043 Aランク冒険者
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ライジンたち討伐隊との討伐に関する協議も邪魔者が不在の為、速やかに進む。
討伐ポイントに関してはフロレアール単独討伐を改めてライジンたち討伐参加者全員が認め、自身の討伐ポイントの辞退を申し出る。
それにより討伐確認を終えた後に事務的処理を終えればフロレアールはAランク冒険者となる事が決まる。
次いで討伐報酬については、事前の取り決め通りに討伐報酬の半額をフロレアールが受領。
残りを規約違反者を除いた14名が受領することを確認する。
その内容で契約書をギルド職員立ち会いの元に作成を終える。
作成された契約書に関連者全員が署名を行い終えたものをギルドが保管する。
これにより事後のトラブル時にはギルド側が契約書に基づいて仲裁に入り裁定を下すとのことであった。
次いで規約違反者達の違約金に関しても契約書を作成する。
違約金は一人当たり金貨15枚。
フロレアールから規約違反者5名が各々借り受け支払う事を改めて確認し合う。
返済には期日を設けず、該当者はローゼ村へ移住するとの内容となった。
そして討伐確認を行う為に広場にてイビルボアの首無し遺骸をマジックバックに触れる演出をしながら収納から取り出す。
すると遠目からもでも判るその大きさに町の人々が徐々に集まってくる。
「実物を見ると凄く大きいですね...。えっと、これから討伐確認を行わせて頂きます。目撃された特徴を目視で確かめた後に、肩高、体長を計測、最後は蹄の拓を取って終了となります。」
カルチナはそう言い放つと横たわるイビルボアの背側に移動する。
「討伐依頼書に記されている対象魔獣特徴の左肩部から背にかけてのコブ状隆起を確認致しました。次いで肩高と体長を計測して目視情報からの推定値と著しい差異が無ければ討伐認定となります。」
カルチナはポンコツさを微塵も感じさせずテキパキと仕事をこなしている。
「キャローナ、体長の計測するから首元に計測メジャーのゼロ点当てて押さえておいて。」
「分かったわ、任せておいて。」
メジャーを手渡すとカルチナとキャローナの手と手が触れ合う。
すると百合百合ペアの二人は手を取り合って見つめ合う。
その様子を眺めるフロレアールが嫌な予感を覚える。
すると百合百合ペアの二人は顔を赤くしたと思うとそのまま口付けを交わす。
「何やってんのよ、このポンコツ百合百合ヘアは!?。」
そう言い放ったフロレアールが二人の頭でも小突いてやろうと動き出そうとする。
その瞬間、見物に集まった人達から声が上がる。
「噂通り二人とも幸せそうね。」
「お姉様たち尊いですわ。」
「これがカテジナ様の教えなのですね。」
「あぁ、あの二人昨日から付き合いだしたんだっけか。」
「黒百合様と金百合様の御導きらしいぞ。」
「お、噂の黒百合様が二人に近付こうとしてるぞ。」
「二人を御褒めになるのでしょうか?。」
この時フロレアールは町の異常に気付く。
この世界では同性愛は禁止されてこそいないが大っぴらに出来る程寛容な風習は無い筈である。
故郷の村が厳格だった可能性はあるが、昨日のザンネン教の信奉者に堕ちる前のカルチナやキャローナの反応からすると大きな違いはない筈である。
それなのに町の住人たちは二人の行動を容認する反応を示している。
嫌な汗がフロレアールの背中を濡らす。
フロレアールの頭の中を過ぎった認めたくないが確信に近い予想。
それは己自身のユニークスキルの傾国の美貌による従属状態の影響であった。
先程の町の人々から聞こえた内容は黒百合様こと私が二人を導いたと言っていた。
そして町の住人たちには、昨日の時点で黒百合様と金百合様が同伴して一晩激しく楽しんでいた事が知れ渡っている。
加えて昨日のカルチナとキャローナの騒動やカテジナの町中での信奉者獲得の説法。
間違いなく町の住人たちは私が百合百合教と捉えていると思われる。
そして従属状態の効果で、百合自体や公衆の面前での接吻などを忌避することなく容認しているのである。
恐ろしい事に、このチェーネの町全体が百合百合教を公に認める環境が既に出来上がっていたのである。
この状況で下手に百合を認めない発言をするとカルチナやキャローナの身に良くない事が起きかねない。
フロレアールは己が救った町一つを犠牲にして改めて傾国の美貌の恐ろしさを理解したのであった。
こうなると余計な事や発言は極力控えて討伐確認を終わらせてサッサと町を離れようと決意する。
「カルチナ、キャローナ、オタノシミ ノ トコロ ワルイ ケド カクニン サギョウ ススメテ。」
フロレアールは死んだ魚の様な目で抑揚の無い声で百合百合ペアに作業再開を促す。
フロレアールから声を掛けられた事で二人は我に返り計測作業を放り投げて楽しみだしていた事に気付く。
「黒百合様、失礼しました。キャロちゃん押さえておいてね。」
「フロレアール様、済みません。仕事中はちゃん呼びしないの。」
二人は謝罪すると共に計測作業を再開する。
その後は計測作業の手がが止まることも無く、次いで肩高の計測も無事に終え討伐確認をやっと終えたのであった。
そして最後に冒険者ギルド側の討伐情報の保管記録用の証拠資料として蹄の拓取りも無事に終える。
「以上でイビルボア討伐確認は完了となります。併せてAランク魔獣の単独討伐認定となりましたので、これを以てフロレアール様はAランク冒険者となります。おめでとうございます。」
キャローナからの宣言を聞いたライジン達やイビルボアの遺骸を眺めに集まっていた町の住人達から歓声が上がる。
様々な祝辞が飛び交い浴びせられると共に二つ名に関して問いかけを受ける。
そこでフロレアールはライジンに二つ名の紅華の由来を確認する。
「由来かい?。イビルボアを打ち倒した瞬間に真っ紅な華が現れたのを気絶してなかった者達が見たからさ。イビルボア討伐に関連する事柄に限られるから他候補に出たものだと巨躯殺し、猪殺し、撲殺天使、爆散メイサーとかは嫌だと思ってね。」
「あぁ、確かに他候補よりはまだ良いかもね。」
「まだってのも酷い評価だけど読みだって“あかはな”ってのも赤鼻みたいで可哀想かなと気を使ったつもりなんだけどね。」
「わかったわ。それじゃ二つ名として紅華を貰うことにするわ。」
フロレアールは少し照れながら己が二つ名を集まっている人々たちに告げる。
次いでライジン達が自慢げに己が窮地を含めて英雄譚の様にその由来を説明すると改めて大きな歓声が上がる。
「「チェーネの小さき英雄“紅華のフロレアール“」」
集まった人々は声を揃えて小さき英雄を讃えるのであった。




