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053 チェーネ籠城戦③

ご愛読ありがとうございます。


拙い文章ですが、面白いと思って頂けましたら“ブックマーク”や“いいね”、“感想”等にて応援頂けると幸いです。


これらの応援は執筆に際しての大変励みなりますので宜しくお願いします。

フロレアールがチェーネの町を発ってから四日目。

時刻が正午を過ぎた頃、ようやくギガントホーネットやスキュアーシュライクの姿が町や周囲からも消えていた。

パルミーナはギルドのホール、食事処のテーブルや床等で横たわり休んでいる者たちを起こしてまわる。

その後、義勇兵たちには一度帰宅を命じ、彼らには夕食を摂り終えた後に再びギルドに戻るように指示を出す。

一方の冒険者には夜半からの第三波に備え、町や空堀内の遺骸の焼却、空堀の掘り下げ、石壁の増強と外側への返しの追加を命じる。

ギルド職員には衛兵隊の状況確認、近隣の冒険者ギルド支部への状況報告、騎士団の状況確認に当たらせる。


義勇兵を帰宅させた後に、冒険者やギルド職員への指示を済ませたパルミーナは道具屋へ赴く。

治癒ポーションに加えて解毒薬、体力スタミナやマナの回復を促進するポーション、堀の中の遺骸を焼却するための薪などの燃料類を強制的に後払いで徴収するが抗議どころか文句の一つも言わずにすんなりと応じられる。

次いで金物屋へ向い、此方でもありったけの金属製の武器と防御を強制的に後払いで徴収する。

ところが金物屋でも抗議どころか文句の一つも言わずにすんなりと応じられる。


普通では考えられない協力ぶりに疑問に思いつつも、遺骸の焼却作業を担っている者たちの元へ燃料を届けに向かう最中に町の様子の異変に気付く。

昨日のスタンピード発生の報が駆け巡った後は間違いなく絶望感が町全体を包み込んでいた。

だが、今はそれが消え失せている。

昨夜の第一波でのギガントビートや第二波のギガントホーネットとスキュアーシュライクは少なからず住人たちが目の当たりにしている筈である。

スタンピードをより身近に感じた今の方が本来ならば重苦しい雰囲気に包まれていてもおかしくない状況の筈である。

町中の人通り自体は平時と比べれば極端に少ないが全く無いという訳でも無い。

だが、すれ違う人々の表情は殺る気、もとい使命感に満ちており、絶望感といった負の感情は見受けられない。

パルミーナには、やはりチェーネの町は何かが狂っている様に想え、薄ら寒いモノを感じるのであった。


夕刻を迎えたころ、冒険者たちの予想以上の奮闘により遺骸の処理、空堀や石壁への対策も無事に終え夜半に到達すると考えられるスタンピードの第三波への手の届く範囲での備えが完了する。


加えてギルド職員たちが対応していた各所の情報が集まってくる。

衛兵隊には死傷者は無く門にも目立った損傷などの被害は発生していなかった。

スタンピード波は町から見て北から南西方向にかけて町へと進行するため東側に位置する門前には比較押し寄せる魔物やモンスターが少なかった様である。

加えて衛兵たちは正規の訓練を受けており、少なからず実戦経験を有する者たちである。

それら25名が金板鎧などを身に付けた上で、集中して防衛に当たって事もあり危なげなく防衛に成功していた。

当面の間は門の防衛は衛兵隊のみに任せて問題無いとの結論に至る。


近隣の冒険者ギルド支部への状況を伝え、改めて応援要請を行う。

チェーネのスタンピードの対応として、イビルボアと同様に既に緊急討伐依頼として扱われているが予想通り近隣の町には現時点で有力な冒険者は居ないとの返答を併せて受けている。

要注意人物の紅華べにばなの足取りでも掴めれば、あわよくば救援をと期待していたが残念ながら空振りの様である。


騎士団は悲しいかな予想通り本日の朝にフォゲーラの街を発っていた。

やはり到着に関しては予想より早まる事は無さそうである。

そんな彼らだが、平民出の叩き上げの衛兵たちとは違い、騎士団員の大半が多くが貴族の子弟である。

貴族の子弟と聞くと勘違いする者も多いが、衛兵以上の訓練を幼い頃から積んでおり並の衛兵や冒険者よりは遥かに強い。

加えてマジックアイテムや魔道具などを有しているものが多い。

そのことから装備が充実している事もあり、戦力としては期待出来るのだが、自尊心プライドが高すぎて扱い難い欠点を有している。

彼らが到着するまでは義勇軍の奮戦に期待する他生き残る術は無さそうである。


こうして任を終えた冒険者やギルド職員たちは早めの夕食を摂り終え、体力スタミナとマナの回復促進ポーションを飲み宿舎で休息を取っている。


すると徐々に義勇兵がギルドへと集まり始める。

だが、その人数が明らかに昨晩より増えていたのである。

義勇兵の士気が高まり過ぎて半暴走状態に陥った事もあり、時間的な余裕も無かったことから追加の募集は特に行ってはいない。

にも拘わらず既にギルドには収まりきらない程の人々ぎ詰め掛けており、その数が未だ増えている。

急遽義勇兵の集合場所を広場へと変更し人数や顔ぶれを確認する。

流石に老人や子供は見受けられないが成人を迎えたばかりの者たちも見受けられる。

そんな彼らは“黒百合様の為”、“御使い様の為”、“我らの小さき英雄の為”、“紅華べにばな様の為”と件のフロレアールの為にスタンピードに立ち向かうと一様に口にしている。

どうやら今朝方のカテジナ嬢の演説を聞いた者たちから町中の人々に伝播した様である。

義勇兵として集まった300人数近い者たちの士気は異様に高い。

だが、一歩間違えれば暴徒化する恐れを多分に含んでおる。

その上、指揮命令系統が確率出来ない状況下では統率さえままならないであろう。

その事から、集まった者たちを大雑把にだが防衛班、治療班、支援班へと割り振る。

本当であれば若いものなどを帰宅させようと試みたのだが、集まった者たちの目付きが一斉に豹変し殺されるかと思ったため、希望者全員が義勇兵として防衛戦に参加する事となった。

総員273名、内訳が防衛班159名、治療班41名、支援班73名と前日の5倍以上の人数に膨れ上がる。

防衛班は昨日から参戦している者を中心に魔術、身体強化や攻撃系スキルを有する者や実戦経験を有する者を自薦にて加える。

その中で魔術が不得手な者には供与させた金属製の武器や防具を配布する。

本来であれば武器や防具は使う者に合わせた柄の握りなど細かな調整を施すモノだが贅沢は言ってられない。

治療班には回復魔術を行使できる者たちを配属、この広場に臨時の救護所を設けて治療に当たらせる。

支援班は若い者を中心に負傷者の搬送、伝令、索敵などを幅広く務めてもらう。


班編成を終えるに合わせて冒険者やギルド職員たちの面々が広場へと到着すると共に一瞬だけ驚いた表情を浮かべるが直ぐに納得した様な当然といった表情を浮かべだす。

指揮と町へと侵入した敵の対応は、昨晩と同様に冒険者たちが中心となって当たる。

防衛班はあくまでも敵の侵入を防ぐ専守防衛である事を言い伝える。

こうして奇しくもパルミーナが最終手段と考えていたチェーネ総力を挙げて防衛戦に挑む事となる。

スタンピード第三波の到来によりチェーネ防衛戦の第二幕が切って降ろされるのであった。

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