー、えーっと、なんで私がこっちに座らされてるの?」

「なんだ、そんなこともわからないのか。」


そう言ってクラウンはなるべくカップに唇を付けないようにして紅茶を飲んでいる。

なんかムカつくわ。わからないから聞いているんでしょう!あー、だめだめ、やっぱりこのRPGで怒りっぽくなっている。大丈夫よ、私は大人、笑顔笑顔。


「ランクアップさせてくれるのならありがたいんだけど、違うのかしら?」


余裕の口ぶりで精一杯ニコニコしながらクラウンを見つめた。

なのになんじゃその顔は!目を細めて蔑むような雰囲気出すのはやめろ。気持ちを落ち着かせるために仕方なく下品なカップの紅茶に手を付けた。ちょっと喉を潤さないとね。


「お前はここに職安ギルドを作るんだ。期日は二週間くらいだな。街の南部のスラムにもテコ入れをしろ。」


ブーーーーーーーーーーー!!!

コントみたいに綺麗に紅茶を吹き出してしまった。紅茶が気管に入って盛大にむせ返る。もう言葉にならない。ファンタジー冒険RPGじゃないの?経営多すぎ!誰が好き好んでこんなゲームやるか!サ終って言うか開発中止しろ!

冒険者らしくダンジョン探索させろーーーーーーーーっ!!



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