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049 愉悦

前半はフロレアールの魔術お料理講座となっております。

物語には特に影響は有りませんので、興味が無く物語の続きをお読みになりたい方は、遠慮無く前半の三分の一程を飛ばして下さい。


ご愛読ありがとうございます。


拙い文章ですが、面白いと思って頂けましたら“ブックマーク”や“いいね”、“感想”等にて応援頂けると幸いです。


これらの応援は執筆に際しての大変励みなりますので宜しくお願いします。

おはようございます。

昨日はトラウマさんが幾度となく現れた事で不貞寝してしまい失礼しました。

今日は午前中は料理の仕込みと午後は認識加速の加速性能向上と簒奪値増加による探知範囲の確認の予定です。


それでは料理の仕込みと並行して朝食を作りから始めましょう。

先ずはだし汁の準備となります。

始めに土魔術で巨大な寸胴を作り出します。

そこに大量の昆布を入れ、たっぷりの水を魔術で加えます。

昆布と水が入った寸胴を時間経過有りの収納に収めて一昼夜放置します。

これで昆布水の完成でします。

昆布出汁を作る際には昆布水を浸かっている昆布ごと火に掛けて沸騰する直前で火から降ろしましょう。

ですが注意点が一つあります。

この方法で作ると昆布の旨味が濃くなるのに併せて昆布の香りやトロミ成分のアルギン酸やフコイダンの成分がだし汁にトロミを与ます。

料理によっては昆布水では無く鍋に水を入れて火を掛ける前に昆布を加えて煮立つ前に昆布を取り除いた出汁を使って下さいね。


そして皆様ご存知の鰹出汁になります。

こちらも土魔術で巨大な寸胴を作り出します。

この寸胴に合成魔術で沸騰状態のお湯をたっぷりと注ぎ入れます。

寸胴に熱が奪われるので火魔術で再度沸騰させましょう。

沸騰したら火魔術は終えて頂き、たっぷりの花かつおを熱湯に加えます。

しばらくするとかつお節が鍋底に沈みますので沈みきってから1~2分置いておきます。

その後、沈んだかつお節を水魔術で静かに引き上げると一番だしの完成です。

ポイントは沈んだかつお節を絞らずに取り除く事です。

絞るとエグ味などの雑味が出てしまうので勿体ないと思ってもグッと我慢しましょう。

これで鰹出汁が完成したので時間経過無しで収納しておきます。

そして本日の朝食。

出汁の取り方を紹介したので昆布と鰹の出汁のツーマンセルを楽しむのに最適な饂飩うどんさんです。

昆布だしが完成するのが明朝なので本日は収納済みの鰹と昆布の合わせ出汁を使います。

お好みの比率の合わせ出汁300cc、濃口醤油大さじ2杯、酒と味醂を各小さじ1杯。

これを酒精が飛ぶようにしばらくの間火に掛けておきます。

塩加減はだし汁の量でお好みに調整して下さいね。

うどんは時間の都合で市場で仕入れた生うどんになります。

大きめの鍋でたっぷりの沸騰したお湯で茹でましょう。

茹で上がったらザルにあげてコシを楽しむのなら冷水で締め、モチっとした食感を楽しむのなら熱湯を注ぎ掛けます。

本日はコシを楽しみたいので冷水で一度締めた後に熱湯を注いで温め直した後に湯切りし器に盛り付けます。

熱々のうどんの上に酒精を飛ばし終えた特性お出汁を注ぎ入れます。

お好みで刻みネギや天かす等をトッピングしてくださいね。

本日はお出汁を楽しむために敢えて素うどんで頂きますよ。

お出汁の風味が豊かで美味しいですねぇ。

それにうどんの甘みと小麦の香りが堪りません。

言い忘れてましたが濃口醤油を白だしや薄口醤油に変える際は塩分量が多くなるので分量を調節して下さいね。

それでは朝食はこの辺にして他の料理の仕込みを始めます。

と言っても本日はスープストック等が殆どなので調理工程はこの辺で失礼しますね。



午前中予定の料理の下拵えも順調終えたことから認識加速の加速性能向上と簒奪値増加による探知範囲の確認に取り掛かる。

始めは急務の認識加速の問題解決である。

飛翔魔術を習得したとはいえ、飛翔ですら速度を上げると既存の認識加速では役不足の感が否めない。

加えて直接戦闘時にブースト状態で立ち回る際に、今のままでは上手く立ち回れず、最悪は誤って仲間殺フレンドリーファイアしをしかねない為、対策は急務なのである。

そこで思いついたのが初心に戻って葉っぱを使って認識加速の加速性能を向上させるというものである。

もっとも葉を以前の様に舞い散らせても意味がないので風壁を用いる事にする。

自身の周囲に風壁を生み出し、葉に不変性を付与して風壁の中へと投入する。

次いで既存の認識加速状態となり、風壁の旋回する風の速度を上げてゆく。

認識加速状態でも徐々に目で追うことが困難となり、流れる葉を辛うじて認識出来る流速で止めおく。

そして認識加速のイメージを目の前を流れ続けている風壁内の葉を完全に認識出来る。

つまりは緩やかに動いているものとして認識可能なものとイメージを改める。

暫くの間、高速で流れ続ける風壁内の葉を見つめイメージ強固なものに変えることを意識していると突如として風壁内の葉の動きが緩やかな物に変わる。

念の為、一度認識加速を解く。

風壁の流速が落ちていないか確認するも流れが速すぎる事から、葉を一切認識することは叶わない。

再度認識加速状態に入ると途端に風壁内の葉が緩やかな動きに変わった事から認識加速の性能が向上したとものと判断する。

風壁を解き旋回していた葉を少し舞い上げて自由落下させる。

以前の認識加速状態ならゆっくりと舞い落ちてくる筈の葉がまるで静止しているが如く極僅かに動き続けている。

この結果から間違いなく認識加速は新たなブースト状態へも対応可能な域に達した事であろう。


ふとフロレアールの悪い癖で思い付いた魔術を行使する。

それは地魔術でショートソードを作り出し自身の周りに浮遊させ自由に動かし始める。

それはかつて夢敗れた憧れの武器であった。

己が剣として扱えないなら飛翔魔術で操る正に厨二スタイルである。

次いで飛翔魔術でショートソードを操り、宙に静止して見える葉に次々と当て葉が地面に落下する事を妨げる。


「デュフフ、この使い方はありかもしれないわ。魔術で飛ばして標的に突き刺す。そして制作は地魔術だから無尽蔵に作れるわ。細かい制御は制限があるけど自分の付近に浮かべて目標へ一直線に射出するのな、ダース単位でも余裕で行えるわ。」


そういうとフロレアールは宙に舞うに舞う葉を全て収納する。

代わりの標的として人型の案山子カテジナちゃんを複数体創り出だす。

案山子カテジナちゃんを乱雑に配置すると不変性を付与した上で飛翔魔術で吹き飛んだり転がったりしないように位置を固定化する。

ニヤァと悪い微笑みを浮かべたフロレアールの周りに地魔術製ショートソードが、まさにダース単位で出現し浮遊する。


駄犬カテジナ死すべし!!。」


その声に呼応する様にショートソードが連続で撃ち出される。

撃ち出されたショートソードは着弾のエネルギーに耐えきれず着弾地点で爆ぜる。

その様は重機関砲を彷彿とさせるものであった。

撃ち出しては新たに生み出しを繰り返し続けフロレアールが満足するまで蹂躙が続く。


「...KA・I・KA・N...。っん、これは堪らないわね。癖になりそう。」


若干上気した顔をしつつ舌なめずりするフロレアール。

案山子カテジナちゃん達の周囲は無惨にも多数の着弾痕が刻まれ小さなクレーターだらけとなっていた。

一頻ひとしきり愉しんだフロレアールは案山子カテジナちゃんを消し去り荒れ果てた地面を整地するのであった。


次いで行うは探知魔術の最大限範囲の確認である。

簒奪値が増加して以降も以前のイメージのまま行使していた為、探知範囲に変化は生じていなかった。

試しに今出来うる全力で探知を行使する。

すると今迄より遥かに広い範囲か表示される。

奪値の増加割合からすると半径7.5km近い範囲の探知結果と推察され、推定面積比へ12倍を優に超えるものである。

余りにも広すぎて全体の詳細が掴めない。

だが、表されている黄色の点が動いており、そこから得られる情報を見てフロレアール唖然とする。

自身を中心とした旧探知範2km圏内には黄色の魔獣やモンスター等の反応は皆無であった。

だが、その範囲を超えた地点からは無数の黄色の反応が表示されている。

そして探知範囲が広がったその瞬間から黄色の点が物凄い勢いで探知の外側へと移動し始める。

つまりは私から逃げる様に距離を取り始めたのである。

これではまるで魔王か何かのバケモノの様で実に気分が悪い。

そこでフロレアールは飛翔魔術を使い実際に魔物やモンスターが自身から逃げ惑うのか上空から高速で追い立ててみることにした。

その光景はまさに地獄絵図であった。

それは魔王に追い立てられ逃げ惑う人々を彷彿とさせた。

一切の容赦も慈悲も無く、逃げ惑う魔獣やモンスターを上空から追い立て続けるフロレアール。

時が経つにつれ逃げ惑うモノ達は徐々にその数を増してゆく。

だが逃走経路は平地だけとは限らず、当然の様に断崖や絶壁にも差し掛かる。

多くのモノ達は何とか回避に成功するが、運の悪い一部のモノ達は逃げ場を失い断崖からの転落や絶壁への激突により黄色い探知反応が消える。

それでも尚、逃げるモノ達を追い立て続けると黄色の探知反応が突然消え始める。

その瞬間に合わせてバタバタと魔獣やモンスターが倒れる。

どうやら体力スタミナを使い切り、それでも尚懸命に逃げ続けた事で生命力自体を損耗してしまったと考えられた。

あまりの惨状な光景を目にして「フハハハハ、ハァーハッハッハッハ!!」と愉悦に浸って追い立て回していたフロレアールも追跡を止めて空中で停止する。

だがしかし、探知範囲に未だ取り残されている哀れなモノ達は未だ数多くいたのだった。

そのモノ達は探知圏内から何とか逃げようと未だ必死の逃走を続けている。

だが、一頭、また一頭と力尽き、黄色の探知反応が消えく。

探知反応が消えている為、体力スタミナと生命力を失ったモノ達の生死は定かではない。

されどフロレアールは改めて追い立てる気にはなれず、一先ず拠点へと戻ることにした。

そうして山の中腹にある岩肌の拠点へ戻ったフロレアール。

改めて最大範囲の探知を眺めるが黄色い点は一つも見当たらない。

追い立て回した結論からして間違い無く探知範囲内から魔獣やモンスターは圏外へと逃走する。

以前に見たイビルボアと巨大ムカデモンスターが探知範囲ギリギリで争っていたのは私に起因するのかもしれない。

だとするとチェーネの町付近にイビルボアが流れ着いたのも無関係とは言い難い気がする。

それを討伐して報酬やら冒険者ランクを手に入れたのは、どう見てもマッチポンプである。

この事は知らなかった事にしようと決意するフロレアール。

一先ず探知を以前の半径2kmに戻すと共に全力範囲探知は必要な際に最低限度の使用に控えることにするのであった。


一方、フレロアールが去ってから一日が経過したチェーネの町周辺には嫌な変化が起きつつあった。

イビルボア出没以降、その姿を消していた魔獣やモンスターが再び現れ始めていた。

その数が以前よりも多い事をチェーネの町の人々は未だ知る由もなかったのだった。

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