勇者パーティー結成の流れ③
あんのパワハラジジイに朝から呼び出され、大聖堂の奥の教皇の執務室へ出向いた。歩きながら、嫌な予感がする。きっと、ろくでもない任務に違いない。
私の勘は当たるのよ。
「メディカでございます、教皇様。」
ノックをすると、「うむ、入りなさい」と、返事が帰ってきたので扉を開ける。
「お前に大事な任務がある。」
いつも偉そうにハゲジジイが今日は一層えっらそーにしている。
「公太子殿下の魔王討伐隊の打診があった。うちからは治癒魔法に長けた者を送るように要請が来たのでな。メディカや...」
一息間を空けて、
「勇者パーティーのヒーラー枠、お前に決まったから!」
なんか、ニコッとして老教皇が断言した。
「は?」
「なんと名誉なことよ、のぅ、メディカ。」
「は?なんで、勝手に決めるんですか?」
私は鋭く睨み付けた。
「うちの聖女隊リーダー格のお前しか務まらんだろうが!」
ジジイ、澄ました顔で逆ギレときた。
「討伐とか冒険とか、嫌です。」
「国の代表メンバーじゃ!」
「面倒くさいし、野宿とかもしあったらサイテー!」
「お前の役目は公太子殿下の治療がメイン。国からの充分な旅費は出るし、報酬も。」
いやいや、魔王討伐とか、命がけじゃん。いくら貰えるのよ?
「中聖堂の改修工事費用出してくれるそうじゃ。黙って教会の為に行ってくれ。」
ジジイ、売ったー
そうか、5000万で私を売ったー
「大公夫妻はとにかく、ライナス殿下の怪我、病気に一番心配されていてな。まあ、お前の仕事は殿下の治療と体力回復だけに勤しんでくれれば良いらしい。」
「でも、旅とかあり得ないー。
ここで黙って礼拝してるだけでザクザク献金入って生活出きるに越した無いし~」
私は首を横に振る。
が、
「何をゆっとる!聖堂リモデリング出きるんじゃぞ!屋根、水色にするんじゃ!」
拳握って声を張り上げる。
もう完全に私欲丸出しじゃん。
屋根、今のままでもいいじゃん。何水色にこだわってんの!
しばし、教皇と口論したが、欲深ジジイはよほど水色屋根に変えたいらしく、延々と改装工事の必要性を語り、教会で育ったくせに教会の事を考えていないとか、目茶苦茶義理が無いとか罵倒された。なんかもう、このジジイにも限界。本当に教皇なんか、この国の?!
「......分かりました、行きますよ、行けばいいんでしょ!」
「おーメディカ、よくぞ承諾してくれた!儂が中聖堂にお前をモデルにして女神像を新しく作っておくぞ!」
急にニッコリして、教皇は私の肩をパンパン叩いた。
像とか必要ないから、その分現金でなんかくれ。
こちとら、正義も名誉も関係無いし。金がいい。
現に教皇ですら、金に目が眩んでるし...
いいわ、もうこの際だから、公太子にバンバン治療して恩売っておいて、沢山礼金を公太子から貰えば、私だけの修道院とか建てて、ここと縁切ればいいんだわ。
このじーさんとはホントに暮らせないわよ!