炎の世界
「準備はできた。さぁ 行こう。」
一人あの黒く染まった雲に向かって歩き始める
今から始まる新しい僕の世界。
世界といえば宇宙があるよな、あそこは綺麗さ
でも今から行くところは僕もよくわからない。
歩くに連れて景色は白から黒に変わっていく
なんとも言えない恐怖が僕を襲う。
これを我慢すればきっと新しい世界に…。
「ようこそ。 炎の世界に来ていただきありがとうございます」
急に隣から女の声がした。
”炎の世界?” 僕はそんなところに行ったのか?
違うだろう。違うだろう。もっと違う綺麗なところ……
そんなところじゃなったのかよ。
「では、ここの条約を確かめさせてもらいます。
その壱、炎以外の者は除外する。 その弐、ここでは炎に関する
こと以外のこともできますが戦闘上炎以外を使うと敗北と見る。」
隣にいた女は淡々と条約とやらを言っているが
僕には何一つ耳にも頭にも入っていない。
僕が来たかったのはもっと綺麗なところだ。
「…。よろしいでしょうか?」
いつの間にか条約を言い終わっていたらしい。
本当に何も聞いていなかったが、後々わかってくるだろう
除外とやらは……よくわからないが。
「それでは、私はこれで。」
そういうと女は消えてどこかへ行ってしまった。
どうやらここは瞬間移動もできるらしい。そう思うと
前にいた世界よりはマシだな、とは思う。
周りを見ると一瞬で風景が町並みに変わった。人々が現れる
僕はまた決められた家へ向かった。どうやらさっきの説明の中で
家も決められたらしい。
「おーい、そこの者止まらんか」
後ろから声がかけられたから振り向くとそこには
僕の身長の半分くらいの女の子がそこにいた。
今日は女の子によく声をかけられる。
「何か用か?」
「いや、用といってもなにもないんだが今から山に行くんだ
そこにあるだろう?大きい」
「ああ、ある。一緒に行ってくれって言いたいのか?」
女…というより少女に見えるその子は少し顔を赤らめ
肯定する素振りを見せたので一緒に行ってあげることにした。
「…。ありがとう」
「別に構わない。それより何を持っているんだ?」
少女は重そうに持っていた袋を肩からおろし
中身を僕に見せてきた。
「お前…こんなにいっぱい持ってどこに行くんだ?」
少女の袋には果物がいっぱい入っていた。
袋の3分の2ははいっていた。やはり普通に多い。
「…私たちの仕事だし…。」
そういうと少女はまた袋を肩に担いで
山道を歩き始めた。