ミコト&ドナルド・クラウン
盗賊10人とともに洞窟を出て僕たちは右に曲がった
出発してから1時間近く経ったんだけど
「ねぇ、ドナルド。いい加減その口調やめてくれないかなぁ。僕の好みじゃないんだよね~」
「あら、そうなの?ごめんなさいねぇ♡あたいの癖でねぇ♡」
言霊で治してもいいんだけど仲間相手に無理矢理わがまま通すのはなぁ、気がひけるんだよなぁ
我慢するしかないかぁ
話は変わるが何故盗賊を連れているのに今こんなにのんびりしていられるかというと馬車に乗りながらお茶を楽しんでいるからだ
高級な馬車に高級な白馬、高級な服に高級な紅茶、目の前の一応高級な赤スーツを着てくれているピエロさえいなければ優雅な時間となるのに
「あら♡また、あたいのこと考えてくれてるのね♡顔に出ていてわかりやすいんだからぁ♡というかこの紅茶美味しいわね♡」
「だからその口調やめてくれよぉ!」
馬車や紅茶、全て言霊によって作り出したものだ。「高級な馬車が現れる」と口にしたら実際に現れるのだ
盗賊たちは外見だけ豪華な檻に入れて運んでいる
ー1週間後
「「!」」
「何か来るわね。あたいは隠れとくわ」
「了解」
「隠密」
僕も使っときますか
「言霊“付き人よ現れろ”」
こんな高価な馬車なのに付き人がいないとかおかしいからな
ーコンコン
馬車の扉を開けるとそこには老執事と思われる格好の馬に乗っている男がいた
僕は馬車を止めた
「失礼。私はジェーリル王国王家に仕える執事のセバスと申します。遠征の帰りに第一王子のセドリック様が魔物にやられて重傷を負いました。生憎ポーションは全て使い切ってしまいこのままではセドリック様は助かりません。ポーションを持っていたらお譲りしていただきたいのです」
「それなら僕の付き人の中に回復魔法を使えるものがいる」
「っなんと!教会関係者しか使えないというあの。それはそれはありがとうございます」
あーあ、聞こえるか?今音魔法でドナルドだけに聞こえるようにした。ピエロ顔が見られたらまずいから今から仮面を作る。それをつけて回復魔法を使ってくれ
…分かったわ。でも相手が本物かどうかわからないわよ
悪い奴だとしても僕ら相手に何ができるってのさ
「この人がセドリック様です」
セバスについていくとそこには紅零様と僕レベルではないがこの世界では普通にイケメンなのではないかという少年が傷だらけで倒れていた
「回復」
ドナルドが回復魔法を使うとあっという間に傷が塞がっていった
「…ん、ぁあ、爺?私は死んだはずでは」
「…!あぁ、よかったです。この方たちが助けてくれたのです。セドリック様、体の方はどうですか?」
「うむ、大丈夫だ。そなたらにも礼を言おう。ありがとう。ところでそなたらはどこかの貴族なのか?」
困ったなぁ
「いえこれはただの僕の趣味です。そういえばセドリック様の馬車は馬がいなくて大変でしょう。できれば僕たちの馬車にお乗りください」
そうなのだ。駆けつけた時には馬はもう絶命していた。これ以上何か魔法を見せるのはよくないので言霊で出してやることもできない。紅零様のためにも友好関係を築いといた方が得策だろう
幸いにもセドリックとセバスだけだったので余裕で乗れる
ドナルドはまだ仮面をつけていてほとんど喋っていない。顔と癖を出さないためだろう
はぁ~、やりづらい旅になったな