$ 1stAction
人間は噂が好きで。特に女っていう生き物は口を動かすのが大好きで。
自分より秀でていれば妬みの対象になるし、自分より劣るのならけなす対象になる。
それをわかっている賢い人達は十人並みに自分を創る。俺は男だから関係ないけど、
「聞いた?春村の話し」
「聞いた。また他人のオトコとったんでしょ?よくやるよ」
「てか何人目?」
「両手じゃたりないくらいなんじゃん?」
みんなの話題の中心で中傷の中心。本人だって自分がそういう風に言われてることを知っているだろうけど、自分のスタイルを変えない。自由に生きているのが春村青。うちのクラスの女子。
「なに、ハルムラって結構ヤルんだ」
「結構どころじゃないから。この間の食堂の事件知らないの?」
「事件?」
「あいつにオトコ盗られた先輩が頭の上から水かけて頬はつって大騒ぎよ」
「うわ、オンナってこわ」「一も気をつけなよ」
「んー、騙される前に騙すから」
「一が言うとリアルだから」
俺は世渡りは上手いほうだと思う。笑顔を作るのは朝飯前だし、駆け引きも下手じゃない。時に素直に、時にあまのじゃくに。そうやって今の地位を確立して来た。
朝比奈一。高校二年。多分持てる部類に入れてもらえると思う。別にカッコイイわけじゃない。悪くもないだろうけど。ただ表情の引き出しはとてつもなく多いし整理が行き届いてると思う。
「一はあんなの相手にしないよね?」
「どーかなあ。誘われたら行っちゃうかも。幸い怒られる彼女もいねぇし」
「だからあたしが彼女になるって」
「はいはい、考えとくわ」
なんて本気で言ってないことはお互いにわかっていて。大人の言葉を借りれば社交辞令。軽く微笑みを残しつつ教室の片隅で携帯を開く春村に視線を移した。
綺麗な茶色い髪の毛、長い睫毛に真っ白い肌。そこら辺に溢れている化粧くさい女とはひとまとめに出来ないものがある。
あれに言い寄られて彼女を選ぶ、なんてことが出来る男はこの学校にいても片手で終わる。
「一は何で彼女つくんないの?」
「ん?遊べなくなるし」
「一なら彼女出来ても遊びそうじゃない?」
「そしたら女の子泣かしちゃうでしょ。だから」
なんて、俺も営業トークが上手くなったもんだ。本当の理由は別にある。何て言うか、ピンとこない。…違うな。好きになれないんだ。




