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85 登城と登場

ご愛読ありがとうございます。


拙い文章ですが、面白いと思って頂けましたら“ブックマーク”や“いいね”、“感想”等にて応援頂けると幸いです。


これらの応援は執筆に際しての大変励みなりますので宜しくお願いします。

ヴァンデール王国の北部に位置する王都オーグヴァイネ。

その北側には王城が坐しており、小高い岩山の一部をを切り崩したその上に築かれている。

その岩山から連なるように円を描き築かれた城壁は高さ十メートルにも達し、その直径は六キロメートル、周長は十八キロメートルにも及ぶ壮大な物であり、人口は優に四万人を超えていた。

その城壁は土魔術で造られたとおぼしき巨大なブロック状の岩石を積み重ねて築かれており堅牢さも観て取れてるモノであった。

この都市の特徴としては、城郭の他に西から東へと都市を貫く様に川が流れており、そこから枝分かれする様に人口水路が都市の中に張り巡らされ運河として用いられている。

また、豊富な水資源によるものか都市内には緑が多く見受けられるであった。


王都オーグヴァイネに到着したフロレアール達は真っ先に王城へとは向かわずに都市観光を満喫していた。

王都が初めてと言うか他の街の経験がかなり薄いカルチナ、キャローナは、二人で腕を組みながら田舎者の御上おのりさん状態を全開に周囲の目を気にすること無くキョロキョロとせわしなく街並みなどを眺めがら楽しそうに王都を満喫していた。

そんな二人より更なる田舎者のフロレアールは以外にも澄まし顔でユッタリと落ち着きながら街並みなどを眺めていた。

だが、その実、彼女は認知加速を全開に分割思考も駆使して王都観光に挑んでいた。

そして残るカテジナは王都は初めてでは無いとのことでフロレアール達の観光案内を務めていた。

こうして王都観光に勤しむこと四日、遂には目欲しい名所等をほとんど巡り終えたのだった。

そして王都到着から五日目、フロレアールのみが別行動をとる事となる。

それはカテジナ、カルチナ、キャローナが振興劇の鑑賞を熱望したためであった。

そう、フロレアールが実姉テルミドールとこの国の第二王女メローネが元ネタとなった物語である。

男装の麗人と王女との出会い、そして己が騎士と王女との立場、そして同性との二つの禁忌に抗う百合ラブロマンスであり、舞台初日から一年近く続く今でも夜の部は連日完売、昼の部も大半の公演が満席になる程の人気だそうである。

王都に到着してから早い段階でカテジナが歴史ある演劇場との事で案内した際に昼夜二公演通しで席を押さえる事が叶ったとダカラ好き歌劇団の鑑賞券を手に三人が嘆願してきた為であった。

元々実姉が元ネタの劇なんぞ興味皆無なフロレアールは白けた目で見つめながら鑑賞の許可をだし、自身は王都へと向かい国王へのアポ入れを行う意向を三人に伝えたのであった。


そして迎えた五日目の朝、四人揃っての朝食を摂り終えるとフロレアールは単独行動を開始する。

ずは朝市や商店街、居住区などのさきの四日間では巡ることが無かった王都内を見て巡り、気になる物等があれば試食をしたり話を聞いた上で品物を購入するなどして過ごしていた。

そして日が高くなり始めた頃に緑が多く人気ひとけが少ない公園的な場所へと移るとタワワなお胸の間からステータスプレートを取り出す。

探知により周囲に他者が居ない事を改めて念入りに確かめた上で己のステータスプレートを更新する。

そしてユニークスキル従属の簒奪者に付随する様に記されている簒奪値を確認するのだった。

そこに記されている値は18753に達していた。

これはチェーネを発った後に立ち寄ったフォゲーラなどの街町に加え、この王都での観光などによる街歩きの成果であった。

その数値を確かめたフロレアールは自身の力を試す為にその姿を消すのであった。


カテジナ達がダカラ好き歌劇団の“ヴァンデールの百合”昼公演を見始めた頃、フロレアールの姿は王城正門へと至る道にあった。

本来ならば王城へ徒歩で向かう者は少ないとは思いながらもフロレアールは臆することなく真っ直ぐに門の前に佇む騎士風の男の元へと向かうのであった。



門兵は閉ざされた正門の中央と左右に各二名が配されており、各々が鉾槍ハルバードを片手にの根元の石突(石突)をを地面へと突き刺し、微動だにせず直立している。

フロレアールは収納から国王エヴィエオードスからの招聘状とバースニップからの国王宛の親書を取り出し、更には胸元から自身の偽装隠蔽済みのステータスプレートを取り出し、それらを手に携えて正門中央に立つ門兵へと歩み寄る。


「娘!そこで止まれ!これより先は王城たるオーグヴァイネ城である!これより先は正当なる理由無き者は進むこと叶わん!」


正門中央に立う門兵の一人が警告とも取れるその叫びにを上げる。

それに併せ正門の左右に配されている門兵が天へと向けていた鉾槍ハルバードの鉾先をフロレアールへと向けて構える。


「私の名はフロレアール。“紅華べにばな”の二つ名を有するA級冒険者です。この度は国王陛下の直轄領を救ったえにしにより陛下より招聘状を賜り、れにこたえて参りました。本日は直轄領代理領主たるバースニップ卿より預かりました陛下宛ての親書を届けると共に拝謁に関する申し入れの為に参じました」


そう言ってフロレアールは招聘状と親書、己のステータスプレート、それらを門兵へと差し出す。


「承知した。済まないが招聘状や貴殿きでんのステータスプレートなどを改めさせて貰う」


先の叫びとは異なり威圧感を感じをさせない声で門兵がこたえると正門中央に居るもう片方の門兵が歩み寄り、招聘状などを受け取ると先の叫びを発しった門兵へと届け、その者が改めてを確認する。

確認を終えた門兵がフロレアールの元へと歩み寄り招聘状と親書、そしてステータスプレートをフロレアールへと返却する。

そしての門兵は一礼した後に口を開く。


「フロレアール殿、先程は失礼致しました。お許し下さい」


の一言で鉾槍ハルバードを構えていた者たちは元の姿勢に戻ると再び直立する。


その言葉と他の門兵らの動きからフロレアールは応えを返す。


「お気になさらずに。貴方方あなたがたは任を全うしただけの事ですから。逆に当方の無作法をお許し下さい。本来ならばこの様な場所に来ることは無い、単なる平民、山育ちの田舎者な者ですから…」

「そう御謙遜ごけんそんなさらずに。貴殿の御姿も見にまとわれた品々のどれもが素晴らしいです…っと、失礼しました。貴殿が近々登城する旨は聞き及んでおりました。貴殿が見えられた際には王城へと通す様に承っております」


お世辞とは理解していても自身の容姿に加えて、お手製のローブを初めとした装備品類を褒められたことに気を良くしたフロレアールではあったが、“王都へ通す”との一言に思わず問い返す。


「…えぇっと、王城へ通すと聴こえたのですが聞き間違いでしょうか?本日は王都到着の知らせと陛下の御予定確認をお願い致しまして、明日にでも御答えを伺いに参る考えだったのですが…」


フロレアールからの問に兜越しに視える口元に白い歯を覗かせ、いい笑顔で門兵が応える。


「はい、間違いありません。王城へと案内する様に仰せつかってます。それと失礼ながら貴殿とその御仲間方は数日前より王都に到着されていた事は陛下も存じております」


「なん…だと!?」


王都に到着した以降、王城へと出頭せずに王都観光に勤しんでいた事が国王に筒抜けであった事を知り流石のフロレアールも焦りを覚える。


「そして本日は朝方より御独りで行動なされていた事も把握しておりました。貴殿らの容姿等は事前にバースニップ卿や冒険者ギルドなどから寄せられていましたまもので。そして街を警らしていた衛兵などから目撃報告がな上がった以降は失礼ながら街中に専門の諜報員が配されております。本日も貴殿の動向を途中迄は掴んでいたのですが、お気付きになられたのか見事に撒かれてしまいました。流石と言いますか、いやはや正直参りましたよ」


そう、フロレアールは自身の探知能力を過信し過ぎていたのである。

敵意や悪意を抱いていない者、そして同じ者が長時間追跡でもしない限りは自身が監視されている事には気付けないモノであった事を理解する。

別に高いとは思っていなかったプライドではあったが思わぬ形で人外化した自身の能力も決して全能では無いことを知らしめられフロレアールはショックを受けていた。

彼女のステータス能力値としては地球初来訪時の野菜チックな戦闘民族の超エリートたる野菜王子と同程度に至っており、自身は油断も過信もしていないと考えていた中でアフロなミスター悪魔な人物に一泡吹かされた様なものであった。

そしてフロレアールは知らされた事実に関して恐る恐る尋ねる。


「そうだったのですね…。それで登城が遅くなった事に関して、そのぉ…陛下は気分を害されたりはしておられませんか?」


その問いに門兵はアッサリと応える。


「問題無いかと存じますよ。そもそも貴殿は招聘、つまりは招待を受けた賓客に当たりますので。前もっての御約束が取り付けられていたのを無視したとあらば問題には成るでしょうが違いますので。それに加えてバースニップ卿からの親書は別立てのモノの方が早く到着しておりました。その報により国王陛下と宰相閣下から連名にて王国に属する全兵に対して厳命が下されております。貴殿らへの無礼と許可なき自発的な接触を禁じ、貴殿らは賓客であり呉々(くれぐれ)も不幸を買う様な真似は決してするなとされております」


バースニップからの親書が他にも存在しており、それが既に別ルートで到着済みである事にフロレアールは一枚食わされた気持ちになる。

だが、配達記録などが存在しないこの世界では複数手段で重要な親書などが手配される事は決して珍しい事では無いものであった。


「そうですか、それでは私が預かりましたバースニップ卿の親書は最早もはや不要とのことでしょうか?」

「その様な事は御座いません。先に届いた親書が偽りでない事の証明、そして貴殿がバースニップ卿を介して国王陛下からの招聘を受けた賓客であることもより確かなものとしております」

「そうですか、それなら良かったのですかね」

「はい、れではバースニップ卿からの親書を改めてお預かりしても宜しいでしょうか?遅くなりましたが、私:(わたくし)めは、王城警護隊の第一中隊長のヴィーチェと申します。僭越せんえつながら貴殿を王城へと案内する栄をたまわらせて頂きます」


ヴィーチェはそう言って兜を脱いで深く一礼する。

その顔は一言で言えばイケメンだった。

身長も高く、ややクセ毛の金髪、濃い蒼色のクッキリ目の瞳、右目下にある小さな泣きボクロ、そして口元から覗かせる輝く純白の歯。

一般的な淑女であれば一撃の下に胸キュンで雷に打たれた様な感覚で運命の人との出会いと誤認してしまいそうな人類の男の敵であった。

それを観たフロレアールは良い男ねとは思うが既に百合百合化した彼女にとってはそれ以上の感想は浮かんでは来なかった。


「そうですか。念の為に伺いますけど王城に向かう事が前提で話が進んでいるのでお断りは出来ないのですか?」


フロレアールからのしょっぱい反応とその発言にヴィーチェはやや引き攣りながら応える。


「えっ、そ、そうですね。あ、お断り頂くとしても一度王城へと案内した後、改めての旨をお伝え下さいませ。わ、我々には貴殿が登城した折には王城へと必ず案内せよとの命が下っておりますので、何卒お願いします」


ヴィーチェはその甘い容姿マスクで淑女たる者たちからは未だかつて塩対応に類するモノを受けたことなどは無かったのである。

その者たちは成人を迎える頃の異性を意識し始めた女性を皮切りに年老いても尚自身を女性と意識する実に幅の広い者たちであった。

そんな彼が美少女たるフロレアールからの塩っぱい応えに、明らかに動揺する様を目にした他の門兵たちは、それまで微動だにしなかった事が嘘のように、その身をプルプルと震わせれに併せて身に着けている金属鎧はカシャカシャと小さな音をかなで、遂にはその口からは“ぷーくすくす”との失笑が漏れ出る。

自身を失笑するソレらを耳にしたヴィーチェは顔を赤くして一括する。


「き、貴様ら!弛んでいるぞ!任務中だ、しゃんとせんか!」


その激に一瞬は静かになるが僅かな時間でカシャカシャとの音が再び奏でられるのであった。


そんなやり取りは意に返さず、フロレアールは従属状態のヴィーチェから自身が拒絶を示した登城を促された事から、ここは諦めて応じることを決断する。


「分かりました。れでは王城へ向かうことにします。ヴィーチェ殿、無理を申した様で申し訳有りませんでした。一先ひとまずは王城への案内をお願いしできますか?」


そう言ってフロレアールは特上の営業スマイルをヴィーチェへと向ける。

それを受けて落とされた後に上げられたヴィーチェは先とは別の意味で顔を赤らめものであった。


この後、少しして馬車が用意されフロレアールはヴィーチェのエスコートを受けて王城へと向かい客室へと案内される。

そして暫くの間、王城付きの侍女たちからの茶や菓子による歓待を受けつつときがくるのを待つのであった。



一方、ダカラ好き歌劇団の“ヴァンデールの百合”昼公演の鑑賞を終えたカテジナたちは感涙に浸って居た。

すると同様に感涙するダカズキ同志が声を掛けてくると瞬く間に意気投合する。

そして、ダカズキたる百合百合な同志から王都内に在るとある店について教えられる。

その店は一見さんお断りできぞんかいいんが同伴して紹介しなければ入店すら叶わない店だと云うものであった。

幸いにも百合百合な同志はその店の会員であり、この後は特に予定も無いとの事で良ければその店へと案内するのと申し出を受ける。

カテジナたちも夜公演までの間は時間が空いていたことならその申し出を快く受けるのだった。

そして案内された場所は大通りから一本奥の通りに、所謂いわゆる裏通りとも称せる日当たりがあまり良くない細い路地に目立たずヒッソリと居を構えていた。

百合百合な同志は辺りを見回して人目が無いことを確かめた上で静かに扉を開けて中へと入り、カテジナたちもそれに続く。

扉をくぐったその先には再び扉が有り、その脇には小さな小窓が備えられている。

同志は小窓を開けると自らのステータスプレートを差し入れる。

暫くすると“ガチャリ、ガチャリ”と複数の鍵が開く僅かな音が響き、次いで音も無くその扉が開かれる。

その先に待っていた空間、其ソコには数多くの薄い書物が鎮座していたのであった。


そしてこの店の主たる小柄な瓶底メガネかけた女性か声を掛けてくる。


「新たな同志諸君、来店を歓迎します。そして申し訳ないけど先にステータスプレートを拝見できるかな?会員の登録を済ませておきたいのでね」


そう言われてカテジナ達はステータスプレートを取り出すと女店主へと差し出す。

すると冒険者ギルドで見掛けた魔道具に似たモノへとステータスプレートをかざした後に三人へステータスプレートを返却してくる。


「改めて歓迎するよ。ここの店で扱っている書物は神殿や教会からは禁書として指定されるぶつばかりさ。重ねられた書物の一番上に乗っているヤツは見本本みほんぼんだから中身を眺めて気に入ったもんはその下に積み重なってるヤツを購入すればいいよ。それと見本しか残ってないヤツが棚に並んでるヤツらだね。今じゃ逸品中の一品モノだからある意味希少だね。それとアンタらが裏口から店を出ないかにり表の扉は開くことも無いからジックリと好みの物を探すといい。そして今、この部屋の中は魔道具で完全防音になっているから辺りを気にせずに好きに騒ぐといいさ」


そう言われてカテジナたち三人は各々が興味を惹かれる薄い書物を手に取る。

ソコには様々な百合百合、薔薇薔薇と言ったものが濃密に艶めかしく、時に激しく描かれており、大事な部分がモザイクや黒塗り、湯気、謎の光などで隠されることも無く鮮明に描かれている。

そしてダカズキを観終えたばかりで脳がダカズキに犯され趣向が傾いていた彼女たちに、この店へと導いた百合百合な同志がある書物を勧めてくる。

その悪魔の誘いに今のカテジナ達は抗えす中身を覗いてしまう。

れれは一見百合百合本かと思われた。

描かれた人物の体の線は細く、見目麗しい二人が着衣を残して目交まぐわい情交を結ぶ様が濃密に描かれていた。

その本は所謂いわゆるBL本であった。

そう、この店へと導いた同志はその実、腐百合様だったのである。

そしてダカラ好き歌劇団の影響下の三人はそれを目にした瞬間、全身に衝撃が駆け巡る。


「おほ、コ、コレは尊いですわぁぁぁ。薔薇薔薇本でもコレはおもむきが違いますわぁぁぁ」

「キャロちゃんコレ凄いよ…。女の子同士のも良いけど…こんなの反則だよ…」

「ゴクリ…ホント凄いわ…。女の子同士と違って…、その…挿さって出入りしてる…。でも男のって意外と変な形してて意外と小さいのね」


ソレを見終えた三人は早速お買い上げを決め、他の百合百合本やBLやおい本を店員の元へと次々と運んでゆく。

そこへ腐百合様が新たなる境地を勧めるべく別の教典バイブルを渡してくる。

れは百合百合には違いなかったが描かれているのは妖精族で有名なエルフであり、その双方が女性で有りながら立派な竿も有する所謂いわゆる両性具有の目交まぐわいが描かれた書物であった。


「なっ!これは何なんですの!?女性に男性のモノが付いててお互いに代わる代わる出しいれしてますわ!そ、それに最後には精を放って、に、妊娠しちゃうって…、コレはホントの事ですの!?それとも空想のモノなんですの!?」


カテジナは瓶底メガネの女店主へと詰め寄り問い質す。


「同志よ、少し落ち着きな。ここの書物は伝記じゃないから基本的には空想の産物さ」


その応えにカテジナは見るからに落胆する。

だが、女店主の話には続きがあった。


「だが、完全な絵空事でもないだよコレが。その書物に描かれているのはどの種族だい?そうさ、エルフさ。アタイらエルフはあんたら人間ヒューマンと違って長いときを生きなければならない。長く生きた者たちの中にはの悠久なる生を謳歌する為だけに魔法と称される御業を修めた者が居るそうだ。コイツはその逸話ぎ元になって描かれたもんさね」


そう言って自身の素顔を遮っていた瓶底メガネを下へとズラし女店主は髪をかきあげる。

するとソコに現れたのは人間ヒューマンとは比較とならない程に長い耳であった。

そう、女店主は瓶底メガネでその端麗な容姿を遮り、自身の髪でその特徴的な耳を隠していたのだった。

予想外のエルフの登場に驚きつつも先の魔法について尋ねる。


「っ!?エ、エルフ!?本物ですの!?それに先程をの話が本当なら貴方あなたもその魔法とやらが使えますの!?」

「お嬢ちゃん、落ち着きな。そして申し訳ないが残念ながら私は使えない。そもそも私は未だエルフにしては若輩者なんでね、勘弁しておくれ」

「そうでしたの…問い詰めるような真似、失礼しましたわ…」


見るからに落ち込むカテジナに加え、カルチナとキャローナまでもが落胆していた。


「ふぅ、仕方ないね。私は北の隣国レコムパーセス連邦で生まれなんだよ。因みにココにある書物は私の生まれ故郷たる商業傭兵都市国家群の連邦謹製の品々だ。まぁ、生まれが大陸東側なこともあってエルフの本拠地である大陸西南に在るトレヴァイル大樹海には行った事すら無くてね。この話は大樹海出身の両親や連邦にいる他の同族から聴いた話さ。だから空想じゃ無い筈だよ。長い時を生きたエルフたちは単一の性に飽きてしまい自らの性を自在に操るって話しさ。男が女に、女が男に、そしてその双方を有する存在へとも自由自在に変わりながら様々な性をたのしみの永き生を謳歌するって話だよ」


そう言って女店主はズラした瓶底メガネを元の位置へと戻し、掻き分けた髪を手櫛で整え自身がエルフである外見的特徴を隠すのだった。


「さて、お嬢ちゃん方、ここまでの話は同志って事でのサービスにしておいてやる。この先については上客になって私からの信を勝ち取るんだね」


そう言って女店主はニッと口元を綻ばせるとカテジナたちに薄い本の購入を促すのであった。


その後、カテジナたちはエルフ本を含めたお気に入りを大人買いする。


その後にカテジナな意を決してアル物を(ぶつ)を女店主の目の前で造り出し提案する。

れはシリコポイゾなディルドであった。

ソレは収納に収めてあるシリコポイドなフロレ人形に付いてる竿とは違い教典うすいほんで得た知識を元にリアルな形状を再現していた。

カテジナは女店主に対して自身が製造するシリコポイゾの販売を一任するの商談を持ち掛ける。

そう、カテジナは一方的な客との立場ではなく対等なビジネスパートナーとして女店主からの信を得る事を選んだのだった。

もっともコレには薄い本を買う資金を稼がねばとのお財布事情が加味されてのものであった。

女店主はシリコポイゾを手に取り肌触りや硬さなどを確認し、大きさや硬さの変更点など伝え、カテジナそれに応じてシリコポイゾを造り出す。

そしてその日は腐百合娘と女店主にサイズ違いのサンプルを複数渡し店をを後にしてダカズキ夜公演を鑑賞する為に劇場へと戻るのであった。

そして後にシリコポイゾはこれ迄に存在していた木製ディルドの市場を瞬く間に席巻する事になる。

こうしてカテジナは自身の望みであるフロレアールの子を宿す為の手掛かりとビジネスパートナーを手に入れたのであった。


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