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060 仲間

ご愛読ありがとうございます。


拙い文章ですが、面白いと思って頂けましたら“ブックマーク”や“いいね”、“感想”等にて応援頂けると幸いです。


これらの応援は執筆に際しての大変励みなりますので宜しくお願いします。

フロレアールは4000体近くの魔物やモンスターの爆散した遺骸マグロの処理を終え冒険者ギルドへと文字通り舞い戻ってきていた。

時刻としては正午の少し前程度であり、自身の驚異的チートステータスを遺憾無く発揮して、正に有言実行してみせたのだった。

ギルドに戻ると冒険者ギルド支部長のパルミーナが驚きと呆れた表情を浮かべるが「君の非常識さには慣れることにするよ」と言葉を残して悟りを開いた様な顔付きに変わる。

そんなパルミーナからチェーネの町の上役達による会合が始まるまでは少し時間があると告げられる。

それに併せて朝から録な休息や食事を摂っていなかったフロレアールに食事を勧めてきたので、フロレアールは果物と果実水、加えて甘い菓子があればと要求する。

フロレアール自身は分解による爆散遺骸マグロの処理を進めつつ、時折休息を取っていた。

その折に収納から料理を取り出して朝食は摂り終えており、他にも手持ちの焼き菓子や甘味を口にしていた。

だが、認識加速状態の副作用で今日の体感時間が既に三日を優に超えており、脳の栄養源たるブドウ糖が不足気味であった。

これ程の長時間を認識加速して過ごした事が無かったフロレアールは、ややボ~っとする頭で極軽いふらつきを覚えており、彼女は本能的に甘味を求めていたのだった。


そんなフロレアールがギルド併設の食事処兼酒場の席に着くとカテジナが空いてる隣の席に着いて労いの言葉を掛けてくる。


「フロレアール様、お疲れ様てました。スタンピードの後処理をもう終えられたのですか?」

「えぇ、全部片付けてきわ。流石に少し疲れたので、これから一息つくところよ」


そう答えているところに、カルチナとキャローナの二人がフロレアールがリクエストに応えてカットフルーツの盛り合わせやチョコ、果実水を運んでくる。


「カルチナ、キャローナ、二人ともありがとう。ところで二人とも少し話をする時間は取れないかしら?今が無理なら仕事を終えた後でも構わないのだけど」


二人は顔を見合わせて応える。


「フロレアール様、時間は取れると思います。パルミーナ支部長に許可を得てきますので少しお待ちください」


二人はパルミーナに許可を得る為、事務室へと向かったことから席にはフロレアールとカテジナだけが残される。

その改まった態度にカテジナは何か大事な話が有るのだと察し、やや緊張しながら二人が戻ってくるまで大人しく席に座っていた。

一方のフロレアールは提供された果物などを口にして二人が戻って来るのを待つ。

少しして二人がパルミーナの許可を得てフロレアール達が待つ席へと戻って来るが、カテジナの様子が何時もと違う事に気付く。


「二人とも許可は得られたのかしら?。得られたのなら席に座って果物とかを摘みながら話しましょう。」

「「はい。」」


二人はやや緊張した面持ちで返事をして席に着く。

席順は何時ぞやの夕食会と同じであったが、その雰囲気は明らかに異なっていた。

フロレアールを除く三人は果物などに手を付ける事が出来ず、緊張から「ゴクリ」と喉を鳴らす。

するとフロレアールが話し始める。


「改めて言うけど三人ともお疲れ様。それと結果的には無事に済んで本当に良かったわ」

「「「...」」」

「今回の事で痛感した事があって三人に今後の事を確認させて欲しいの。前にも話したけど、私はチェーネの町を発って旅を再開するわ。尤も(もっと)其れは町の復旧を終えてからになるだろうけどね」


三人は無言で頷く。


「先ずはカテジナ。ライジン達との話し合いの結果を教えて頂戴。スタンピードが有ったとはいえ、約束してた話し合いは終えたのでしょう?」

「はい、終えております。ライジン達には渋られましたが、最終的には許可を得てパーティーからは脱退しました。スタンピードが発生した為、臨時で行動は共にしてましたがそれも終わります。ですので、以前にお約束頂いた通り、わたくしを側仕えとして旅に同行する事をお許し下さい」


カテジナはそう告げると深々と頭を下げる。


「カテジナ、頭を上げて。パーティーを抜けた事は理解したわ。私からの返答は少し待って頂戴」

「...分かりました...」


其の返事にカテジナは目を見開き瞳に涙を溜めて一言だけ返すのが精一杯だった。

今朝方けさがた、フロレアールの様々な力をの当たりにした事で、自分では其の足元にすら及ばず、旅に同行してもお荷物になるだけと心底思い知らされていた。

だからこそ、以前と変わらない関係で在りたいと前よりも増してフロレアールに対し、おどけて絡んでいた。

だが、フロレアールからの返答は保留であった。

この後には“貴女あなたと私では力が違いすぎる”などの断りの理由を告げられると察したカテジナは顔を伏せてしまう。

その様子を見ていたカルチナとキャローナもカテジナの心中を察して悲痛な表情を浮かべる。

俯いたカテジナに一瞥する事も無く、次いでフロレアールはカルチナとキャローナを一度見つめる。

次いで目を閉じ、両肘をテーブルに付き、組んだ手を額に当てながら話を続ける。


「次にカルチナとキャローナの二人。カルチナ、貴方あなたは運良く命を拾えたたけど本来は蘇生する事無く死んでいた筈なの。次はキャローナ、貴方あなたが逆に死んでしまうかもしれない。」


カルチナとキャローナは、苦悩を伺わせる姿のフロレアールが敢えて苦言を呈していると察する。

其の言葉で二人は改めて最愛の人と永遠の別れとなる筈だったことを痛感する。


「私が居なくなれば次は無いわ。今回はカルチナだけだったけど、キャローナやカテジナだって今回は死んでいても何らおかしくない状況だったのよ。私が駆け付けるのか少しでも遅れていたら、このチェーネの人々は間違いなく魔獣やモンスターの餌食となっていたわ。そして食べられて死体すら残ってなければ流石に蘇生は叶わない。それに遺体が残っていても時が経ち魂が失われてしまったら同じなの。今回は不幸中の幸で紙一重だったの。本当に運が良かっただけなのよ」


フロレアールの指摘から、カルチナとキャローナは不安となり互いの手を取り合っていた。

二人は繋がった手のひらから感じられる温もりに安心感を抱くと改めて互いが生き延びた事を実感して涙する。

カテジナは己の想像通りに力不足を指摘された事から、とうとう決定的な拒絶の答えが返ってくる事を察する。

すると必死に堰き止めていた涙が瞳から溢れ出す。

その時、フロレアールが目を開けて席から立ち上がり手を差し出しながら語り続ける。


「だからね、私は決めたの。私の手の届く範囲であれば、仲を深めた人達を不幸にしない為になら己の力を躊躇わずに奮うって。だからね、カテジナ、カルチナ、キャローナ、貴女あなたたち三人には私の旅に同行して欲しいの。でま、同行に際しては色々と条件とか制約を設けさせてもらうわ。それと今のままだと正直言って弱過ぎるから特訓とか色々して最低限の強さを身に付けてもらうから覚悟してね」

「「えっ!?」」

「ゔぇっ!?」


カルチナとキャローナの二人は予想だにしていなかった旅の誘いに驚き声を上げる。

そしてカテジナは決別宣告と思い込んでいたのにも関わらず、同行許可が出たことで伏せていた顔を上げるに合わせて声を上げる。

その三人の顔を見たフロレアールは驚きの声を上げる。


「ちょっと何で三人とも泣いてるのよ。特にカテジナ、貴女あなた鼻水まで垂らしてるわよ!?汚いから早く拭きなさい」


「だっで、わだぐじお許じが出るど思っでながっだがらえられなぐって」

「前からパーティーを抜けたら旅の同行は許すって約束してたでしょ?」

「だっで、ブロレアールざまのおぢがらずごぎで足手あじでまどいになるのが分がっでじまっだので...。」

「だから、貴女あなたたち三人には強くなってもらうわよ。そこは覚悟しなさい。これは命令では無いから断って貰っても構わないわ。改めて尋ねるけど三人とも私の仲間として一緒に旅をしましょう?」


フロレアールは微笑みながら改めて右手を差し出し、少し照れながら微笑む。

カテジナが座ったままフロレアールに抱き着き、フロレアールのたわわな胸に涙と鼻水に塗れた顔を埋める。


「ばい、よろごんでおどもいだじまずわ」

「ちょっと!?、カテジナ、あんた鼻水とかばっちぃわよ。人の服に付けないで、んん!?」


堪らずフロレアールが胸に顔をうずめるカテジナに文句を言う。

その途中で、カテジナがフロレアールの口をベタベタの顔のまま己の口でふさぐ。

奇しくもフロレアールが身に着ける白のショートローブは魔道具化によって不変性を有している。

その効果はフロレアールが身に付けている限り破れや破損、汚濁することが無い。

それが仇となり、汗を吸うことも無く今朝方に流れた汗が溜ったのだが、当然としてカテジナの涙も鼻水も吸収するしない。

顔全面に己の涙と鼻水を満遍まんべんなくコーティングした、そんなカテジナが己の口を塞ぎ、自身の顔にまでカテジナ汁を塗り付けられたフロレアールは堪ったものでは無かった。


「んん、ぶはぁ。ハァハァ、カテジナ落ち着いて、一旦離れて。色んな汁が着いてるのよ。洗浄を掛けるから一旦離れなさい!」


そう言って何とかカテジナを引き離す。

どうやら素の力ではカテジナの方が若干高い様である。

そんな二人を見ていたカルチナとキャローナは驚きつつも互い顔を向けあった後、其の光景に耐えきれず笑い出してしまう。

今この場を包む雰囲気に、やっぱり悪くないと改めて思うフロレアールであった。

但し、やたらと塩辛かったカテジナ汁を味わった事を除いて。


その後、フロレアールは浄化魔術で四人まとめてキレイキレイにする。

その後にカルチナとキャローナが相談をした答えとして同意するとの旨が返ってくる。

但し、二人はギルドに申し入れをした後に後任者の確保と其の教育、引継ぎの期間が必要との事である。

それでも冒険者ギルド等の各ギルド職員は人気の職との事で人の確保は容易と思われるとの事だったので、急ぐ旅をしてる訳でも無いフロレアールは問題無いと答える。

尤もスタンピードの直後の為、退職の申入れや後任者募集も町の復旧作業が終えた後にあるとの事であった。

その後はフロレアールの新たな装備品やスタンピードの折の白い翼(ショートソード群)を尋ねられ、今時点で伝えても構わないと思える範囲で質問に答えていた。

するとキャローナから毒耐性について確認できた事を伝えられる。


「頼まれていた毒耐性スキルですが、やはり酒を飲む事では得られることは無いみたいです」

「やっぱりそうなるわよね。取得する方法とか何か情報は得られたの?」

「一部の犯罪者や暗殺者、それと貴族が保有してるみたいですね。犯罪者や暗殺者は自身が毒物を扱う過程で身に付ける事が稀にある様で、貴族は暗殺を防ぐ為に少量の毒を自ら服薬して身に付けるそうです。後は冒険者でも魔獣やモンスターから毒を受けて生き残るとスキルを獲得することが稀に有るそうですよ」

「成程ね。実は何故か私、チェーネに着いた後に身に付いてるのよ。薬も多量に摂取すると毒になる場合もあるからそういったものでも身に付くのかもね。そういえばカテジナ、貴女あなた何回か給仕してくれた事が有ったけど、毒とか変なもの盛ったりしてないわよね」

「心外ですわ。わたくしフロレアール様が口にする物に変なものは盛っていませんわ」


カテジナの返答にフロレアールは違和感を覚える。


「カテジナさん。今、変なもの“は”盛ってないって言ったわよね?」

「はい、毒等の有害な物なんて決して加えていません。神様にも誓えますわ」

「ごめん、聞き方を変えるわ。給仕の際に私が口にする物に何か加えた事は有るのかしら?正直に答えて」


カルチナとキャローナはフロレアールの雰囲気が変わったことを察して顔を青くする。

二人にはフロレアールの背後には“ゴゴゴゴゴ”との文字が現れている様に見える。


「それならありますわ。フロレアール様が存分にお愉しみ頂く為に気持ち良くなる御薬を少々。お気に召して頂いた様でとてもお悦びになっていた様に見受けられましたわ♡」

「気持ち良くなる御薬って具体的に何なのかな?後学の為に教えて頂戴」


青筋を立てて微笑むフロレアールを見てカルチナとキャローナはテーブルの上の空き皿やグラス等を持って急ぎ退避する。


「其れは勿論もちろん、夜の御薬。媚薬ですわ。いざという時の為に自分用に所持していましたの。それでわたくしを召し上がって頂く際のスパイスとして御提供致しました。あれ程、激しく悦び乱れて頂けて幸いでしたわ♡」

「そっかぁー、それだと今まで二回盛ったわよね?」

「はい♡。わたくしを召し上がって頂いた時とカルチナとキャローナの二人を召し上がって頂いた時の二回ですわ。如何でしたか?」

「そかそかぁ、その二回かぁ、通りで変だと思ってたのよ。カテジナこれ以降は無断で媚薬とか私の為になると思っても私が口にする物に無断で加える事を禁ずるわ。これは命令よ。それじゃあお薬の御礼をしないとね」

「はい、承知しました。其れでは必要な際にはお声掛け下さい。それとお礼なんて不要でぶっ」


カテジナが喋ってる途中でフロレアールはカテジナの鼻と口に右手を押し当てて魔術で固定する。

次の瞬間に水魔術で鼻から水を流し込む。

カテジナがビクッと震えた後、「ゴボゴボ」との音と併せて口から水を流しながら激しく咳き込み。

カテジナは反射的に脚をバタつかせ、フロレアールの右腕を掴んで引き離そうと力を込める。

そして苦しみからフロレアールの右腕に爪を立てるが、その爪が食い込む事も無く滑り、まるで鉄でも掴んでいるかの様にびくともしない。

フロレアールは30秒程の責め苦を与えた後、水を生み出すことを止めて、洗浄魔術の要領でカテジナの肺や気管、鼻腔内等から水を取り除く。

次いでカテジナの衣服や濡れた床の水分を一箇所に集めて分解魔術で消し去った後に右手を離す。

水責めの苦痛を味わったカテジナは顔を青くして乱れた息を必死に整える。


「ハァハァ、し、死ぬかと思いましたわ。他の責め苦とは、違って、快楽など、微塵も、ありませんでしたわ」


余りの苦しみにカテジナはその身を縮ませ震わせる。

どうやらカテジナの心にトラウマさんが刻み込まれ、住み着いた様である。

そんなカテジナをフロレアールはゴミを見る様な目付きで眺めながら微笑みを浮かべて告げる。


「次にやったら時間を倍にしてあげるわ。時間が伸びて意識を失ったら無理矢理目覚めさせてあげる。時間が終わるまでそれを繰り返すから覚悟なさい。でも安心して、例え死んでも蘇生させてあげるわ。分かったかしら?」

「ひゃい、に、二度と勝手に加えたりしません」

「分かったのならそれでいいわ」


其の様をカルチナとキャローナ、それに加えてパルミーナが顔を青くして見つめていた。

どうやらパルミーナは会合が始まる時間が来たことからフロレアールを迎えに来た様である。

こうして旅の仲間を得たフロレアールはパルミーナと共に会合へと向かうのであった。

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