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異世界の環境

 さて、この世界のことをもう少し掘り下げてみるとしよう。

 

 意識がはっきりしてきて、「おはよう、おはよう、こんにちは!」なんて大声で叫んだら、

「どうしてうちの子が挨拶なんてしているの! あなたちょっと来て! うちの子が挨拶したの!」


こんな感じで母は大騒ぎしていた。どうやらこの世界は日本語が幾分か使えるらしい。


 赤ちゃん用ベットの上でおそらく人生で最も何もない時間をしばらく過ごしていると、家族構成やこの世界の事が少しずつだが分かるようになってきた。


 この家には父と母、そして二人の兄弟がいて三男として転生した私が生まれたようだった。父も母も恐らく、名家の育ちではなく中世ヨーロッパの農民みたいなものである。赤ちゃん(私)がいるのにも関わらず、毎日日が出ている間は農作業に明け暮れているようだった。数か月に一度怒鳴り込むやつがいる。おそらく納税する農作物のノルマに達成してないことが原因だろう。そういう時は、家にある穀物のほとんどを取られて、父がボコボコのされることによって解決される。


 そのような状況であっても、ちゃんと母乳を与えてくれた母には感謝の気持ちが尽きない。


 二人の兄弟は、一応は手伝っているがやはりいやいや農作業をやっているようだ。


 この世界についても、考察しよう。この世界は中世ヨーロッパの世界と同じ程度の技術しかないと見受けられる。母が布を作る時に使うのは機織り機で、飛び杼の付いたものではないし、照明もろうそく。一応金属製品もあるが21世紀のように見渡す限りあるものではない。服にはファスナーはついてないし、家は丸太で作ったログハウス。精々火を扱う製品と、農作業具くらいなものだろう。今はいているオムツも吸水性ポリマーなんて大層な物はついていない布オムツである。

 

 魔法についてはよくわからない。家族で今のところ使っている者はいないし、外にも今は出れないからだ。外に行けるようになるまで宿題として魔法使いのイメージを練り上げるとしよう。


 まだ、体のバランスが整っていないから立つこともやっとだし、ペンでものを書くことなんて到底できそうにもない。しかし、明日には前世の記憶と共に私の人格が消えうせるのかもしれない。だとしたら、今ある知識を出来るだけ紙に書いておきたい。


 今ある知識を有効に使えばこの世界を開発できるのかもしれない、だとしたらこれがここに転生された理由だと思う、どこまで私の知っている21世紀に近づけられるかわからないがやってみよう。おそらくこれが私の天職なのだろう。


世界を作り直す。


 これほど、やりがいがあり面白い仕事なんて他にないだろう。だとしたら早く歩いて、ペンでものを書けるようになりたい。


 早く老化が進んでほしいなんて思うことは今後ほとんど思い浮かべることはないだろうと思いながら、私はこの無駄な時間頭の中でプランを練り上げるのであった。




 


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