これはケモ耳じゃない!
砂の舞い上がり視界の悪くなったコロシアムで、歓声がひと際大きくなる。勝負は決したようだった。しかし結果はまだ分からないままだ。戦いの渦中にあった主人公のトベルは、十歳ほどの身長で、清水に映る新緑のような目をしており、軽装備の兜からはケモ耳が見えている。白い柔毛も鎧から少し覗かせている。一見すると人間の娘のような顔からは汗が流れていた……。緊迫した空気を割るように、王国一の猛者、ジンライが高らかに笑い出し、トベルに話しかける。そこからすべては始まった。ブクマ、評価、感想などいただけたら嬉しいです。