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74 封書③

ご愛読ありがとうございます。


拙い文章ですが、面白いと思って頂けましたら“ブックマーク”や“いいね”、“感想”等にて応援頂けると幸いです。


これらの応援は執筆に際しての大変励みなりますので宜しくお願いします。

フロレアールは色々と観念して灼滅の騎士こと実の姉であるテルミドールからの封書を開封した後に手紙に目を通す。

記された内容の余りの酷さにフロレアールは声も出さずに思わず固まってしまう。

そして急激なストレスの影響か“頭痛が痛い”と思える程の激しい痛みを感じたことでたまらずこめかみに右手を添えてしまう。

その様子をうかがう周囲の面々はフロレアール姉妹の過去の経緯いきさつを聞かされた直後であっり、そんな彼らは手紙の内容に興味を抱かないはずもなく、彼らの気分はご馳走を前に待てを言い付けられよだれをダラダラと垂らしながら懸命に耐える犬の様であった。

もっともフロレアールはこのんで焦らしプレイをしている訳ではないのだが痛む頭と陰鬱いんうつな気分を落ち着かせるために深呼吸を数回行うのであった。

そして本日何回目になるか分からなくなってるタメ息を吐き、少しの間を置いた後に手紙が机の上に置かれる。

周囲から期待と興味からなのか“ゴクリ”と喉が鳴る音が聞こえる。

するととフロレアールは重たくなっている口を何とか開いたのだった。


「待たせてしまってごめんなさい。予想の斜め上?それとも下?と言った方が適切なのか分からない程に酷い内容の手紙だったわ」


そう言ってフロレアールは再び黙ると濁った目で手紙を眺めいる。

少しすると彼女の額の先から少し離れた空中に突如としてマッチに灯るような小さな炎が揺らめきだはじめる。

それはフロレアールの記憶も含めて手紙を消し去りたいとの心の底からの想い将又はたまた願いが生み出したのかモノかは不明だがフロレアールが無意識のままに生み出したモノであった。

れは間も無くして手紙へと向かって、ゆっくりとふわふわと動き始める。

周囲から一斉に「ナッ!?」との驚きの声があがるのと当時にカテジナが左手で手紙を逃がすに併せて右のてのひらに魔術で水球を創り出して炎を食い止め消火を試みる。

小さく揺らく炎はバレーボール程の大きさの水球に飲み込まれ無事に消されたかと思われた。

だが炎は水球の中で消えること無く揺らめき続ける。


「フロレアール様、おやめ下さい!!」


カテジナがフロレアールの耳元で叫ぶが反応は無く、うつろな瞳で項垂うなだれ手紙が置いてたあった場所をぼーっと眺め続けている。


「おい、嘘だろ!?なんで炎が消えないんだ!?」

感覚的に木材などが燃えて生じる炎などの燃焼反応を基準として捉えてしまったバースニップはその光景におもわず驚愕の声を上げる。


「それは魔術で生み出されたものだからですよ、主様。かの英雄譚になぞらえるなら見た目に惑わされないで下さい。危険です!!」

クーヴァは注意を促すと共にバースニップを遠ざけようとする。


小さな炎を飲み込んだカテジナの水球が一瞬の後に激しく煮沸し始める。

その中を小さな炎が何事も無いように手紙へ向けてゆっくりと進み続ける。

それは英雄譚にうたわれた大魔王と称された魔族が放ったとされる基礎火魔術を彷彿とさせる光景であった。

その英雄譚ではの火魔術を極大火炎魔術と判断した勇者の仲間である賢者が全力の極大水氷魔術で防ごう試みるのだがステータス差により叶わない描写がある。

その折に大魔王かが発する「…今のは極大火炎魔術では無い…最弱の基礎火魔術だ…」との名台詞めいぜりふは非常に人気が高いのもであった。


閑話休題


「カルチナ、急いで手紙を持ってわたくしから少し距離を取りなさい。フロレアール様の魔術はわたくしでは止めるどころか進行を遅らせる事すら叶いそうにありませんわ。キャローナはフロレアール様の頬を叩くなり頭から水を掛けるなりしてめをさまさせて。それで魔術を行使を止めるように促しなさい。御二方は巻き込まれないように離れて、早く!!」


カテジナの指示にて皆が動き始める。


「ふぇぇぇん、金百合様、手紙は持ちましたぁ。黒百合様の魔術のターゲットになるなんて…イヤァァァ。喰らったら絶対に痛いで済まないヤツですよぉぉぉ」


そう叫びながらカルチナは手紙を手に取ると恐怖心から壁際まで一気に離れる。

すると炎の移動速度が急に上がり水球を容易く突破するとカテジナの右掌に炎が接触し凄まじい熱さと痛みをカテジナにもたらす。

フロレアール謹製の不変性を付与されているグローブではあったが組み込まれている概念はあくまでも不破壊と完全防汚であった為、断熱は含まれていなかった。

またたく間にグローブ全体が炎と化した様な温度に至り、堪らずカテジナは治癒魔術を追加で行使する。


「ぐぅぅぅ…カ、カルチナ離れすぎないで!!距離がき過ぎると炎の移動速度が増しますの!!」


それを耳にしたカルチナは恐怖に抗いカテジナの元へと舞い戻ると炎の移動速度が元の緩やかなものになる。

その隙にカテジナは右手を炎から一旦遠ざけると右手全体を水球で覆い一気に冷却する。

幸いにしてグローブと自身の魔術による不変性と治癒魔術によりに火傷や手に穴も空いて無いことを確認したカテジナは額に汗を浮かべて叫ぶ。


「不変性で守っていても熱さとして限度ってものがありますわ。たのしみ耐えられるのは色付き低温ロウソクが限度と改めて痛感致しましたわ」


叫び終えるにあわせて今度は両のてのひらを炎へとかざし、先よりも巨大な水球を創り出して炎に押し当てる。

加えて水球自体の冷却もこころみながらカテジナは小声で呟く。


「フロレアール様、これが無事に片付きましたらお返しとしてロウソクプレーの御寵愛を要求させて頂きますわよ…」


時は少しさかのぼり、カルチナが炎から大きく距離をとったその時、キャローナはバースニップとクーヴァが待避を終えたのを確認してからフロレアールの元へと駆け寄っていた。

そしてフロレアールの右肩に自身の右手を置き揺り動かして「フロレ様、しっかりして、目を覚まして下さい」と声を掛ける。

その最中さなかにキャローナは良からぬ事を思い付くというか思い至ってしまうたのである。

するとニヤリと悪い顔を浮かべるキャローナ。


(これってチャ~ンス☆ってやつよね!!。役得だわ~。私って日頃の行いがきっと素晴らしいから神様が下さったご褒美ってやつだわ、きっと、間違いないわ。フロレ様には修行とかで受けた恐怖やトラウマの恨みを少しでも晴らすことが出来るまたとない好機よ!!フロレ様、覚悟下さい。ヒヤッハアアアァァァ!!)


キャローナはフロレアールに変化や反応が無い事を改めて注意深く確かめる。


「コレは変化がないから仕方がない事なの。フロレ様ご容赦くださいね☆」


そう言い放つとり行うは昨晩に自身が目の当たりにした恐怖のお水遊び。

それよって仕返し、いな、覚醒を促すことを決めるやいなやカルチナはフロレアールの肩から右手を離して立ち上がる。


(今この時、下克上の時来たれり)


キャローナの頭の中では「取ったど〜!!」との気の早い勝鬨かちどきが上げられループ再生が行われている。

その顔には絶対的優位者が下の者を見下すかの様な表情が浮かんでおり、薄らと口元だけが吊り上げるのにあわせて右手をフロレアールの頭の上へかざすと水魔術の行使を開始するのであった。

だが、その瞬間にキャローナの右手首を項垂うなだれた状態ままのフロレアールの左手が握り締めた。

それはキャローナから放たれたわずかな殺気と魔術行使による魔力に対する無意識下での防衛反応であった。

キャローナの脳裏に先のカテジナ顔面トマト化計画の場面が鮮明に蘇る。


(ヤバッ!!しくった!?)


キャローナは全身から冷や汗が吹き出すにあわせて咄嗟とっさに右手首の拘束を振りほどこうとするがビクともしない。

次の瞬間には室内に“ミシ…ミシミシ…グシャッ”との音が響く。

それはキャローナの右手首から前腕の一部が握り潰された音であった。

キャローナも不変性の防御魔術は間違い無く施しており、ここまで容易く突破されるとは予想だにしていなかった。


「ぐぅぅぅ…」


たまらず苦悶のうめき声を上げるキャローナ。

幸か不幸か身に付けている不変性を有するロンググローブによって皮一枚で辛うじて繋がっていた右手首は千切れ落ちて床に転がる事は無かった。

だが、そのもたらされる激痛からキャローナは反射的に右腕を引いてしまい、結果として握り潰された箇所から自ら引きちぎる形となってしまう。

キャローナは飛び退きながら右腕に中級上位治癒魔術のグレーターヒールを行使して欠損部位の再生に即座に取りかかる。

幸いにもフロレアールが追撃に移ることも無かった事から程なくして再生を終えられそうであった。

その光景を目にしたカルチナが思わず叫び声を上げる。


「キャロちゃん何してるのよ!!腕は大丈夫なの!?」

「ごめん、余計なこと考えてたら気取られて無意識なのに反撃されちゃった…。右手首から先持っていかれて再生が終わるまで後少し時間が掛かる…」


キャローナは片膝を床に着いた状態で痛みに耐えつつ治癒魔術を行使している。

その様子をちらりと見てからカテジナは室内を見渡す。


「正直言ってこっちもそんなに余裕は無いですわ。カルチナ、合図したらクーヴァさん達の方へ飛びますわよ。飛んだら手紙を彼らに渡して、その場から貴女あなたがフロレアール様に魔術を放ちなさい」

「ふぇ、そんなの無理で」

「いいからやりなさい。フロレアール様なら大丈夫ですわ。傷も負わない筈です。短時間で発動できる威力と速度があるヤツを放ちない。宜しくて?」

「わ、分かりました…。タイミングお願いします」


カテジナは話しを聞いてたクーヴァが手紙を受け取る体勢を整えたのを確認し終える。


「…3…2…1…今ですわ!!」


合図に合わせてカルチナが先に跳躍し手紙をクーヴァへと手渡す。

次いで一度水球を消したカテジナが急ぎ後を追う様に跳躍し、カルチナ達と炎の中間に降り立つ。


「金百合様、何でそんなに離れた位置に!?危ないです、もっと此方こちらに近付いてください」

「気にせず貴女あなたは早くフロレアール様を。私はここで炎を食い止めますわ」


そう言い放つとカテジナは収納からフロレアールより供与され大盾を取り出し構える。

その直後に炎が大盾へと接触する。

カテジナは急ぎ大盾を飛翔させ現状の空間位置に固定させると全力で盾の冷却に取り掛かったのだった。

一方のカルチナは精神的に追い詰められていた。

元々キャローナに対しすら積極的な行動に移す事も出来なかったヘタレ天然さんである。

今でも夜の目合まぐあいの時以外は奥手な彼女に何のヒントもなく即決・即断する事は不可能に限りなく近い事柄ことがらであった。

カルチナ口から「ふえぇぇ」と情けない声が漏れ、その瞳には薄らと涙が溜まりつつある中で彼女が目にしたもの…それはカテジナが取り出した白き大盾であった。

“短時間で発動できる威力と速度があるヤツ”への答えに辿たどり着くまでには、然程さほどの時間は要さなかった。


「キャロちゃん、金百合様、私やります!!」


つい先程までのカルチナとは打って変わり自信と決意に満ちあふれていた。

それを見た四名は彼女なら必ずやってくれるとの希望を抱く事ができる程の見違えた姿であった。

その天然娘カルチナが導き出した答え、其れ(そ)はフロレアールから供与された対ドラゴン想定の対大型魔獣用爆裂巨剣の飛翔魔術による全力投射であった。

まさに比較的短時間で発動可能、超高火力、自身最速の一撃を誇る必殺・・の切り札であった。

カルチナが収納から白き巨剣を取り出し投射に向けて全身全霊で飛翔魔術を行使し始める。

それに気付いたカテジナとキャローナが要求に対して天然娘カルチナにより導き出された答えが絶妙に生命たまをとる方向へとハズレていたことから慌てて声を発する。


「お待ちなさい。れは流石さすがにヤバイですわ」

「カルチナ、る気なのか!?いや、カルチナ、そのる気スイッチは使い所が違う。天然さん、ステイ!!ストップ!!ハウス!!アハハ、ダメだ聞こえてないや…」

「キャローナ、巫山戯ふざけてないで治療を中断してバースニップ様たちを全力で護りなさい。急いで!!」


キャローナがバースニップ達の元に駆け付け収納から大盾を取り出す。

次いで魔術障壁を全力展開し終えるとそれを待っていたかの様なタイミングで白き巨剣が天然娘カルチナの手により全力全壊で解き放たれた。

その次の瞬間、室内は激しい爆発により猛烈な高圧力、高温、ぜた巨剣片の散弾により蹂躙じゅうりんされたのであった。

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