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もう決着は着いたぞ

「クソっ、逃げんなよ!」


ありすの頬を切ってからというもの、ゴメスの剣はことごとく空振っている。

だんだん弾き返されることが少なくなり、今になっては僅差で避けられていた。ただありすの息は上がってきていることからスタミナ消費はかなりのものだと考えられる。

こんなに長引くとは思っていなかったのかゴメスも一度距離を取り、息を整えた。素早さと攻撃力アップの魔術は熟練度こそ低いものの、使い続けているとそれなりに魔力を食うし威力も落ちてくる。ありすから目を離さないようにして革袋からポーションを取り出し一気に煽った。


「ちょ、ちょっと!何それ、ズルいじゃない!」


離れた位置からありすが大声で怒っている。

持ち込み禁止だというルールは無いのでこの場合は知らなかったありすが悪い。ゴメスは腰を落とし何かを呟くと、またものすごいスピードでありすに近づき剣を振り下ろした。




「ポーションをいくつ持っているのか分からないが、こりゃ永久機関だな。君のデリヘルに勝ち目はないぞ。止めさせた方がいいんじゃないのか?」


いつまでも騒がしいオズワルドにうんざりしながらハイドがクラウンに話しかけた。

クラウンは耳を貸すこともなくただ私闘を見つめている。ただ見ているだけで動く気配はなかった。仮にありすに魔術の痕跡が見えたとしても身体強化系ならどうしようもない。疲弊して最後には斬られることが分かっているならば負けを認めて無傷で終わる方がいいはずだ。

こいつもデリヘルは使い潰しと思っているなと判断したハイドはクラウンから離れクレメントに近づき、肩を掴んだ。


「今すぐ止めさせるんだ。もう勝負は目に見えているじゃないか。このままだと彼女が殺されてしまう。クレメント、早く仲裁に入れ!」

「、、、、、、、。」


クレメントは無言で瞳を伏せている。

ハイドの申し入れは受けることが出来ないのだろう。


「何を言っとるんだ、この自警団の堅物が!冒険者ギルドに口出しするな!私闘は命懸けなんだぞ、死んだって文句はあるまい。なぁに、ゴメスだって殺しゃしないだろう、いい女だからな。足の一本や二本くらいで済むんじゃないか?手と口とあそこが無事なら十分に使い物になるからな、ナハハハハハハハハ!」


オズワルドはハイドを指差しながらバカでかい下品な笑い声をあげている。

憎たらしい顔と仕草ではオズワルドは天下一品だろう。ハイドは理性で怒りをぐっと堪えて、乱暴にクレメントの肩から手を放した。


「おい、もう決着は着いたぞ。」


突然のクラウンの声に三人は修練場の方へ一斉に顔を向ける。

オズワルドは膝から崩れ落ち、クレメントとハイドは自分自身の目を疑った。

それはゴメスの口に刀を突き立てているありすの光景だった。



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