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042 以心非伝心

ご愛読ありがとうございます。


拙い文章ですが、面白いと思って頂けましたら“ブックマーク”や“いいね”、“感想”等にて応援頂けると幸いです。


これらの応援は執筆に際しての大変励みなりますので宜しくお願いします。

朝食を屋台で済ませたフロレアールとカテジナは予定よりも少し早いが冒険者ギルドへと向かう。


「カテジナ、昨日ライジンと会ったと言ってたけど私の伝言は伝わっているのよね?。」

「間違いなく伝わってます。夕食予算を巻き上げた時にしっかりと教育しておきました。」


カテジナの教育との不適切な言葉に嫌な予感を覚えるがフロレアールは無視をする。


「そうだ、私は討伐確認終えて報酬受け取ったら諸用で暫くの間は町から離れるから。カテジナはその間にライジン達との話し合いを終えておいてね。前にも言ったけど所用に関しては詮索も同行も許さないから。それと見送りも必要無いから今日はギルドで別れましょう。」


フロレアールは激増した簒奪値におけるブースト状態の確認や外套等の制作、料理備蓄の増量等を行うと共に、二日連続での痴態を反省を踏まえて暫く一人になろうと考えでいた。


「フロレアール様がそう仰せになら従いますが、お戻りになるまでの期間の目処だけでも教えて頂けませんか?。」

「そうね、早ければ3日、長くても10日程度と考えてるわ。」

「承知しました。お戻りをお待ちしております。」

「別に無理して待たなくて良いわよ。ライジン達のパーティーに残る事になったら好き勝手は出来ないでしょ?。その時はギルドに伝言でも残して置いてくれればそれで構わないわ。」

「承知しました...。」


その後はギルドに着く後二人は会話すること無く沈黙が続いていた。


ギルドに到着すると討伐隊の全員が揃っていた。

そして彼らはフロレアール達の到着を正座で待ち構えており、カテジナに続きフロレアールが入口の扉からギルド内に姿を現した瞬間、一斉に頭を下げる。


土下座の姿勢を維持してライジンが代表して言葉を発し、他の者たちは謝罪と願いの言葉のみ復唱で続く。


紅華べにばな様、昨日は御足労頂いたにも関わらず、大変し訳ありませんでした。」

「「申し訳ありませんでした」」

「昨日は羽目を外して御約束を違えてしまうこととなり、私共の不徳の致すところで申し開きも御座いません。本日は、改めてよろしくお願いします。」

「「よろしくお願いします」」


それを見たカテジナは満足した悪い表情を浮かべ頷いている。


「ライジンさん達は頭を上げて下さい。それに正座なんてやめて立ち上がって普通にして下さい。」


フロレアールは予想も望みもしていなかった土下座謝罪を受けて慌てて言い放つ。

そして愉悦に満ちた表情のカテジナを確認して、ため息を一つ吐く。


「カテジナさん、ちょっと着いてきてくれますか?。」

(ザンネン、ちょっとツラ貸せ)


心の声を可能な限り丁寧に伝えてザンネンをギルド併設の酒場隅へと連行する。


「アレがさっき貴女あなたが言ってた教育で合ってるのかな?」


フロレアールはニコニコと笑顔を浮かべ明るく元気な声でカテジナに尋ねる。


「はい、先ずはフロレアール様の二つ名を宿題として命じておきました。紅華べにばなとした様ですね。二つ名とはAランク冒険者の偉業を讃えるものでAランク到達に関連した逸話から周囲の者たちが贈るものなので、今回はイビルボア討伐に因んだものになります。詳細は後ほどライジン達に確認しましょう。」


その反応を満足して喜んでいるものと捉えたザンネンは調子に乗ってドヤ顔で答え始める。


「そうなのね、分かったわ。二つ名の件は問題無いのだけど、ライジンさん達が正座で待機して土下座謝罪してきたのは何故かのかな?。」


引き続き笑顔を浮かべて先程よりもやや声が大きくなりつつカテジナに再度尋ねる。

フロレアールが間違いなく怒っている事を察したライジンたち討伐隊の面々が不安げに眺めながら騒ぎ始める。


「オイ、やばいぞ。」

「どう見ても怒ってるよな。」

「人で造られた紅い華なんて俺見たくない。」

「誰かカテジナを助けてくれ。」

紅華べにばな様を止めるなんて無理だろ。」

「お前自身が助けろよ。」


周りの心配を他所にカテジナは鼻高々に答える。


「それは御使い様に対する不敬を働いた咎人達には、その罪を認識させ最大限の謝罪を要求して誠意を見せろと伝えておきました。加えて御使い様の意を汲んでがギルドに到着された際に出迎えしなかった者は直後に部屋へ向かって魔術で断罪すると警告しておきました。それらが功を奏した結果と想われます。」

「そかそか、私の伝言を踏まえて貴女が色々と付け足したのね。ザンネンさん、御褒美をあげるからちょっとソコに立ちなさい。」


フロレアールは現在地点からライジン達の位置まで直線上に障害物が無くなる位置にカテジナを誘導し向きを調整して設置する。


「ご、ご褒美ですか!?。こんな朝からなんて躰が今日一日保ちますでしょうか♡。」

「うんうん、手加減するから身体の心配はしなくていいよ。」


そう言い放ってフロレアールはカテジナに近付き鳩尾みぞおち、心窩“しんか・しんわ”と呼ばれる人体急所の一つに右手を当てる。


「フロレアール様、出来ればもう少し下、出来たら下腹部辺りに手を当てて頂けると幸いなのですが♡。」


フロレアールはカテジナのリクエストに応える事無く、光が消えた瞳でゴミを見つめてる様な眼差しを浮かべて魔術を行使する。

一つはカテジナの死傷を防ぐと共に衣服を破かないに様に不変の魔術をカテジナ本人と着衣に一時的に魔術で付与する。

並行して鳩尾みぞおちに当ててる右手から衝撃波を生み出し、その全エネルギーをカテジナが受け取り、ライジン達がいる方向に吹き飛び20m程離れた壁際で停止するイメージを構築する。


「誰がそんな事望むか!!。一回死んで反省しろ!!。」


そう言い放った直後、くぐもった“ドン”との音とが響くと共に「ブベッ」との声を漏らしたカテジナが10m程一直線に吹き飛んで床に落ちる。

次いで跳ね転がり、最後は床を転がり滑ってイメージ通りに壁際で止まる。

うつ伏せで壁際に転がりピクリともしないカテジナを前にギルド内は静寂に包まれる。

静寂に耐えかねた誰かが“ゴクリ”と大きく喉を鳴らたのを切っ掛けに皆が声を上げ始める。


「カテジナ!!誰か治療魔術を!!。」

「人ってあそこまで吹き飛ぶものなのか。」

「イビルボアに吹き飛ばされた奴より距離長いぞ。」

「悪い、少しスッキリしちまった。」

「流石に殺しはマズイだろ。」

「殺っちまった。」

「紅い華が咲かなかったのが不幸中の幸いか。」

「人がざいりょうのは流石にちょっとな」


ギャラリー(ライジン)達が騒ぐ中、逸早く一人のギルド職員、そうカルチナが駆け着ける。


「金百合様しっかりして下さい!!。今ヒールをお掛けします。」


うつ伏せのカテジナをひっくり返して仰向けに寝かせる。

次いで急ぎヒールを掛けようと心臓マッサージの様な姿勢で腹に両手を置くカルチナ。

その瞬間カテジナがパチリと目を見開く。


「あぁー、死ぬかと思いましたわ。心配いr」

「キャーー!!」


カルチナの悲鳴が上がると次いでカテジナから再び「ブベッ」との声が漏れ出る。

意識の無い重症と想い込んでいたカテジナが突如目を開き声を発した事に驚いたカルチナ。

彼女は反射的に体重を乗せた両腕を命一杯の力でカテジナに押し込んだのだった。

そうしてカテジナの意識は闇へと沈んだのである。


「き、金百合様、しっかり、しっかりして下さいーー!!。」


フロレアールは慌てふためくカルチナに近付くと、その右肩に左手を乗せ、右手でサムズアップを形作り、輝く白い歯を覗かせた爽やかないい笑顔を見せて声を掛ける。


「カルチナ、よく殺ってくれたわ。グッジョブ!!。」

「ふぇぇ~、く、黒百合様。私は殺ってませんよ~。」


最後には半泣きとなったカルチナがそう叫ぶのであった。


こうして仕置を終えたフロレアールはカテジナを捨て置き、ライジン達にカテジナの暴走を謝罪して誤解を解き、討伐報酬などの話し合いを始めたのであった。

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