極論男・12
とあるネトゲユーザーのプロフィールにこう書かれていた。
【戦友さん募集中。常識の無い人ゎ却下です】
俺は心の中でツッコミを入れる。【ゎ】ってなんやねん、【は】だろ。
面白そうだな、俺も丁度戦友を募集してたところだ。見せてもらおうか、どれ程の常識人か。俺はハローコメントを入れる。
「良かったら、戦友になりませんか? こちらランク28です」
「さっそくの米ぁりがとぅござぃます。強ぃですね。申請しますね」
またダサい文字を遣った、親父にも遣われたことないのに〜。俺はソイツからの戦友申請を承認する。
「承認しました。戦友、末長くよろしくです」
「ゎたし、ランク16でょゎょゎですがょろしくぉ願ぃします」
正直、雑魚だ。しかし、本人が楽しんでるならいいか。
――数日後、ソイツが本性を現す。レイドボスを投げてきたから瞬殺してやった。ミッションクリア。
「ちょっと!ぃきなり倒さなぃでょ!ゎたしが攻撃ポイント稼をげないぢゃない!」
「じゃあ、次からボスを投げてこないで」
「ゎたしのバトルエネルギーが無い時だけ倒して!」
コイツ、常識が皆無だ。単なる事故中心的な奴。獅子身中の虫め! 子供のユーザーにありがちなパターンだな。大方の予想は出来てたけど。
俺はソイツのSNSプロフィールを覗いて足跡を消す。
【40代・♀】
ダメだこりゃ。
――俺は久々に課金ガシャをして最新のカードを手に入れる。ホクホク上機嫌だ。11連ガシャを2回目で出た。
早速、アイコンにする。
すると、ソイツからコメントが来た。
「アイコンのヤツゎレイドボスに倍ダメージカードですょね。それ貸してくれませんか」
「担保は? 星7スロット4ですよ」
「担保なんてぁりませんょ」
コイツは借りパクするつもりか。
「ちょっと古いヤツですが、他にボス倍ダメージカードがあるんで、そっちなら貸してあげてもいいですよ」
「ぉ願ぃします!」
俺はトレードで古いカードを渡す。すると、ソイツはいきなり戦友を解除してきた。
「やっぱり、泥棒だったか」
「何の事? ゎたしゎ知らなぃゎょ」
「トレードしたカードをよく見ろよ。星5スロット1のゴミカードだぜ?」
「そんな!ぃらなぃゎょ!こんなクズカード!」
「公式コミュニティにお前の情報を上げないとな」
「それだけはやめて!やりづらくなるから!」
「徹頭徹尾、非常識だな、お前。キモいんだよ、ババア。詐欺師は成敗!」
――今日も平和な1日が過ぎていく――