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第十一話 到達、セルナ=イスト遺跡

その後の旅路も酷いものであった。


 そう大したことはない距離を移動する中で、二人は幾度となく魔物に襲われる羽目になったのだ。


 特にスパイン・キャスターに至っては、始めの個体を逃がしてしまったのが良くなかったのだろう…何度も何度も繰り返し襲ってきて、実にしつこかった。


 そんな有様だったので、セルナ=イスト遺跡に到着するころには…


「うぅう…こんなに何回も襲われるなんて。しかも私ばっかり狙われて…酷いです」


 ユキはその場にへたり込んで、目に涙を浮かべていた。その白く透き通るような肌には、細かな擦り傷がたくさんついてしまっている。


 ……確かに遭遇エンカウント率が高すぎる。普通はここまで魔物に襲われることはないはずなのだが。


 最近はシルフェ近郊でも魔物の姿が頻繁に目撃されていると言うし、魔物の数そのものが増えてきているのか、それとも何か別の要因があるのか…。


 それにもう一つ、気になることがあった。


 ……魔物のユキに対する執着も異常だ。なぜあそこまでユキばかりを狙う?


 本来、魔物の行動原理は単純だ。


”自身にとって最も脅威となる者を最優先で排除する”


 これは魔物が生き残るために身に着けてきた知恵であり、戦略だ。自分たちが生き残るうえで最も脅威となる存在を感知し、その存在を最優先で排除しようとする。

 だとすれば当然、魔物たちから見てアルよりユキのほうが脅威ということになるが…


 ……いや、ありえんだろう。


 傍らにぺたんと座り込み、ひぃひぃ言っている少女を見て、アルは静かに頭を振った。


 非武装で、しかも体力的にも劣る少女と、魔導銃で武装した冒険者の成人男性。

 どちらが脅威かなど、考えなくても分かることだ。


 ……魔物たちの異常行動といい、古代兵器の復活といい、妙なことが重なるな。


 到着したばかりの遺跡に顔を向け、じっと睨みつける。


 そこには、表面に苔を生やした大きな柱が数十本。

 そしてその向こうに、こちらに向けて大口を開けて聳え立つ、古代の建築物が見えた。

 その姿は全体がツタで覆われ、まるでこちらを飲み込まんと待ち構える、巨大な深緑の化け物ようでもあった。

 

 セルナ=イスト遺跡。

 

 その奥で待ち受けているものは、一体何か―…。

 

 二人にはまだ、それを知る由もなかった。


――――――――――――――――――――


 因みにこの時、ユキのバックパックは出発時に比べて大分膨れていた。


 その中身は、麻袋に入った大量の魔物素材。


 ウリゴルの牙、ジャイアントワスプの針、等々…。


 高値で取引されている部位のみを剥ぎ取っているのだが、遭遇率が半端なく高かったため大量に手にできてしまった。


 しかもアルとしては、ユキに群がってくる敵をひたすら倒すだけ。なぜか自身が攻撃対象にならないので、無傷で狩り放題。


 彼女の一億Gの価値に傷がつくリスクは負ったが、それでも何となく得をした気分になってしまうアルであった。

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