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第二十二話 迎撃!!帝国技研 ②

※一時、視点が敵側に切り替わります。

「射撃開始」

 その大柄な男の言葉とともに、隊列端左右に位置していた銃兵が、構えていた魔導銃の引き金を引いた。

―トパララララララッ!

 静かな銃声とともに、小さな魔力の礫が凄まじい速度で撃ち出される。

 狙われた紅髪紅瞳の青年は為す術もなく全身を打ち据えられ、穴だらけになってその場にどしゃりと崩れ落ちた。鮮血が地面に広がり、じわじわと吸われていく。

「ヌヒョヒョヒョヒョッ、口ほどにもない。遺跡冒険者ルインズエクスプローラーは優秀とは聞きますが、所詮は冒険者。正規の軍隊の前ではこの程度でショウ。…あぁ皆サン、女の方は殺してはなりまセンよ。まだ楽しみようがありマスからね」

 ゲフィスが高笑いし、古代人オルトニアの娘を庇うようにして立つ、濃藍の髪の女性へと目をやる。うまそうな肢体だと舌なめずりし、彼女らを囲む兵士たちの幾人かが厭らしい笑みを浮かべた。

 そして、

「が―…ッ!?」

 兵士たちの隊列の中心に立っていた、大柄な男―…アマレ曹長。

 彼の胸から、紅く透き通った魔力の刃が、突然に生えた。

「……は?」

 周りの兵たちの誰もが唖然としてその様を見つめる中。

 刃が引き抜かれ、ブシュッと音を立てて胸から赤い液体を吹き出した後、アマレ曹長の身体は見る見るうちに白い塵になって消えていく。

 この世のありとあらゆる生き物はすべて、身体のどこかにコアと呼ばれる魔力の源を持っている。空気中の魔素を吸収し、魔力に変換、貯蔵するその器官を破壊されると、すべての生き物は死に至り…このように塵になって消えてしまうのだ。

 人のコアの位置は、心臓の少し右あたり…丁度、胸の中心に位置する。アマレ曹長はコアを壊されて死んだのだと、誰の目から見ても分かった。

 そして、彼を背後から突き刺した人物を見て、

「ヌヒョォォ!?バカな、貴様はさっき…!!」

 ゲフィスは素っ頓狂な悲鳴を上げて後ずさった。

 無理もない。そこに立っていたのは、さっき自身の分隊が始末したはずの、紅髪紅瞳の青年だったからだ。その両腕からは、今さっきアマレを死に至らしめたであろう魔力の刃が、煌々と紅く輝いて生えている。

「…まずは1つ」

「貴様ァ!よくもアマレ隊長をォ!」

 装備品だけを遺して塵になってしまった分隊長。

 その隣に立っていた剣兵が激高し、その男へと斬りかかった。

 袈裟斬りの一撃は見事に相手の姿を捉え、紅髪紅瞳の青年の身体を無残に引き裂く。

 …が、その姿は一瞬にして、煙のようなエフェクトを残して消えてしまった。

「…二つ」

「なっ―…ぁっ!?」

 剣兵が目を見開くとほぼ同時に、今度は彼の背中から魔力の刃が生えた。いつの間にやら紅髪紅瞳の青年は剣兵の懐へと潜り込み、身体ごと押し付けるようにして魔力の刃を挿し込んでいた。

 先程と同じく、コアをやられたらしい。剣兵の身体は、風に吹かれ白い塵になって消えていく。

「い、今のは!」

「幻影だッ」

「俺たち、幻惑魔法にかけられてるぞ!」

 狼狽える兵士たち。士気が下がり、隊列が乱れる。

精神魔導士メンタリスト幻影消去魔法アンチ・ファントムデス!急ぎなサイ!」

「ぎょ、御意!」

 ゲフィスに命じられ、ハッと我に返った精神魔導士メンタリストが、術を打ち消すべく奮闘し始める。

 だがその間にも、紅髪紅瞳の青年は、幻影を纏って容赦なく彼らへと襲い掛かった。

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