表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神のくさめ  作者: paradsh
7/16

煩天四大神 1

 「はいもしもし、めぐりですう。今日もやるのかい」

 「勿論だとも。それが我々の義務であり、生き甲斐である」

 「飽きんなあ。えと、今回でとりだったかな。しかしそんなに食っては身体に悪いよ」

 廻氏はこの頃の自分の出っ張った腹をちらと見た。如何せん彼は、ダイエット中である。

 「嫌なら食わねばよかろう。だが必ず出席し給え。君は余興役だ」

 「酷い。旨そうに食う君達の顔を差し置いて延々踊り続けるなんて、あまりに僕が可哀想だよ」

 「なら食えばよかろう」

 彼らはここらの地域で噂に名高い「煩天四大神ぼんてんよだいしん」のメンバーである。「煩天四大神」とは、顔の器官が、それぞれ世にも発達した中年男性四人によって結成された、世にも奇怪な団体である。これがどういう理由で結成されたのか、そもそも何をしているのかというのは、地域住民の拭い去れない疑問であるが、その実は、四大神自身もよく理解していない。

 己がご立派なお腹を見つめて眉をひそめている穏やかそうな男は廻氏といい、彼は、神も喫驚仰天びっくりぎょうてんの視力を持っている。アフリカ住民の視力の平均は2.5であり、中には4.0という驚愕の数字を持つ者もいるという。では彼はどうなのかというと、日本の一般的な視力検査に用いられるランドルト環は2.0までしかないため測る機会がなく、彼自身も自分の視力を知らない。しかしながら、彼の力が本物であることを他の三人は先刻御承知であった。

 廻氏と電波を介して会話をしているのは「煩天四大神」頭領、利光としみつ氏である。彼は頭がよく切れる。それ故にというか、にも関わらずというか、何故かこの訳のわからない団体に無駄な叡智えいちを絞り出して、わざわざまとめる必要のないメンバーを纏めている。

 彼らは月末の土曜日、必ず宴会ですき焼きを食う。誰がどの様な目的で設置した風習かは歴史の闇に閉ざされている。一年間の月と十二支は対応しているため、その年の何番目の宴であるかを、彼らはユーモラスに十二支を使って呼んでいる。本日こそ「酉の宴」である。

 廻氏は訊いた。

 「他の二人も来るんだろうね」

 「ああ、そう言っていたよ」

 「ならいいんだ」

 「十七時、鶯座うぐいすざに集合だ」

 「了解」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ