その勇者、2人にからかわれて困っています。
【その勇者、保育相手が増えて困っています。】の続きです。
https://ncode.syosetu.com/n6208fd/
続きは未定です。
「リト!部屋片付けろ!」
「リトの兄貴ぃ!!ご飯作ってくだせぇ!!」
有り余る要望を言い続けながら、2人は最近発売されたのだという「大乱闘スカッとブラザーズ」をしている。顔だけ見たら間抜けだが、指だけはまるで殴打してくかのようにボタンを突きまくっている。お前ら、コントローラーに親を殺されたのか?
今は姫ともう一人の男、カイというヒモ2つがいる。とても忙しくて、正直言って...。
(疲れる...。)
報われない努力に同情しながら、リトは箒の柄を握って片付けを続けた。
「そう言えば、リトの兄貴と姫って、どういう関係なんすか?」
「只の保育士と幼子だよ、特に意味はなし。」
「ええええ!?赤ちゃんプレイですか!?かなり深い仲っすね!」
...ん?なんか誤解してないか、コイツ。俺は箒の柄でカイの頭をコツン、と軽く叩くと「別にそんなことないからな。」と微笑んだ。あらぬ誤解を解くのもリトの役目であるからして。
「...そっすか...。じゃあ、只の純粋な恋仲なんですね!!」
「何でそうなるんだよッッッッ!!!!」
俺が、俺があんなだらけ者で怠け者の姫と純粋な恋仲になるはずがない!流石に微笑むことは出来なかったらしく、怒りで少し顔が崩れてしまった。
「え?リトの兄貴、でも顔真っ赤...!」
怒りで顔が真っ赤になったのかもしれない。あるいは、その手の話に免疫がないからかもしれない。気づけば僕の顔は茹でダコの如く真っ赤になっていた。恥ずかしいからか?頭がぐるぐる回ってどんどん顔が赤くなってくる。この部屋暑くないか?
僕は空気が抜けるようにして、ヘロヘロと頼りなく気絶した。
「...きて...きて...起きて...起きて!リト君!!朝ですよお!!!」
起きると姫がどアップで写ってビックリし、俺は「うわっ!」と叫んで飛び退いた。姫がキョトンとした顔をしたあと、にやっと悪い笑みを浮かべて「どうしたのぉ?」と態とらしく知らんふりして聞いた。
一つ言っておく。リトは幾ら17歳で、しっかりしているとしても、まだまだ男子だ。そして、今の姫の格好はリトを刺激するには充分過ぎるものだった。薄くて透けている紫布の下に、下着が覗いている。勿論下着と言えどワンピースの類に近いものなのだが、リトには強すぎたようだ。
しかも、胸を押しつけてきて...!
リトはまた眼の前が真っ暗になるのを感じた。
「リト君ったら、じゅうじゅーん!可愛いねぇ〜!」
「そんな免疫なしの兄貴も素敵っす!ご飯作ってくだせぇ!」
「...。」
リト・アルファン、齢17。職業は姫を助けるはずの勇者。最近気絶のしすぎで頭が痛いです。姫とカイ、2人にからかわれて困っています。