0章 プロローグ
プロローグ
俺は日向優真、30歳。
子供の頃は空を飛ぶことに憧れ、パイロットを夢見ていたが、現実は……気づけばごく普通の中小企業でサラリーマンをしている。
いわゆる社畜と言うやつだ。
大学を出て、夢や希望に満ち溢れ、東京に上京し新卒で入った会社も、運が悪く、ブラック企業に当たり、朝8時から夜の日付が変わるか変わらないかギリギリの所まで働き、休みも1ヶ月に4日あればいい方だ。
普通なら労働基準法にも引っかかってるだろう。自分でも酷い会社に勤めてるなと分かってはいるが辞められずにずるずるとこの歳まで来てしまった。
趣味はアニメを見ることとゲームをすることくらい。
なので当たり前に彼女はおらず、交友関係も全くない。
家族は大分の田舎の方で暮らしている。俺の実家だ。
兄妹は妹が一人いたが、当時、俺が中学生で妹が小学生2年生のころ、まだ幼かった妹を事故でなくした。
俺も生きるために仕事をするだけの毎日が続き、生きがいもなく何となく生きている。
空でも飛びたい気分だが、そんな勇気もない。
そんな俺にも特技は一つだけある。
空手だ。父が空手の先生をしていて小さい頃から習ってはいたが、これといって使い道はない。
そんな毎日を淡々と過ごしていた。
1ヶ月ぶりに休みをもらえた。
普段なら休みの日は、寝て1日が終わるのだが、この日は何故か気分転換しに優雅にカフェ でも行きたい気分だった。
そしてゆったりと黒パーカーに黒の長ズボンという何とも物騒でラフな格好に着替えカフェへと向かった。
都会に住んでるということもあり、家からカフェまで5分もかからなかった。
しかしカフェについて、ふと不安になり財布を確認する。
「あれ……お金が入ってないお金下ろさないと。」
嫌な予感はあたり、財布には28円しか残ってない。
俺は近くの銀行までお金を下ろしに行くことにした。
銀行は月1生活費を下ろす程度だが、今月はまだ生活費を下ろしてなかったからちょうどいい。
そして銀行につき早速銀行のATMの機械に向かった。
「今日はやけに人が多いな。」
数分ならんで、生活費含めカフェで使うお金も一緒下ろして銀行を後にしようとしたとき…。
窓口の方から大きな音が聞こえた。
「銀行強盗だ!お前ら少しでも変な真似をしてみろ、この人質の命はないぞ!」
キャーッ!
周りが悲鳴が鳴り響く。
銀行強盗は3人。よく見る覆面を付けて、手には包丁やナイフを持っていた。
1人は窓口で包丁を突き立て金バックにつめるように指示している。
もう1人も包丁を持ちながら周りに警戒していた。
最後の1人の元には、7歳くらいの女の子が人質としてナイフを首元に突きつけられている。
女の子は怖くて泣いていて声も出せない様子だった。
その子のお母さんらしき人が泣きながら返してと懇願しながら近づこうとはしているが、いつそのナイフが娘の首を斬るか分からないので動けずにいた。
周りの人達も怯え、パニックに陥って銀行から出て逃げていった人達と、怖くてその場から動けない人で分かれていた。
俺もこの場に残ってはいたが、この状況でも冷静にいられたのは、俺には空手があるからだ。
銀行強盗3人くらいなんてことない。
隙ができる機会を伺っていたとき、
「へっくしょんっ!!」
人質をとっていた強盗くしゃみをした。
その瞬間、俺はその強盗に駆け寄りナイフを持ってる手を蹴り上げ、女の子を引き寄せ、 正拳を強盗のお腹に食らわせた。
その瞬間強盗は吹っ飛び、警戒して当たりを見ていた強盗にぶつかって2人とも倒れた。
すかさず俺は窓口でお金を取っている強盗にも近ずき、強盗の腕を後ろにまわし、取り押さえた。
俺はそのまま人質だった女の子のを見る。
泣きながらお母さんの元に戻っていた。
すぐに窓口のスタッフも警察を呼んでいた。
周りの人達も安心し、銀行を後にしていた。
これで一件落着だ。安心したのもつかの間。
バンッ!
鈍い銃声が鳴り響いた……。
「剣と魔法の世界で俺だけ素手で無双。」を読んで頂きありがとうございます!
続きを近いうちにアップするので楽しみにお待ちくださいm(*_ _)m