受精神
いや~、どもども。
ご挨拶、読んでくださいました?
えっ? 語りがおかしい?
コレはしょーがないですよ。
これから話す内容は、とてもじゃないけど重い話。
語りでも明るくしないと、暗~くなっちゃいますよ。
なのでこれからもこの語り口調でよろしく!
そうですねぇ…。
まずは「わたし」の話をしましょうか。
この話の主要・中心人物だとでも思ってください。
「わたし」の【呪いと祝福】は、複数あるんですよ。
なので一つ一つ、説明していきますね。
願わくば、最後までお付き合いくださいますよう、よろしくお願いします。
…もしかしたら気付かないだけで、「あなた」も【呪いと祝福】を受けているかもしれませんね。
【受精神】
この言葉の意味、分からないですよね?
なのでご説明します。
「わたし」の持つ、【呪いと祝福】の一つでしてね。
気付いたのは十代最後の時…いや、自覚が出たのは、ですね。
当初、私はベッドで一人、眠れぬ夜を過ごしていました。
というのも、実は夜行性なので(笑)。
しかし翌日は学校という夜なので、一応ベッドには入っていたワケですよ。
ヘッドホンで音楽を聴きながら、ぼんやりしていましたねぇ。
が、ふと額が疼きましてね。
頭の中に、白装束を着た老人男性の姿が浮かんだんですよ。
それはもう、鮮明に、ハッキリと。
その顔には何となく見覚えがあったんですけど、まあ寝ぼけているんだろうなぁと思って、そのままスルーしたんですよ。
しかし老人は真面目な顔で、ある方向を見ているんです。
その方向の先にあるのは、「わたし」の姉の部屋。
だけどあまり気にとめず、そのまま眠りに入りました。
―数ヵ月後。
親戚の人が亡くなったと母から聞かされました。
それが聞いて仰天。
「わたし」が枕元で見た、あの老人男性だったのです。
老人男性は生前、姉を凄く可愛がっていました。
ところが親戚とは折り合いが凄く悪かった為、病気で入院していたことも、亡くなったことすら聞かされなかったのです。
…まあ醜い遺産争いってワケです。
老人男性は姉に遺産を残したかったのですから。