スピルリナやアゾラ
水の中には、海水にも淡水にも、目に見えないほど小さな植物がいる。
その光合成も、魚のえさになったり二酸化炭素を吸って酸素を作ったりと重要だ。
クロレラやユーグレナをCMで見ることも多い。うまく条件を整えると、下手な作物より多くの栄養を作ることができる。
未来人が有用性を知っているのが、スピルリナだ。
天然では、とんでもない強アルカリの湖などで育つ。普通の生物が生きられないような、ある種の温泉成分がものすごく強いところで。
栄養価も高いし、何よりもクロレラと違い雑菌にやられにくい。極端なアルカリだからこそ。
アゾラも有用だろう。淡水に浮く小さいシダ植物。ラン藻類との共生で強力な空中窒素固定能力がある。
淡水とミネラルだけで、事実上無限のたんぱく質を作る。
人類が生じるよりかなり昔、北極海がいろいろあって表層が淡水になり、アゾラが大量に繁殖し沈んだことで大規模な気候変動が起きたそうだ。それほどの力がある。
単に、ものすごい規模の淡水面を作ってある程度ミネラルを入れてやるだけでも、温暖化の二酸化炭素を吸収し膨大な家畜飼料も得られるというわけだ。
またビニールのような、もっと安価な素材があれば。
アマゾン川、コンゴ川など特に流量が多い川の河口から、大陸規模のビニールプールのようなものを海面に浮かべ、それに川の淡水を流せばいい。
淡水は海水より軽いから浮く。巨大な面積の淡水でアゾラが育つ。
ほかにも、有用な生物はあるかもしれない。化石地下水からのトウモロコシに競争で勝ち、二酸化炭素を吸収して、百億人分が毎日肉を食えるようになるような。
たとえば、写真や映像として、ピンクの塩湖や飛び立つフラミンゴの群れを見たことがある人は多いだろう。
塩分がある程度以上濃い湖。ほとんどの生物は生きられない。が、極端に濃い塩水で生きられる細菌はある。それをフラミンゴは濾して食べ、その栄養の一つである色素で羽根をピンクに染める。
極端に濃い塩水。それに肥料を追加しただけ。それでも膨大な細菌が、栄養が得られる。その塩水をフラミンゴのように濾して、栄養だけ取って塩分を除くことは難しくないだろう。
味噌や醤油と同じく、とても塩分が多ければ雑菌も繁殖しにくい。その点クロレラより楽だろう。