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真・恋姫†無双 魏譚  作者: 灰善
1/7

何事も終わりと始まりがある

―――――愛していたよ 華琳―――










最後に一言…彼女にそう伝えた瞬間、まるで世界から拒絶されるかのように意識はぷっつりと途絶えた











1.続く物語




「か、りん…。…ん、んあ?」


硬いアスファルトの感触を体に感じ、目を冷ました。



「……もしかして、寝てたのか?俺…。」


うつ伏せに寝ていた体を起こした後、ひとまず背伸びをして意識を覚醒させる。

眠気をある程度飛ばしたら現在置かれている状況を確かめた。


「俺…なんでこんなとこで寝てたんだ?がっつり夜だし、制服もボロボロだし薄汚れてる、何故?」


街灯の明かりの中見下ろした自分の制服は袖や裾には糸がほつれ擦り切れており、そして至る箇所に縫い直した跡がある。まるで『何年も』着続けた様な状態だった。


「……心当たりが無い」


そう呟き見上げ空には綺麗な満月が輝いていた。それを少しの間見上げていた後に今は何時だ、という疑問に当たったためまずは持っていた携帯の時計を確認しようとして―――――



「…えっ、なにこれなんで俺の携帯粉砕されてんの」



驚愕した

持っていた筈の携帯は今俺が呟いたように見事に粉砕されていた。データの復旧など夢のまた夢だと思わせるような様は正に鉄屑である。


「俺ここで寝てた…だけだよな?急に眠気に襲われて倒れただけだったとしてもこうはならないぞ」


確かナルコレプシー、だったかそんな感じの眠り病にかかってぶっ倒れたとしてもこうも見事に粉砕される筈がない。


「なんだ?俺は通り魔にでも遭った?ーーーーだとしても怪我らしい怪我は無い。…俺自体はおそらく無傷なんだよなぁ」


痛みを感じる箇所など特に無い。

しいて体に異常を感じるとするならば気のせいか筋肉が付いて体が引き締まっているのと硬い地面で寝ていたため少し体が軋む程度だ。

……本当に訳が分からない。筋肉なんて一朝一夕で付くようなものでもないし寝ている間に体に何が起こったか。どこかの仮面○イダーみたく改造でもされたか?それとも何かの妖術か。



「だけど…こんなとこで悩んでても仕方ないよなぁ。」


自分でも詳しいことは分からないこの状況、悩んだり考えたりしても意味は無いだろう。


「…とりあえず家に帰ろう。多分俺の姿と携帯見せたら母さんとんでもなく怒るだろうけど。怒髪天を衝くレベルだろうけど…」


幸いこの道は見覚えがある、確か学校の近くの歴史博物館の近くだった筈だ。

傍らに放り出されていた自分のバッグを肩にかけると足にも異常が無いことを確認しつつ走り出した。


「でも…なんだろ、何か大切な事を忘れているみたいな違和感が――。……ま、忘れてるってことは大した事じゃないんだろう」


自分の記憶に違和感を感じつつ…心なしか以前より足が速い様な気がしながら帰路を全速力で走って帰った。母が怒らないことを祈りながら。






「何してたのこんな時間まであんたは連絡も無しにいいいいいいい!!!!」

「ごめんなさいごめんなさい!?俺にも分からないんですううううううう!!」




まぁもしかしたら…なんて考えていた時期が俺にもありましたよ。でもね……祈りは届かなかったよ。神はいなかったんだ。

家に着くなり扉の前で修羅の顔をしながら仁王立ちをしていた母さん、『北郷美加』様に見つかった。逃げ場なんてあるはずなかった。第一逃げたら地獄の底まで追いかけられそうだ。



「しかも制服こんなにボロボロにして!あんたいい年して何してたの!?」

「いや分からないんだよ!落ち着いて母さん!その怒りは最もだけど!」



このままじゃ事情の説明すらままならない…。絶賛大噴火中の母を涙目になりながら必死でなだめる息子。


…後から思い出せば面白い構図だった


「はぁ、っはあ…。…それで?今まで何してたの一刀」


あ、名前呼びに戻った。母さん激怒すると名前呼びじゃなくてあんた呼びになるからなぁ。以前怒らせた時もこんな感じだったのをよく覚えてる。…その時はなんだっけ、母さんの大事な化粧台をふざけて叩き割っちゃった時だったかな?確か家の中でサッカーしてたんだよな俺。いやぁ、あの時は俺も若かった。その時の俺はまだ中学生になりたてのぐらいだった気がする…………ってこんなこと考えてる場合じゃない。説明を、説明をだな?


「俺にも詳しいことはわからないんだけど……なんか俺、アスファルトで寝てたみたい―――っていや待って無言で拳を握りしめないで!修羅の顔にならないでえええええええええええ!」

「ならもっとちゃんと順序をもって説明しなさい。いきなり寝てたなんて言われても納得できるわけないでしょう」

「いや説明っていってもなぁ………本当にこれ以上説明のしようがないんだ。一応なんとか話すけど怒らないで聞いてくれる?」

「それは一刀の話す内容次第ね。とりあえず説明してみなさい」


内容次第でどうなるんだ?そう聞きたかったけど話の腰を折るのも良くないので話し始めることにした


「んじゃ説明するけどさ…今日いつも通り学校も終わったんだけど微妙な時間帯だったから寄り道しながら帰ってた筈なんだ。んで気付いたら歴史博物館の近くの道路で寝てたんだよ。なんでそんなとこに居たのかは記憶に無い!以上」

「は?」

「いやほんとなんだよ…俺もまったく意味がわからないんだよ…」

「ならなんでそんなに制服はボロボロなの?その上になんでこんなに遅い時間帯なの?人通りがないわけじゃないだろうし見かけた人がいたら声をかけられるぐらいされたんじゃないの?」

「おっしゃる通りで…。まぁ、普通だったらそうなんだけど、なんでかこんな時間になるまで通報されることすらもありませんでした。帰るの遅くなってごめん…」


…正直内心は申し訳ない気持ちで一杯だった。もし自分の息子が連絡も無しに深夜まで帰って来ることがなかったら怒るだのなんだの以前に心配になって仕方がないと思う

しかし現状の説明はこれ以上しようが無いのでさらに話すこともなく…


「…………………はあ、もういいわ。あんたが怪我したり救急車で運ばれたりするようなことが無くて良かったわ。今度からは何かありそうなときは事前に連絡するのよ?…分かったらその泥だらけの制服を洗濯に出してお風呂に入りなさい。晩御飯はできてるわ」


大分溜めが長かったけど…やっぱり結構心配させちゃったみたいだな…、気を付けないと


「ごめん、今後心配させることが無いように気を付けるよ」


俺だって心配や迷惑をかけたい訳じゃない。

今後は用事が入りそうな時とかは連絡を入れるようにしようと心に誓った。



「…んじゃ、俺は風呂に入って汚れを―――――――っあ。」

「…?まだ何か説明してないことでもあった?」


少々不機嫌ながらも母さんは声をかけてくれたのだが……俺は返事をすることができなかった。というかそれどころじゃなかった。

なぜかって?そりゃこんな粉々のガラクタ(携帯)のことを思い出したからだよ。どう説明すりゃいいんだよこれマジで

そんな事を考えながらガタガタと震え滝のように汗を流す俺を見て母さんは何事かと驚いていた。


「一刀!?どうしたの!?やっぱりどこか怪我でも!?」

「いや…あのですね…その…」

「はっきり言いなさい!どこか痛いの!?」





「ケイタイ…コナゴナニナッテタ…」




ポケットから携帯(故)を取り出して見せながら…蚊の鳴くような…あまりにも小さな掠れた声で絞り出した一言はあまりにも情けない声量だった



「…」



「あの?母さん…?」











…その日、俺の晩飯は抜き+一晩中説教を喰らうことになった。いやほんとごめんなさい…





______________________________________

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_______

__







『成都』




「なあ秋蘭、華琳様に召集をかけられたが今日は大事な軍議でもあったか?まあ華琳様がお呼びになられたらどのような事でも駆けつけるのだが…」

「すまん姉者…実は私にも分からんのだ。それに昨日の夜から華琳様の顔が浮かない様で…事情を聞くにも今日の早朝皆の前で話す。とだけしか」

「むぅ…さらには北郷の姿も見えんではないか。部屋でまだ寝ているのか?」

「そういえば昨夜から姿を見ていないな」



「こんな早朝に召集…何のお話なのでしょうか。知っていますか?風。」


「……」


「…風…?どうしたのです?今日はやけに大人しいですね」

「…稟ちゃん、そのうち理由はわかりますよ」

「……?」



「ふぁ…流琉ぅ…眠いよぉ…」

「季衣、大事なお話があるんだと思うし寝ちゃだめだよ?私も眠いけど頑張って起きてるんだから…」

「だってぇ………ぐぅ」

「だから寝ちゃ駄目だってば…」



「まったく…華琳様から招集がかかったというのにこの二人は。というか、華琳様からの召集だというのにあの種馬馬鹿は早めに来ておかないなんて何してるのよ?また街の女を侍らせてるのかしらあの変態」



「凪ちゃぁぁん…今沙和すっごい眠いの…ちょっとだけ寝ていい…?」

「ウチもや…昨日は宴で夜遅ぉまで起きとったしえらい眠いわ…」

「二人とも、頼むからこのような場で寝るようなことはしないでくれ。そんな寝ぼけた顔隊長には見せられないぞ」

「いやー、たいちょーなら多分『その寝ぼけた顔も良いな』とか言うの…沙和わかるの…」

「せやなぁ…隊長なら平気な顔して言いそうやわぁ…――――すぅ…」

「だから寝るなと言っているだろう!!」





…最後の戦が終わり、長く続いた戦いに勝利した魏国。

戦いの後に曹操が宣言した天下三分の計が成ったこの世界

これからは国同士が助け合い平和を築いて行く

乱世を終わらせるため、民のためとそれぞれの志を抱いた三つの国が協力する―――――――そんな歴史に残るような出来事が起きた次の日、魏国の武将と軍師達は玉座の間へと集められていた。


最初の三国を交えた軍議の翌日、まだ他国の将も起きてないであろう早朝から集められたこの状況に疑問を抱きながらもそれぞれ話をして王を待つ


「…はぁ、せっかくええ酒のんで気持ち良く寝とったんにこんな朝っぱらから華琳はどないしたんや?しかも一刀もおらんし寝とんのやろか、…起こしに行ったろうかいな」



「霞。…………その必要は無いわ」


張遼の独り言を遮るかのように返事をした王…曹操が玉座の間に姿を現した


「皆、宴の余韻に浸っていたところ悪いわね、他国の将達に話す前にあなたたちに話すべきだと思ったから早朝に集まってもらったわ」

「それは別に気にしてへんからええんやけど…さっきの必要はないってどういうことや?一刀は今何しとるん?」

「……今からその事を話すわ。今日はその件で集まってもらったのよ」

「ふぅん……?まあええわ。んで、どーいうことや。なんで一刀はここにおらへんの?」

「これであの種馬が天の国に帰った、だとかそういう話だったなら最高ね。今後孕まされる心配もなくなるもの」

「桂花、流石ににそれはシャレにならんでぇ?大体そんなわけな『その通りよ』―――――――――は?」




桂花の発言に霞が冗談めかしく反応した時、華琳の一言により場が静まり返った。

その場にいた全員――風意外は驚きを隠せずにいる。今の言葉の意味がわからない、といった表情で



「ちょ、ちょい待ちや華琳。いきなり何言うとんの?まったく笑えんでその冗談」

「…冗談でこんなこと言わないわよ」


顔を引きつらせた霞が言った言葉に華琳は笑うこともなく…まるで自分に言い聞かせるようにそう呟いた。


「いきなり何?!嘘よ…信じないわよ!…あの一刀が何も言わずにちぃ達の前から居なくなるわけないじゃない!どうせそこら辺に隠れてるんじゃないの?!」

「私もちょっと信じられないかなぁ〜って…」

「姉さん達の意見に同意です…。一刀さんが天の国に帰った、なんて突然言われても信じられるわけがありません」



静まり返った場の中で口を揃えて信じられない、信じられるわけがないと発言したのは天和、地和、人和の三人だった

彼女らの言葉に同調するようにして他の者たちも同じように口々に思ったことを口走っていく。

そんな中、風だけが何も言わず黙って下を向いていた。



「風…あなた、先ほどの発言といい…もしかして今日の話がこの件だと知っていたのですか?」

「そうですね…。理由がわかると言ったのはこういうことです」


彼女は話をはぐらかすわけでもなく宝譿を使って喋るわけでもなく…今にも泣きだしそうな目でそう言った


「華琳様、北郷が天に帰っただなんて…一体どういう事なのですか!」

「華琳様…、説明を!」

「兄ちゃん…?」

「兄様…なぜ」

「嘘だ…隊長が…?何も伝えずに?!」

「今回ばっかは意味が分からんで隊長!」

「たいちょー…何も教えてくれなかったの…」


魏国の将達は皆華琳の発言に憤り、悲しみ、驚きを隠せず叫ぶ


「……ふん!やっとあの馬鹿が天の国に帰ったのね、せいせいするわ!」

「《ガシッ!》っふざけんなや桂花!言っていいことと悪いことがあるやろうが!!」

「ちょっと!離しなさいよ!」

「黙れや…!ふざけた事言うとんちゃうぞ、次ンなこと言うてみぃ!いくら桂花でも容赦せぇへんで?!」



「―――――静まりなさい!」


まるで邪魔者が居なくなった、とでも言わんばかりに悪態を吐いた桂花に霞が掴みかかった時、華琳の声が響きその気迫に押され叫んでいた者達も揃って口を閉じた

華琳は皆が黙り自分に注目していることを確認した後





「一刀は…役目を果たし、天の国へと帰ったわ」









――――――――――――――涙を流しながら震える声でそう言った王の姿を見て将達は……決して今の言葉が冗談や嘘などでは無い事を感じとった

他の偉大なる恋姫SS作者の方々に触発されて勢いでやった。後悔は…たぶんしてない!

文章の表現方法等を他作者から参考にさせていただいている部分があります。

ですのでパクリ!だとか言われるとぐうの音もでませんです…

文章力とかそういうのは初心者なので許してくださいなんでもしますから!


大分好き勝手書いていきます。魏ENDのあとがこうだったらいいなーとかそんなふわふわした感じで書いていくのでご了承くださいまし…


誤字等はできる限り減らしていく所存ですがもし残っていた場合はご指摘お願いいたします

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