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真・恋姫†無双 魏譚  作者: 灰善
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3/7

誰だっていつか決意する

一晩中説教を食らったその日。もう空が白み始めている頃に一刀は解放された



「いい?いくら高校生にもなったからって連絡もなければ心配どころじゃないの」

「いやほんとにもう…ごめんなさい、気をつけます…」

「反省してる?」

「はい、この通りです…」


心境などを事細かく聞かされた後、申し訳なさに正座の状態から頭を下げつつ示す



「……ま、反省もしてるみたいだし、無事に戻ってきたから今回は見逃すことにします」

「はい、ありがとうござ『次はないわよ』……ハイ」



まさかこんな時間まで説教をされるとは思っていなかった。正直眠い。

…なんて、こんな事を考えている時点で良くないなぁ。

大切な人にもし何かあったら、事故でもあったらなんて考えるだけで肝が冷えるだろう。死んだりしてた暁には気が狂うかも知れない、俺だって彼女がもし命を落とすような事になったら……


ん?彼女?誰?んん?俺彼女とか居た?why…?



「…?」

「…」

「一刀?」

「…」


「…一刀!」

「ホワッ!?ハイ何でしょう!」

「反省するのはいいけど、顰めっ面は相手に良い印象は与えないわよ」



顰めっ面、誰が?…俺か。最後関係ない事を考えていたけど、どうやら反省している様に捉えられたらしい



「それで一刀。今日は日曜日でしょ?昼頃に携帯を換えに行くわよ」

「と、唐突ゥ。」

「あのねぇ、原因を作ったのは一刀でしょ?アレじゃ連絡なんて取れやしないじゃないの」

「確かにそうかも知れないけど…良いの?」



嬉しい提案ではあるが、まさか今日とは。というか日曜日だっけ?何故か日付と曜日の感覚が曖昧だ。夏休みとかに生活リズムが崩れ、時間の感覚が狂った時の感覚に良く似ている。



「次あんな木っ端微塵にしたら知らないから」



違うんです、違わないけど違うんです。気づいたらああなってたんです。原因分からないんです。

でも非常に助かる。このままじゃ親どころか友達とも連絡が取れない



「今日は急だってことで代金は払うけど、働いて返しなさいね」

「もちろん」

「じゃ、一先ず寝ること。長々と話した私も私だけど…いい加減私も眠いし寝るわ。昼になったら起こすわよ」

「はーい」

「伸ばさない。しっかり返事」

「ハイ…」




昼、寝こけた俺を母は叩き起こし寝ぼける俺を連行した。買い物にも連れて行かれ荷物持ちを強要されたが…まぁ仕方ない。甘んじて受け入れる。その上荷物持ちには慣れたものだ。

慣れる?慣れた?うむ、記憶に無い。というか思い出せない感覚に近い気がするけど。


…それにしてもショップの店員ってグイグイ来る。凄いグイグイ推してくる。明らかに「必要無いよね?」っていうオプションをさも付けて当然のように説明する。スマホケースの予備って……もしもの時に役に立つかも知れないけど、もしもっていつ何処で来るのさ…


そんな事を考えながら、古びたガラケー(鉄屑)からスマホへと乗り換えた。現状を説明した時、店員さんに苦笑いされたのは印象に残ってる。経年劣化しているような部分もあったらしいし。そんなに長く使ってない筈?だけど。

そういえばSDカードは何とか無事だったらしい。データの移行は滞りなく出来たそうだ。帰ったら操作の確認と連絡先の確認とかを済ませて慣れておかないと後々困りそうだ。



「明日までに慣れておかないと及川あたりに馬鹿にされそうだ…」



そう呟きつつ、ゆったりとした1日を過ごした







__________________________

_______________

_______

__






――――――『帰ってくる事ができる』


そう告げられた面々は、卑弥呼へ詰め寄ると共に説明を求めた。



「まぁ待てい。急き過ぎも良くない。一度落ち着くがよい」

「その通りね。私や風はともかく、他の皆々は今日初めて事情を知ったばかりでしょう、一度に情報を詰め込んでも混乱を招くだけだわ」

「おお、やはり話が分かる者がおると助かるぞ。そこの眼帯をしている娘など今にも喰ってかかって来そうな気迫をしておる」



しかし、気持ちは分かる。この世界から消えたと告げられた直後に帰って来る事が出来るなど目の前で言われたとして、落ち着けと言われても出来る人間はそうは居ない。それが愛する人であれば尚更だ。


霞と春蘭なんて最たる例だ

気が立っているようだし…冷静にならねば話を聞く事もままならない。こうした場合部下を取りなす事も重要と言えば重要だ。


(春蘭のソレは可愛いところもあるけれど…少しは落ち着いて居られるようになって欲しいものね…。一刀の事とは言えど)


と考えつつもその実、これでも結構ギリギリで取り繕っている様なものだった。元々この筋肉達磨が目の前に現れた時既に相当な衝撃を受けている。正直精神を落ち着かせるのにかなりの力を要しているが、それは表に出さない。出す訳にはいかない。


注意を受け、何とかその場に留まって居られる程まで冷静さを取り戻した面々は、話の次を促すように卑弥呼を見つめている。



「それで?先程帰ってくる事が『出来る』と言ったわね。それはどう言う事?」


溜息を吐くように『それで?』と切り出した華琳へ、卑弥呼が向き直る。


「ふむ、まずそこに気が付くのは冷静である証拠だな。王がそうでなければ周りに示しがつかん。素晴らしいものだ」


分厚い胸板を張りながらムフー!と聞こえてきそうな勢いで息を吐く筋肉達磨。あまりにも目に毒だ。


「そうだ。確かに先程『出来る』と言った。それはお主らと北郷一刀次第、という意味合いを含んでおる」

「私達と一刀殿次第、ですか?」


説明が足りない、といった目線を投げつつ問う稟に皆が頷きながら同意する。


「そうだ。この世界にはな、望みを叶える銅鏡が存在する。お主らはそれを手に入れる必要があるのだ」


『望みを叶える銅鏡』話を聞いただけでは眉唾ものだが、問えば北郷一刀はそれに触れこの世界に来たという。否定的に言えば一刀が此処へ来る事となった原因、肯定的に捉えればその銅鏡のお陰で一刀はこの世界へ降り立ったという事。

あまりに突拍子無い話だが、今はそれを信じ話を聞くしか方法は無い。


「と言う事は、北郷はこの世界へ介入することを望んで銅鏡に触れたと言うことか?」

「…いや、それには左慈という他のオノコが関与しており、北郷一刀は巻き込まれたという形なのだが…切っ掛けについては今は置いておく」



「…??。秋蘭どういう事だ?」

「姉者は…うむ、深く考えずとも良い。重要な話であるならばその都度分かりやすく説明する」

「そうか…。よく分からんが、秋蘭がそう言うならそうしよう。おい卑弥呼とやら、続けろ!」


「うむ。皆全員が理解できるよう説明したいの気持ちは山々なのだが、少々時間が惜しいでな。続けるぞ」

「先ず、北郷一刀が此処を去る事になった理由だが…それは先ほど説明していたな」

「ええ。大局…『運命』に抗った事による破滅ね?」

「そうだ。流れを変える事によって働く世界の修正力、本来の流れに戻そうとする力。これにより世界から排除されたのだ。最後の引き金は『魏国の勝利』、これによるものだろう」



先ほど風の説明を交えて話した内容だ。しかし他者の口から今一度聴くとなんとも酷い話である。

いくら歴史があろうと自分達は意思を持って、決意を持ってして勝つ為に戦った。しかし本来ならば敗北は決定しており、命を落としていた者も居る。たまったものじゃない。



「次に『外史』というものについて説明せねばならん。外史には対になる正史というものが存在し、これは北郷一刀の世界。天の国の世界の事である」

「そうなると、風たちの居るこの世界は外史、という事になりますかー?」

「理解が早いな程昱。そう、此処は外史であり、『有ったかもしれない』という可能性、もしくは誰かが『こうあってほしい』と願った世界のどちらかである」

「…そう言えば一刀が一度語っていたわね。天の国の歴史では私たちは男であったと」

「うむ、その通りだ。しかし天の国の誰かが『この時代の英傑達が女性であったならば』と空想し、思いを馳せた末にこの世界は生まれたものだと儂は推測しておる」

「それについては…感謝しているわ」


この事に関しては本当に感謝せざるを得ない。自分が女であり、皆も女性であったが故にこの関係がある上、一刀に惹かれ、愛し合うことが出来た。自分達が男性であったのならばこの気持ちを知ることも無かったのかもしれない、恋を知らなかったのだろうと考えると、怖くなった。



「だが外史にも制限はある。先ほども言った通り歴史にある程度沿った流れでしか進まない、ということだ。それが最終的な国の勝敗等に関与する事ならば猶更である。しかし変わってしまった結末はもう変えようが無い。変えようは無いが、あのオノコの体は歴史を変え過ぎた。その為先程述べた通り魏国を勝利に導いたが為に修正力が強く働き、追い出されたのだ」



いつの間にか、殺気立っていた面々も含めて皆が耳を傾けていた。その表情には怒り、戸惑いが存在したが、最も多かったのは悲しみによる物が多い。向け場所の分からない憤りを感じつつ、一刀が此処に居ない事を再確認させられた事による表情。



「そのような顔をするでない、最初に言ったであろう。帰って来る事が出来る、と。話はまだ終わっておらん、前座に過ぎん」



それぞれの視線が自分に戻った事を確認すると、卑弥呼は話を続ける



「ここからが本題である。……望みを叶える銅鏡があると言ったな?それへ北郷一刀の帰還を強く願う事によりこの世界へ御使いとして再び現れるであろう」

「…それだけ?」

「うぬらが出来る事はそれだけである」



…あまりに拍子抜けだ。何か無理難題を吹っ掛けられるのかと思えば、簡単な内容だった。強く願う事なんて当たり前の事。むしろ今はそれ以外に強い感情は存在しない。他の者も似たような事を考えているのだろう。しかし、本当にそんな事で彼を取り戻す事が出来るのか…?元はと言えば、この者の言を全部信用する事自体が――――………待て、『出来る事はそれだけだ』?

こいつは一度『お主らと北郷一刀次第』と言った。ということは、だ。



「『私達に出来る事はそれだけ』と北郷一刀次第ということは、一刀の方にも何か条件があるという事ね?」

「・・その通りだ。そして条件の前提としてだが、世界によって北郷一刀はうぬらに関する記憶を奪われておるだろう」


「なッ――――――――」



言葉を失った。この台詞の意味する事は、一刀が私たちの事、此処での出来事を完全に失っているという事。彼の中では最初から無かった事にされている――――?



「北郷一刀の条件は『記憶を取り戻し、その上で此処へ帰りたいと強く願う事』である」



言葉を失った華琳と共に、他も驚嘆の色を隠せていない



「元来持ち合わせている筈の無い記憶。天の国へと帰った際、修正力によって奪われ―――落ち着けと言っているであろう。そう悲嘆せずとも、あのオノコならばきっと思い出す筈だ」





違う。

………巫山戯るな、巫山戯るな、巫山戯るな。

出会わなかった事にされている?戦っていない事にされている?全て無かった事にされている…?

悲嘆しているのではない、変わりに身を襲うのは怒りだ。

出会いがあった。愛が生まれた。惹かれ合った。大切な人が出来た。

戦があった。死んだ兵が居た。何千、何万も。見知った顔が戦の後に居なくなる恐怖。

出会いと別れを数多く経験する中、心を折る事無く皆と共に平和を叶える為に、大切な人を死なせない為に自分の存在をかけて戦った、彼の意思と覚悟が『無かった事にされている」?

――――認められるものか。…否。許せるものか!何の権利があってそんな事が出来る?踏み躙る事が出来る?!

初めて世界へここまで憎悪を抱いた。


憎悪に駆られたのは華琳だけではなく、他も同じであり。

同時に、何をしてでも、何としてでも一刀を必ず取り戻す。言葉を交わさずとも、その誓いは皆の胸に等しく刻まれた。



「………ふむゥ。この卑弥呼、うぬらの事を見誤っておったわ。悲嘆しておるのではないようだな。何より、決意の固さはうぬらの眼から伝わる」

「―――当然よ。私たちは必ず一刀を取り戻す。何をしてでもね」

「その意気や良し。北郷一刀もここまで思われて幸せであろうな。うむむ、儂もだぁりんにここまで想われてみたいぞ…」



だぁりん?が何かは知らないが……

何としてでも取り戻す。そして次は絶対に帰らせない。欲しい者は手に入れる。もう二度と『愛していた』なんて言わせるものか。今更一刀が隣に居ないなんて、もう認められそうにない。



「銅鏡は左慈、そして于吉という二人のオノコによって管理されておる。于吉は妖術を用い、左慈はかなりの体術の使い手である」

「要するにその二人を打ちのめせば良いのだな?それなら私にもわかるぞ!」

「…うん!春蘭さまの言う通り、頑張っちゃうよ!」

「妖術ならちぃ達も多少理解があるし、力になれるかも」



春蘭、季衣、地和の三人が元気よく述べると共に、周りに活気が戻った。

希望が見えた、やるべき事が分かったこの時代の人間は非常に強い。



「しかし左慈の実力は呂布に迫る。生半可な力じゃただ返り討ちに合うだけだろう。…最悪命を落とすことになるやもしれぬ。さらに于吉は妖術へ得に長けており、人を操る事はもちろんの事。一度に数十万単位の兵を生み出す事が出来る」



「そんなもん、ウチらが更に強くなればええだけやろ?恋に迫るような強さでも、今は勝てなくても…やらなあかんのや。強くならなあかんのや。覚悟は決めてるで」

「妖術ってー、大元が倒れたら効果を無くすものばかりだからぁ…皆も兵も強くなって、計を用いればたぶん勝てる筈!」

「何十万人集おうと、下種な男の兵なんて私達の策略で捻り潰してあげるわよ」



霞、天和、桂花は既にやる気のようで、触発された皆々がそれぞれの決意を言葉にしていく。

そんな姿に卑弥呼は驚きを隠せなかったが、次第に子を見守る親の様に、優しい瞳で見つめ、決意に耳を傾けた。




(…うむ、こんな熱い想いを抱いた乙女を目の当たりにしては…応援せぬのは漢女道に反するという物だな)





「…よく聞けぃ!!現在、儂らの牽制によってあ奴等はこちらの動向には気づいておらん筈だ!」



「しかしそれも長くは続かぬ!持って1年!それ以上は隠し通す事は難しいであろうし、勘付く可能性は高い!」



「それまでに皆強くなれ!誰にも負けぬように!!此度こそ愛する者へ思いを届ける為に!」



「抗え!世の理なぞに従わず!」





「戦え!……うぬらにはその権利がある!!!!!!」



『『『『応!!』』』』




漢女の発破と彼女達の勢い良き返答はお互いの心を震わせ、覚悟をさらに確固たるものとした。

響く声は高く高く昇って天を衝く。








あまりに響き、呉や蜀の面々が何事かと起きて来た時、卑弥呼と現状の説明について苦労を費やしたのは別の話である。

1年以上後に更新って…無責任の塊…ごめんなさい…

あまりに時間が空きすぎました。もう覚えてる人がほとんどいないのでは?

今まで以上に時間が取れる…?かも…?しれない…?ので、たまーに覗きに来るぐらいが丁度いいかもしれないですね。

僕も頑張ります。




蒼天の覇王プレイしました。曹洪ちょっとヤバイですね、悶死しそうです。

ヒロインが増えると段々覚えられなくなりそうで不安だったんですが、皆個性濃くてすんごい印象に残ります。今年孫呉の血脈が出ますね。楽しみです。


急ピッチで仕上げたので誤字脱字エグいことになってそうです。指摘は…怖いけどあったらすいません、教えていただけると幸いです。


非常に遅れて申し訳ありません。重ねてお詫び申し上げます。

どうか生暖かい目で…

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