メガフロート都市
日本を破滅させた、バブル崩壊。
都市圏で住むための土地が異様に高くなり、社会をゆがませ、膨大な泡を作ってはじけた。
今もアメリカでは、ニューヨークでもカリフォルニアでも、極端な都市住居費用の高騰で多くの人が苦しんでいるという。
未来人が主導したもう一つの世界は、そんな馬鹿なことはしなかった。
『土地』は容易に豊穣にできるからだ。
船に住めばいいのだ。
多数の船を固い梁でしっかりつなげば、メガフロートと同じ。事実上揺れはない。
それを少しずつ広げていけばいい。
必要なのは、従来の都市や工場に容易に太い高速道路と鉄道で連結でき、真水も多量に得られ、広い領海につながる接続地。
そこから海に、まずメガフロートで鉄道と道路をつなげていく。
交通の下には上下水道・ガス・電気などのインフラもつなげる。
道路もあるが少なめ、自家用車社会にしない。
徹底的に、狭軌よりさらに小さい軽便鉄道を張り巡らせてローカル移動をまかなう。
それで、最初は家族用の小型船を、後にはそれほど豪華ではないが高層の大型客船をつなげていく。
十分な沖に、巨大コンテナ港湾と大型空港を設けることで世界との貿易・大規模な生産も容易にしている。倉庫も船を増やせばいくらでも増やせる。
『現実』の大きい路線が特急・急行・各駅停車で動くように、広軌の高速鉄道、標準軌の標準鉄道、狭軌以下の低速鉄道、元から電線で給電される電気自動車道、さらに屋根がある自転車道を組み合わせることで200キロメートル離れた地域から一時間で通勤できる。
どこに移動するのも十分に濃密。
また、あらゆる家のドアの前に一筆書きで30キログラム程度の荷物を無人で運ぶ一筆書きケーブル路をはりめぐらせることで、買い物・運送・公共図書館もレンタルビデオも貸し借り・ごみ捨てを事実上無人化、大幅にコストも下げている。
船は陸上マンションに比べて寿命が短いかもしれないが、どのみち普通の家も何十年かしたら建て替えるしかない。
海上都市なら、悪くなったら船ごと交換すればいい。
また、トイレをごく簡便に作り、人の生活と接続していながら部屋ごと交換できるようにしたことで清潔で省力化することもできている。
そして生活自体も、液体を熱で蒸発させて冷やすことを利用したガス冷蔵庫に、冷暖房・給湯器・換気扇も統合している。
冷房も『現実』のエアコンのように清掃が困難でカビの温床になる欠陥品ではなく、扇風機と液冷パイプと結露受けからなるオープンで容易に清掃できるものとしている。




