059 状況確認
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冒険者ギルドへと到着したフロレアール一行。
カルチナとキャローナは一度事務室に向かうとの事なので入口から入ってすぐの所でフロレアールは床に降り立ちカルチナも床へと降ろす。
「黒百合様、ありがとうございました。それに宙に浮いた上、抱き抱えて頂けて夢見心地でした。」
カルチナからの御礼を受けた後にカテジナの仕置を終えようと振り向き様子を伺う。
するとカテジナが顔を赤くしており、逆さ吊りをさせた事で頭に血がのぼり過ぎたのかと焦る。
「ちょっ、カテジナ大丈夫!?。ごめんやり過ぎたわ。」
「カルチナ羨ましいですわ。ても、町中で無理やり下着を露出させられ連れ回されるのが、これ程興奮するとは!!。思い返すだけで身震いが...。んっん♡。」
たが、その実は、ただ単に興奮して頬を上気させ、息をハァハァと荒らげていただけであった。
「心配して損したわ。愉しんでいるのならもう少しの間、そのままにしておいてあげる。」
そう言い放つとフロレアールは変態を入口近くの角の壁に貼り付けて放置プレイも併せて満喫させる事にする。
ソレを眺めていると変態に嬲られた右耳がゾワゾワとした為、自身にこっそりと浄化魔術を掛けるフロレアール。
そうしているとカルチナとキャローナが戻って来るの併せて冒険者ギルド支部長のパルミーナがやって来る。
彼女は入口の傍に設置された逆さ吊りの変態が下着を晒して「こんな隅に放置なんて、でも視線を感じますわ」と身悶えてるHENTAIオブジェに気付き額に汗を流し始める。
「改めてスタンピードの解決や...その色々と助けて貰った事に感謝する。本当にありがとう、助かったよ。...、それと悪いんだが入口傍のアレはカテジナ嬢かな?、こういった趣向のプレイは他所でしてくれないかな。ウチのギルド内では流石に控えて欲しい。」
パルミーナからの申し入れを受け、フロレアールはカテジナを顔や腹を床に向けた所謂うつ伏せの様にして、一瞬の間を置いてから飛翔魔術を解除する。
突如として自然落下した事から「キャッ」との声が上げる。
1m程の高さから落下し、板張りの床に体の前面を打ち付けると「ぷべっ」、“べちっ”、“ゴツッ”との音が同時に生じる。
カテジナは、その痛みにより床を転げ回った後、己自身にヒールを掛けていた。
「感謝は受け取っておくわ。ところでスタンピードって町が魔獣やモンスターに囲まれて襲撃されてた事よね?。それとアレは仕置で私の趣味では無いわ。カテジナが予想外な事に愉しみを見出してしまっただけだから勘違いしないで頂戴。」
一方のフロレアールは変態を愉しませているのが己の趣味と勘違いされたが面白く無く訂正する。
そんなフロレアールの反応にパルミーナは謝罪しつつ会話を続ける。
「わ、分かった。まあ、止めてもらえた様で助かるよ。あっ、スタンピードは君の言った通りで合ってるよ。チェーネを襲い群がっていた魔獣やモンスターの様に混乱暴走によって普段とは異なる行動を取って町などに襲来することを指している。これを聞くって事は君は本当に新人冒険者なんだね。あれ程の強さなのに信じ難いし、其の強さが羨ましいよ。」
単なる魔獣やモンスターの襲来とは違う事に疑問を抱いたフロレアールが質問を返す。
「新人も何も私は成人を迎えて旅に出て初めて着いた町がチェーネですよ。そもそも成人してから1ヶ月も経っていません。それで、混乱暴走って事は何か原因があるんですか?。」
「何らかしらの原因があるのは間違いないのだが今回は未だ分かっていない。原因の多くははSランクなどの化け物が現れて生じる事が多い。化け物から逃げる為に、自身より強いモノが居ない場所を目指して魔獣やモンスターが移動を始める。そうするとより弱いモノは空白地帯たるヒューマン等の領域、即ち町などへと近付く。その行動は主に魔獣やモンスターの活動時間帯に行われるから時間帯は夜半から明け方が多くなって活動時間帯が過ぎる去ってゆく。まぁ、今回はギガントホーネットやスキュアーシュライクなどの昼に活動するのまで混じってたから日に二度の襲来があって苦慮したよ。それと魔物やモンスターは腹が空けば弱いモノを襲って糧とするので最終的には町の中に閉じ込められてる人間が狙われる事になる。だからSランクの化け物の有無も含め、念の為に近隣の調査も行う予定だよ。そうだ、町から離れていた君も心当たりが在れば情報提供をしてくれると助かる。異常が確認された時期からして原因発生は君が町を離れた翌日か翌々日の早朝に間違いないと考えている。」
フロレアールの質問にパルミーナが丁寧にスタンピードの説明や今後の調査の意向も伝えた上で、フロレアールにも情報の提供を打診する。
「...。そ、そうなのね。と、特に原因となるようなモノの心当たりは無いわね。」
フロレアールの泳ぎそうになる目を懸命に堪えるが、その背中を滝の様に冷汗が流れ落ちる。
フロレアールは気付いたのだった。
スタンピードが発生した原因とチェーネの町が襲われた要因のその両方を自身が生み出していた事を。
フロレアールが探知を使っていると、その範囲内からは魔獣やモンスターは逃げ出してしまう。
自身がチェーネに滞在していた事で魔獣やモンスターが居ない空白地帯の作りだしていた事は間違いない。
それに加えて飛翔魔術を使って、全力範囲探知を使いながら面白半分に魔獣やモンスターが倒れるまで追い立て続けていた。
追い立てた感じはテーブルを拭くが如く、端から端へと向かい埃などを残さない様に折り返し、拭き終えた範囲に重ならない様にズラして再び端から端へと逆向きに拭くことを繰り返しす執拗なものであった。
実際に追い立て回していたのは、山沿いを北から南に向かい、折り返して南から北に向かう際にに、やや東へと位置をズラしていた。
その後、北上を終えると再び折り返し、またやや東へとズレてから南下といったことを数度繰り返した所で、魔獣やモンスターが倒れ始めて漸く止めたのであった。
追い立てられた魔獣やモンスターは、さぞ恐怖を覚えた事であろう。
其の証拠にそれ以降は拠点としていた場所からの全力探知範囲内に一匹の魔獣やモンスターが戻って来る事が無かった程である。
住処を失ったモノ達は先のパルミーナの説明の様に移動し、チェーネに至った事は間違いない。
フロレアールは分解魔術で背中を流れている汗とベルトによりローブ内に溜まった汗を消し去って表情に動揺が現れない様に必死に努力する。
するとカテジナが鼻をフガフガさせながらフロレアールの背後から突如として抱き着いて胸を揉みしだいてくる。
「先程堪能できなかったフロレアール様の匂いを強く感じますわ。こんなの嗅がされたら私、私は我慢しきれませんわ♡。」
始めは場の流れを切り替えるチャンス到来と思ったフロレアールだが、変態の過剰な反応に慌てて助けを求める。
「ちょっと、カテジナ、何するの、離れなさい。やっ、カ、カルチナ、キャローナ、話しが出来ないから、んっん、この変態を、引き離して、抑え込んでて。」
身悶えするフロレアールの頼みに応えて、カルチナとキャローナは二人掛りでカテジナをフロレアールから引き離す。
変態は「二人とも後生だから離して」と嘆願するが二人は重量低減魔術まで使って抑え込む。
一方のフロレアールは、これにより動揺を隠せたことに安堵しつつも、ある疑念から不安に陥る。
不安な表情を浮かべたフロレアールが恐る恐る問い掛ける。
「ねえ、二人とも正直に答えて。私ってそんなに匂うのかしら?。遠慮しなくていいから本音を教えて...。」
一転して乙女として、いや人としての尊厳の危機に直面したフロレアール。
彼女は死刑宣告を待つ様な神妙な表情を浮かべたて二人からの答えを待つ。
重量低減魔術で変態の体重が減少した事で余裕が生まれた二人は鼻をクンクンさせ香りを確かめると先行してカルチナから判決が言い渡される。
「今も確かめましたけど“嫌な”とか“変な”匂いは一切してないので安心して下さい。黒百合様、抱き上げてもらった時も言いましたけど凄くいい香りがしますよ。その香りは甘い感じがするから、私はず~っと一晩中でも嗅いでいたいです。そういえばこの辺りって黒百合様の甘い香りが若干する様な気がしますよ。」
「そう言われるとフロレアール様の甘い香りが少し感じられますね。あ、私もカルチナと同じで甘くていい香りに感じるので羨ましいですよ。勿論、臭くなんてないから安心して下さい。」
二人かの判決で無罪が確定して安堵したフロレアールはカテジナに文句を言おうとする。
「それなら良いのだけど。そもそもカテジナが匂いなんて言うから悪いn」
「はい、蕩けてしまいそうな甘美な匂いですわ。尤も私はフロレアール様が例えゲ○やウ○コの様な匂いだったとしても嫌いませんし、嗅ぐ事を躊躇いませんわ。安心して下さい。」
「「「「ヒッ」」」」
フロレアールの言葉を遮り発せられた狂信者の感想にパルミーナ含めた四人から悲鳴が漏れ出る。
そして四人全員が汚物を眺めるような目で狂信者に軽蔑の視線を送る。
そんな中“ふぅ”と深いため息を吐いたフロレアールがカルチナとキャローナに頼み込む。
「二人とも本当に申し訳無いのだけど、その手放したいと思ってる変態をもう少し引き離して欲しいの。これだと話が進まないわ。」
「「わ、分かりました。」」
額に汗を浮かべた二人は声がハモらせて返答し、狂信者を連行してフロレアールから距離をとる。
話す場が整えられたことから、同様に額に汗を浮かべてドン引きしていたパルミーナが話を戻す。
「えっと、そうだ、心当たりは無いのだったね。それでは、悪いのだがこちらならも尋ねたい事があるのだが構わないかな?。」
二重の危機を乗り越えたフロレアールは気を引き締めて応じる。
「答えられる事なら構いませんけど応じるかどうかは内容によりますよ。」
「あぁ、それで構わない。スタンピードで町近隣の魔物やモンスターを殲滅していたが、討ち倒した対象はどうなっているのか教えてくれないかな?。」
「それなら爆ぜて粉々になって地面に散らばって落ちてると思うわってマズイわよね?。」
状況のマズさに気付いたフロレアールが問い返す。
「話が早くて助かる。気付いたみたいだがそれだと数日で腐り後々疫病が発生しかねない。正直に言うが我々はその範囲や規模などを全く把握出来ていない。可能な範囲で焼却や地に埋める作業の人手を集めるから指揮を頼まれてくれないかな?。」
予想通りの回答に全力範囲探知で見たスタンピードの分布を思い出し、収納されてる魔道具化ショートソードの残量を確認しつつ答える。
「...、概ねになるけど数は4000近い筈。正確には数えてないなら分からないわ。それと範囲は南北方向が2km程度で、東西方向は3km強で、形状としては卵みたいな楕円って云えばイメージが掴めるかしら?。」
「あぁ、よく分かった。君の力が予想を遥かに凌駕していた事と併せて理解出来たよ。そこ迄の範囲までとは、何かの探知系の上位スキルまで保有してるとは恐れ入ったよ。それで指揮は引き受けてくれるのかな?。」
認知加速状態で飛翔魔術と分解魔術を用いる考えのフロレアールは申し出を断る事にする。
「いえ、断ると言うより手伝いは必要ないかな。私一人の方が間違い無く早く終わるわ。私の移動速度とかある程度の力が知られてるから今更隠しても意味が薄そうだしね。」
「言われてみれば、ご尤もな意見かね。ところで期間の目処としてはどの程度で終える見込みなのかな?。街の近隣程度なら明日にでも冒険者たちに作業させる事は可能だが。」
「それも必要ないわよ。今から始めても昼頃、遅くても日が傾く前には間違いなく終えれるわよ。」
「えっ、いくら何でも...、いや私の常識で考えても意味が無いか。君が言うのだから任せるよ。それと今後は町の復旧もあるから可能であれば其方らも助力して欲しい。」
「わかったわ。乗りかかった船だから手伝うのは吝かじゃ無いけど、まさか無報酬の奉仕活動って訳じゃないわよね?。」
フロレアールは自身がスタンピードを引き起こした事の贖罪として遺骸の処理に関しては無償でも行うつもりだが、町の復旧もとなるとそれなりの期間を拘束されることから敢えて報酬の有無を確認する。
「スタンピード防衛自体が緊急討伐依頼と成っていたから参加報酬は支払われる。尤も日当型だか、らこちらは余り期待しないでくれると助かる。それでAランクのグリムリーパービートを討伐しているから別途討伐報酬を支払おう。頭部は吹き飛んでたが体節の大半が残っていたから尾の部分で討伐記録は取れるから問題は無いだろう。」
「なん...だと...!?。」
フロレアールは顔を引き攣らせる。
そう、カルチナ達を蘇生させる前にグリムリーパービートの遺骸がたうち回るのが癪に触り、余計なストレスを除する為に灰燼と化していた。
フロレアール断腸の血の涙を流す思いで八つ当たりで燃や尽くした事を誤魔化して伝える。
「あ、あの、グリムリーパービートの残ってた部位がじy...のたうち回ってて危険だと思って燃やしました。既に、な、何も残ってないです。反省しています。なので討伐報酬はアキラメマス...。」
苦渋の表情を浮かべた上、顔を引き攣らせて討伐確認用の部位が無い事を告白する。
その事実を伝えきる頃には、瞳は光をい俯いてしまっていた。
「なっ、何も残ってないのか!?。それだと流石に討伐報酬が出せないのだが、君の単独討伐だから誰も文句も言わないが...。今後は頭か体か尾など討伐証拠となり得る部位は残すことを勧めるよ。」
パルミーナが残酷な現実を突き付ける。
この瞬間に討伐報酬の金額500枚の臨時収入は幻と成り果てたのであった。
何とか意識を切り替えてフロレアールが話を継続する。
「ハイ...。ゴ、ゴチュウコク、イタミ、イリマス。い、以後、留意しておきます...。それで復旧に関してはどうなるのかしら?。」
ゴネられても脅されてもどうにもならないからとある意味覚悟していたパルミーナは緊張から解放されて安堵する。
「な、納得してくれたようだね。復旧に関しても報酬が出るが、其方はチェーネの上役たちによる会合で決まるので私からはなんとも言えない。聞いた話だと君はローゼ村の出身だから知ってるだろうが、この一帯は特筆する産業などは無い為、貴族に下賜する価値が無くて王の直轄領だからね。その分税は格安だが、町の予算や運営は町の上役たちが話し合って方針を決めている。今回の修繕などは積立いる予備費から捻出するだろうが門や衛兵の待機所などの修繕を考えると予算的には正直厳しいとは思う。」
正直に言うとフロレアールは王の直轄領という事を知らなかった。
領主に関係する事柄としても徴税官が年に三度度訪れ、その都度、村長が応対していた位しか目にしたことが無いのだった。
収穫した米や麦、豆類などから一定の割合を税として徴収されていた程度しか知らない。
その割合がかなり低い事だけは徴収される作物の量から理解していた。
だが、フロレアールはパルミーナの発言に反応して提案する。
「貴女はその会合に参加するのかしら?。参加するなら私も加えて欲しいのだけど。」
「私は元から参加する予定だよ。冒険者に対する依頼が確実に出るだろうからね。適切な依頼報酬となる様、その場で擦り合わせを行うつもりだ。他にも防衛戦で武器や防具、ポーションなどの精算が必要だからね。君が参加出来る様には掛け合ってみるよ。間もな会合開催の知らせが来るとは思うが、恐らくは昼過ぎに開催される筈だ。」
「了解よ。それなら今からスタンピードの後処理をしてくるわ。会合に合うようには努めるけど、私が戻る前に会合が始まったら先にポーションとかの精算等を進めてくれると助かるわ。」
「わかった。可能な限りは君の要望が通る様に努めてみるよ。」
「カルチナ、キャローナ、もうカテジナを離していいわよ。ありがとう。それじゃあ、早速行ってくるわ。」
そう言ってフロレアールはギルド入口の扉から外に出る。
飛翔魔術で屋根より高く浮き上がった次の瞬間に彼女の姿は掻き消えてしまう。
フロレアールは認識加速状態へと移行して全速力による飛翔で爆散した魔獣やモンスターの残骸に分解魔術を行使して廻るのだった。
その間にフロレアールの頭の中では、とある計画が組み立てられていたのだった。




