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こくはくしたのに

それに気がついたのは高校2年のクリスマスイブ。


他の生徒会のメンバーやロリコン教師、その他様々な男を蹴散らして、バイトで忙しい彼女とカフェデートをし、とびきりのプレゼントとともに告白をした…まさにその瞬間だった。


ありがとうと抱きついてきた彼女に、本来なら幸せの頂点にいるはずの自分。それを何故か他人事のように感じている自分に愕然とした。


うろたえながら周りを見回し、ショーウインドウに映った自分達の姿に既視感を覚えた。


クリスマスツリーをバックに、茶髪で緑目の、いかにもテニスをしていそうな身なりの男が、喜び一杯に抱きついてくる彼女を抱き締めている。


あぁ、妹に見せられた乙女ゲーム『恋祭り』のエンディングスチルかと納得し、その後愕然とした。


え、てことは今腕の中にいるのがヒロインで、俺は?


記憶の彼方で、妹の声が蘇る。


『このゲーム、私のイチオシは俺様な生徒会長だけど、兄貴はこっちのヘタレワンコな会計、緑羽みどりば かけるタイプだな!性格も言動もそっくりで簡単に落とせたよ!そんな人でもクリスマスにこれだけ素敵な演出で告白するんだから、兄貴も見習うといいよ!』


悪意は無くまっすぐに下された評価にへこんだことを覚えている。

クリスマスにデートする相手もないのはお互い様だと言い返しつつも、こういう口説き方をするんだなと感心しながら説明をきいていた。


その後、たいして日がたたないうちに交通事故にあって…死んだあげくに転生していたらしい。


いっぺん死んだくらいじゃ性格は変わらなかったようで、転生後の人生も俺っぽく生きてたようだ。まぁ、顔も頭もかなり全体的に能力が上がっている分、かなり華やかになっているが。


男友達ばかりとつるみ、バカなことで笑いあい、彼女の前では緊張して格好いいところもあんまりみせられず、でも優しくされて舞い上がり。


試合に応援に来てもらうだけで有頂天になり、差し入れの料理の腕にあっさりと落ちた。


俺らしすぎて泣けてくる。


妹が言っていた通りだ。


『チョロいし浮気しても一番最後まで気がつかないし、ここで振ったら哀しそうな顔でアイツとしあわせになれよとかいっちゃう最高のヘタレ!』


そのとおり、今の今まで他のやつともデートしてるなんて考えたこともなかったさ。


記憶の中で指差して笑ってくる妹に、今まで必死で彼女を振り向かせようとしていた行動全てを見られているようでこの場から逃げ出したくなった。


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