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050 スタンピード

ご愛読ありがとうございます。


拙い文章ですが、面白いと思って頂けましたら“ブックマーク”や“いいね”、“感想”等にて応援頂けると幸いです。


これらの応援は執筆に際しての大変励みなりますので宜しくお願いします。

チェーネの町を経ってから早五日目の朝となりました。

この間に料理のストックも順調に増やす事も叶い、フィアースボアの子と思われる個体も追加で二頭捌いて調理や精肉化を終えています。


認識加速によるブースト状態の順応訓練も無事完了しましたよ。

そうでした、その最中にうっかり白メイスくんを振るってしまい、再び激しい痺れに襲われ悶絶してしまいました。

トラウマさんが嬉しそうに小躍りしていた気がしますが、今後の登場回数は間違いなく減る事に成るでしょう。

何故なら柄巻として、なめし革に衝撃緩和と普遍性を付与した魔道具を巻き付けたので対策が万全なのですよ。

衝撃遮断や無効も試したのですが白メイスで殴った感覚が消えてしまい、私自身が命中したのか判断付かなかったので、敢えて緩和にしています。


後はネコ耳フード付き外套も無事完成しており、不変性付与の魔道具化も完璧なので、こちらもトラウマさんが現れても失うことはないと思います。

敢えてネコ耳を付けたのは、より視線を外套のネコ耳へと向けさせる工夫です。

これで今後の旅では無闇に人々を従属させる事は防げそうです。


他にも一目惚れした指抜きの白のロンググローブにも不変性と衝撃緩和の魔道具化を終えておりいます。


更なる新装備としては白色のショルダーガード、変わった所としては深紅の大きな珠が埋め込まれており、こちらにも不変性や衝撃緩和で魔道具化されています。

色等は地魔術で作成する際に色と明度をイメージすると作成物の色合いが変化する事が判ったからで、今では地魔術製ショートソード等も白色となっています。

この訓練初日に創り出した岩肌の色に似せた簡易拠点やステータスプレートの二つ名の色がヒントになりました。


そして魔術の訓練も順調です。

飛翔は己自身なら自由自在に超高速で宙を駆ける事が可能になりました。

あまりの速さに飛んでいると辺りに衝撃波が伝っている様なのですが、私自身には伝っておらず通過した後に生じるので生憎と体感することはできません。

飛翔魔術の中ではショートソードを操ったり撃ち出すのには一番時間を掛けました。

目標を定めてから撃ち出せば、例え相手の方向に関係無く四方八方へと飛ばしても自動的に軌道修正して目標に向かう事が判明しました。

認識加速と組み合わせて使えば、辺り一面を目標へと自動的追尾するショートソードだらけする事も可能です。

やろうと思えば国一つでも余裕で蹂躙出来そうな程だと思いますよ。

加えて生物に突き刺さったら強制的にマナを吸い上げ爆裂する魔道具と化した地魔術製ショートソード、バスターソード、グレートソードを対象生物のサイズ別兵器として大量に創り出しました。

各々が万を超える単位で収納されているので例えSランク魔獣やモンスターでも倒すこだけなら何とかなると思います。

因みにショートソードを自在に操る事は刃で引き斬るのが難しく相変わらず叩き付ける事になるので刺して爆ぜさせた方が手っ取り早く高威力だったので諦めました。

相手を切断する際には、所謂いわゆるチャクラム、円月輪等とも呼ばれる輪状の刃を高速回転させて繰り出します。

これを思い付いたお陰で、お肉の厚みを好きにスライスすることが可能になりした。

実に素晴らしく、シャブシャブ用の信じられない程の大きさと薄さを兼ね備えた巨大薄切り肉を高速大量生産可能になりmって、話が逸れ過ぎましたね。

他には私の防御性能からすると必要となる場面は少なそうですが念の為に不変性を付与している各サイズの盾も収納されており、瞬時に周囲展開する事も可能です。


他には透明化の魔術なのですが、こちらは自身に掛ける事にも一応成功はしました。

何故か透明化すると視覚を失うので初めは焦ることになりました。

ですが、探知魔術の結果は常時得ているので透明化したまま行動する事も不可能ではないと想っています。


そうでした、後は問題となった探知なのですが、お肉確保の狩りをしようと毎朝一度、最大範囲で確認していました。

ですが、何故か範囲内に黄色の反応が一つも無いのです。

反応が確認出来たのはチェーネを発った翌日に魔獣やモンスターを追い立てた時だけでした。

追い立て疲弊した獲物は美味しくなさそうな事もあって、それらは確保していません。

今では遊ばずに可食魔獣を数体を早々に仕留め、お肉を確保しておけば良かったと反省しています。

そんなこんなで悲しいかな今回はお肉の補充は未だ叶っておりません。

それでも一通りの目的や目標は達したので、一度チェーネの町に戻ろうと思います。



時は少し遡る。

フロレアールが町を発ってから三日目の昼過ぎ、その一報はチェーネの冒険者ギルドにもたらされた。

それを伝えたのは準備を終えてローゼ村へと旅立ったリサイクル組の五人。

彼らはローゼ村へと向かう準備を整え終え、今朝チェーネの町を発ったのだが異変を察して舞い戻って来たのだった。

五人は村に向け街道を南下し始め間もなくして、街道間近にEランク魔獣のユニコーンラビットが居たため遭遇戦となる。

ユニコーンラビットは名の通り、額に大きな一角を有する体長50cm程の大型のウサギである。

食肉としても人気の魔獣であったため、怪我無く倒し終えた五人は幸先がいいと喜んでいた。

この後も街道を進むが大した距離も移動しないうちに立て続けに、ユニコーンラビットが二回、次いでDランク魔獣のステッペンウルフとの遭遇戦に見舞われる。

ユニコーンラビットは街道近くの森などでも普通に生息している為、街道付近まで出てくる事は無いとは言い切れない。

だが、ステッペンウルフは異なった。

ステッペン、つまりは荒野に生息する獰猛なオオカミであり、本来は群れを成して行動する夜行性の魔獣である。

この近辺ではチェーネ北西の岩肌が剥き出しの山麓の一帯に生息しているが、直線距離でも数十kmは生息地から離れていた。

そもそも縄張りでも無い日中に出会うことは無く、ましてやチェーネ南方の平原に面した街道沿いでは、本来なら見かける筈がない魔獣であった。

辛うじて手傷を負うことなく討伐し終えた五人は、この事を冒険者ギルドへと伝えに戻る事にしたのであった。


五人からの報告がもたらされた冒険者ギルドは騒然となる。

冒険者ギルドへと戻っていた支部長パルミーナが元冒険者の経験から魔獣やモンスターの混乱暴走スタンピードが発生した可能性が高いと推察したのである。

パルミーナは即座にスタンピードの緊急事態を宣言し、緊急討伐クエストとして未だチェーネの町に残るイビルボア討伐参加者達を半強制的に拘束、町の防衛に参加させる。

ギルド職員たちが手分けして、フォゲーラ駐留騎士団、近隣の冒険者ギルド支部、町の上役や衛兵などへ急ぎスタンピード発生の報を伝える。

その事実は瞬く間にチェーネの町の人々へも伝播でんぱする。

チェーネの町の人々は自分達が見知った“小さき英雄”が既に町を発っていた事を知っていた。

人々は未だ拭いきれていなかったイビルボアへの恐怖心を思い出し、スタンピード発生の報に対して以前より深い恐怖へと突き落とされる。


冒険者ギルド:チェーネ支部長のパルミーナは慌ただしく防衛準備の指示を飛ばす。

町を囲む空堀の拡大と掘り下げ、石壁の補強、入場門の補強と門前への空堀のや柵の設置。

これらを冒険者や職員たちに指示をして籠城の備えを少しでも整える。

だが、彼女の内心は苦虫を噛み潰した思いであった。

イビルボアの緊急討伐依頼を発して間も無い事から近隣には有力な冒険者が居ないことが分かっていた。

そのイビルボアを単独撃破をした新人冒険者は既に町を去ったとの報告を受けており、戻るとの発言もあったそうが社交辞令と捉え、防衛戦力としては当てに出来ない。

そして頼みの綱の騎士団が駐在する最寄りのフォゲーラの街は急ぎで三日、通常の行軍であれ五日は要する。

加えてスタンピードが起きている状況下では遭遇戦が頻発する事から行軍速度は更に低下してしまうだろう。

尤もイビルボアの討伐を直談判に向かい、騎士団がその重い腰を上げた所に舞い込んだ討伐完了の報。

さして時が経たずにスタンピード発生を伝えても騎士団の動きは決して良いモノに成るとは思えなかった。


「頼みの援軍とたる騎士団様の到着は良くて7日後、期待できるのは10日後といったところかな。こりゃキツい籠城戦になりそうだよ。」


こうしてチェーネは予期せぬ籠城戦へと突入するのであった。

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