海水で育つ作物
海水で育つ稲があったら?
ただそれだけを考えてみるといい。
それから地球儀や世界地図を眺めてみよう。
沿岸、かつ砂漠。どれだけ膨大な面積がある?
ついでに、内陸にも塩が多い土地、塩水が流れている土地はものすごくたくさんある。
そのすべてが水田に変わる。
常に塩水で流され続ける、潮汐を利用する必要はある。そのためには丁寧に土地を削らなければならないだろう。
だが、食料生産がどれほど増すだろうか。
十分使える海水で育つ稲は、研究しているところもあるがまだないようだ。ジャガイモで研究している人もあるとギガジンにあった。
だが、今の時点で、海水で育つ植物はたくさんある。
アッケシソウ、マングローブ。ラクダなど高濃度塩水を飲める家畜。ワカメやコンブなど海藻。普通の植物である海草。
話はとても単純だ。
誰もが、あの円グラフを見たことがあるだろう。地表の水の、ほとんどは海水。ごくわずかな淡水も、そのほとんどは両極の氷河。人間が使える真水、川を流れている水などほんのごくごくわずか。
なら、たくさんある海水を使えばいい。こんな簡単なことはない。
アッケシソウからは、油とタンパク質がかなり大量に得られるらしい。濃厚飼料や、油そのものを得られれば熱帯雨林を切らなくて済む。
マングローブは木材と、草と同様な粗放飼料が大量に得られる。どの程度塩分が残るかは知らないが……塩に強い家畜を使えばいい。
ラクダは高濃度の塩水・塩気の多いエサで生きられる。肉も食べられるし皮も得られる。乳も得られる。
ほかにも、塩水で生きられる動物は多数あるだろう。それこそイグアナは海岸で海藻を食べて暮らしている。
沿岸砂漠という不毛の地域を巨大な農地にする。ついでに、風力発電や太陽光発電にも最適だろう。それで自立させれば、多くの雇用と住居が得られる。
砂漠は水さえあれば心地いい住宅地帯にもなる……ラスベガスやカリフォルニアのように。風力発電で海水を淡水化し、それで生活してもいい……贅沢な階級なら、どのみちミネラルウォーターを輸入して暮らしている。
また、今の世界の環境問題をいくつか見渡してみるといい。
メキシコ湾に死の海が広がっている。黒海が死にかけている。中国では緑のペンキのような池や川。衝撃的な映像だ。
そして、地球温暖化。二酸化炭素が多すぎて世界の気候が変わろうとしている。
死の海。汚染。それは肥料だ。水の中に、肥料成分が多すぎるんだ。窒素とか燐とかカリウムとか。それで光合成する植物性プランクトンがたくさん育つけど、多くなりすぎて壊れて、まともな生物が生活できなくなる……それが水質汚染だ。
正しく使えば、たくさんの光合成になる。肥料分を栄養に変え、二酸化炭素を吸って、たくさんの酸素を出してくれる。
なぜそうさせない?
コンブやワカメのように、ものすごく成長が早く、刈っても刈ってもどんどん伸びる海藻はいくつもある。
汚染された海域の緯度に合う種類の海藻もあるだろう。ガラスの浮きの間にガラスの鎖を張って水面の浅いところに浮かべ、海藻を成長させる。ガラスの鎖を浮かぶ基地からたぐり、海藻を根元だけ残して切り取って収穫してまた海に戻す。
それを延々とやれば、海藻を大量に収穫できるだろう。人が食べるには適していなくても、たとえば発酵させるなどして、家畜の飼料にはできるかもしれない。バイオエタノールになるかもしれない。
死の海は、もったいないんだ。光合成をたくさんさせてやれば大量の食糧が得られ、ついでに二酸化炭素も吸収してくれるのに。
なぜやらない?
また巨大な口でプランクトンを濾過して食べる、ジンベイザメやマンタなどの生物がいる。
それを模倣することはできないだろうか?
始終赤潮で死の海になっているようなところで、しょっちゅうプランクトンを収穫する。
そのプランクトンは発酵させて家畜飼料にする。
なぜそれができないんだ?
できないということは採算が取れないと証明されている……本当に?
企業や国家組織という変な生物もどきが、あることをやらないことにする理由は想像を絶するほど多様だ。
うまくいけば、肉が大幅に安くなり、同時に地球温暖化も解決される。そうそう、今の肉は、化石地下水をくみ上げて作ったトウモロコシを飼料にしている……有限資源を無駄にしている。その心配もなくなる。
なぜやらないんだ?




