046 精算
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晴れて二つ名を得たフロレアールへの賛辞が落ち着いた後、再びギルド内が歓声に包まれる。
それは討伐報酬の受け渡しであった。
イビルボアの討伐報酬金貨500枚。
フロレアールには約束通りの金貨250枚、残りをライジン達14人が分配となる。
該当者達が各々の受領金額を確認した後に討伐報酬に関する契約書に署名を施す。
報酬を得た者たちがその使い道や今後の活動をどうするか等の盛り上がりを見せる。
その横でお通夜なリサイクル予定者達にフロレアールは声を掛け、加えてキャローナを呼び寄せる。
「討伐報酬を得たから約束通り違約金の支払いに必要なお金をあなた達に貸すわ。五人分で金貨75枚で間違いないわね?。」
「はい、一人当たり金貨15枚と成りますので間違いありません。それでは皆様、契約書へサインをお願いします。」
キャローナが支払われた金貨を確認し終えた後に本件の貸借契約書を差し出し、フロレアールと残りの五名が署名を済ませる。
「それではこちらの違約金はライジン様たちへと責任をもって受け渡させて頂きます。」
そう告げるとキャローナはライジン達の元へと違約金を届け、それを受け取ったライジン達から改めて歓声が上がる。
それを見届けたリサイクル予定者達はフロレアールへと頭を下げてくる。
「フロレアール様、改めてありがとうございました。俺たちはこの後約束に基づいてローゼ村に向かいます。そして恩に報いるため精一杯頑張ってみます。」
「あなた達少し待ちなさい。村に向かうと言っても最低限の準備をするお金も持ってないでしょ。ですから支度金として一人金貨5枚を差し上げます。これは返す必要はありませんから十分な食料などを購入して無理な旅程など組まずに村へ向かいなさい。」
そう言ってフロレアールは金貨25枚をリーダー格の男に渡す。
男たちは驚いた顔を浮かべた後に泣き始める。
「俺、こんなに良くしてもらったことなんて今迄にありませんでした。」
「この御恩に必ず報いてみせます。」
「必ず借りた分含めて返します。」
「御使い様への恩を返すつもりでローゼ村にも貢献してみせます。」
「あぁ、流石は御使い様です。あの様なお慈悲を賜れるなど羨ましい限りですわ。今後はライジンやサヘランは少しは御使い様を見習いなさい。それとサヘラン言われた直後に動くのは偽善者のクズです。最低です。」
若干一名狂信者が感化されて騒いでいるが無視するに限るわね。
それとサヘランさんやっぱりゴメンなさい。
「気にし過ぎる事は無いけど今の初心を忘れずに頑張ってみてね。それと私の紹介で村に行っても楽な生活を得られるとは限らないわよ。これからはあなた達次第だから無理の無い範囲で我慢張りなさい。」
「はい、御使い様。俺たち絶対生まれ変わってみせます。そして御使い様の教えに従って可能な範囲ですが人助けもしたり色々と頑張ってみます。本当にありがとうございました。」
「「ありがとうございました。」」
五人は深く頭を下げフロレアールに礼を述べたてギルドを後にしたのだった。
それを見送ったフロレアールは予定通りに町を発つ事にする。
それに伴い、黙ってギルドを去るのも心苦しいのでカルチナとキャローナに声を掛ける。
「カルチナ、キャローナ、二人とも世話になったわね。」
「黒百合様、そんな事ありません。私共を御導きにより救済頂きました。その上、御寵愛まで賜れました。町をお救い頂いたこと含めて感謝しかありません。」
「フロレアール様、カルチナの言う通りです。私たちこそ色々とお世話になりました。改めてありがとうございました。」
「そう言って貰えると気が楽になるわ。これから私は諸用で町を発つから二人とも元気でね。」
「黒百合様、もう立たれてしまうのですか!?。何方に向かわれるのですか?。チェーネにはお戻りにならないのですか?。」
急な話を受けてカルチナがパニック気味に矢継ぎ早に問いただす。
「カルチナ落ち着いて。諸用で町を離れるけど数日から10日程で一度戻ってくるわ。その後は修行の旅を再開するつもりよ。」
「フロレアール様は修行の旅をお務めの最中なのでしたね。承知致しました。お戻りの際には顔を見せて頂けると幸いです。」
「分かったわ。戻ってきた時には顔を出すと約束する。この後市場に寄ってその足で発つことになるわ。」
「その、金百合様にお声掛けしなくて宜しいのですか?。」
「カテジナには前もって伝えてあるから安心して。」
本来は伝える必要も無い予定をフロレアールはうっかり伝えてしまう。
「承知しました。お戻りの際にでも何か確認事項などがあれば気軽に尋ねて下さい。」
そう言われてフロレアールは気になっていた事を思い出し尋ねてみる。
「それならスキルについて分かる範囲で情報があれば教えて欲しいのだけど。」
「スキルですか。余り詳しくは無いので分かる範囲で恐縮ですが。」
「それで構わないのだけど、毒耐性スキルってお酒を飲むことで得られるのかしら?」
「その様な話しは聞いた事がないですね。大量のお酒を飲み続けると酒豪とのスキルを得られるとは耳にしたことはありますが。でも得られる前に体を壊す人の方が多かった筈です。」
「黒百合様、宜しければお戻りになる迄の間に少し調べておきますね。」
「ありがとう。ならお願いするわね。それじゃあ行ってくるわ。」
「承知しました。お気を付けて。無事なんだけどお戻りを心からお待ちしております。」
そう言い残すとフロレアールは冒険者ギルドを後にする。
その様子を寂しそうにカテジナは黙って離れた位置から見つめていた。
ギルドを出ると時刻は既に正午を過ぎていた。
フロレアールは二日連泊した宿屋へと足を向ける。
念の為、町を発つ事を伝えて部屋の取り置きなどが起きないように気を使ったのだが杞憂に終わる。
宿屋に着くとその入口には“臨時休業”との張り紙が掲げられて為である。
フロレアールの口から「んなっ!?」との言葉にならない言葉を思わず発する。
朝の食事処の一件を含めてどう見ても無関係とは考え難かった。
そうして額に汗を浮かべたフロレアールは足早に市場へと向かうのであった。




