037 混乱
本編冒頭に若干の性的な描写が含まれております。
性的な描写が苦手な方は該当箇所を読み飛ばすか本編の閲覧は御遠慮下さい。
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Aランク魔獣イビルボアの恐怖から開放された町チェーネ。
恐怖から開放された翌日、その町の中心部に近い一角は混乱に陥っていた。
冒険者ギルドの制服に身を包んだ二人、一方は他人に晒してはならない昇天した蕩け顔を晒し、その躰はビクビクと悦びにうち震え達していることを周知する。
もう一方はというと昇天し意識を失った蕩け顔で痙攣する女性と唇を重ね続けている。
彼女は口内陵辱の手を一切緩めることなく嬲り続け、淫靡な音を奏でている。
だが、より混沌とした様相は、その二人を取り囲む様に築かれた野次馬の人集りで生じていた。
黄色い悲鳴を上げる者。
血が流れ出る鼻を両手で押え膝をつく者。
失神する者。
涙しながら両の手を胸の前で組み祈る者。
股間を大きく膨らませて前屈みにとなり身動き出来なく者。
その前屈みになった者を蔑んだ目で軽蔑すると共に罵る者。
騒ぎは収集する気配を全く見せず、最後には衛兵が駆け付ける事態にまで発展したのであった。
そして今、私とカテジナは神聖魔術を使って鼻血塗れになった人たちの止血作業を勤めている。
「ちょっとカテジナ、何なのアレは?あんた一体何を生み出したの!?。」
「何をと申されても、私は迷える子羊たるカルチナから、親友たるキャローナに寄せる想いを打ち明けられました。その願いを成就させるべくアドバイスを伝え、最後にキャローナが嫉妬する様に仕向けただけです。」
どうやらギルド併設の酒場の奥の席で悩みを打ち明けられて相談に乗って一芝居打ったといったところだろうか。
「そもそも私はフロレアール様以外にこの躰を許すことはありませんから御安心下さい。心を同じくするする信奉者が望めば受け入れ愛で撫で、フロレアール様からの教えを施す事は吝かでは無いと考えております。」
患者達がザンネンの言葉に過剰な反応を示す。
「おい、ザンネン。患者の鼻血が再発したり出血量が増してるから口にする言葉を選びなさい。」
患者の容態が急変したのでザンネンに注意を促す。
「申し訳ありません。尤も私はカルチナの心の箍を少し外して差し上げただけです。あの結末はあの子たち自身が生み出して得たもので誘導などは一切してませんよ。」
一通りの止血を終えた私たちは患者達に洗浄を施してその場を後にする。
周囲の状況は落ち着きつつあるが、カルチナは衛兵から事情聴取を受け怒られており、キャローナは未だ顔が上気してはいるが落ち着いた様に見受けられるが未だに意識は戻っていない。
野次馬の中で股間を大きくしたもの達は落ち着きを取り戻した者から順に恥ずかしそうにそそくさとこの場から立ち去る。
それとは別の一部の者たちが衛兵に食ってかかっており、それはザンネン教の信奉者と有り得る候補者達であった。
「何故二人の恋路を邪魔するのですか。」
「何の権利があって二人を引き離すのよ。」
「あの尊さが分からないの?。」
「眼福だったのに最低です。」
「余計な事しやがってぶっ殺してやる。」
と信奉候補者たちが徐々にヒートアップして暴徒化しそうな雰囲気までもが漂い始める。
「おい、ザンネン。責任を取って場を収めてこい。」
私は大元の原因であるカテジナに責を負わせることにして命を下すとカテジナは「畏まりました。」と騒ぎの現場に歩み寄る。
「皆さん、落ち着いてください。」
カテジナが一言発すると騒ぎ立てていた女性達が一転して静まり、「金百合様よ。」「黒百合様のパートナーらしいわよ。」「お美しい、羨ましいわ。」と囁きが聞こえ始める。
私は自身が黒百合と称され既に噂が町中に広まってる事に焦りを感じている中、カテジナが説法する。
「衛兵の皆さんは町の治安を維持する己が務めを果たされているです。経緯はどうあれ結果として混乱が生じた事は事実でなのです。皆さんは志を共にする方々とお見受け致しますので少し離れてあちらの方でお話でも如何ですか?。衛兵の皆様、お手を煩わせてしまい申し訳ありませんでした。出来れば騒ぎの中心となったカルチナ嬢にも寛容な処理をお願いします。」
そう述べるとカテジナは衛兵達に深く頭を下げる。
その様を見ていた信奉候補者達も続いて頭を下げる。
衛兵達からも「分かってもらえれば構いません。」「場を収めて頂きありがとうございます。」と返される。
カテジナ一行がその場を離れると共にその嘆願を受けた衛兵達はカルチナへ口頭による厳重注意でことを収める。
衛兵ほその大半がこの場を後にし、残りの者も意識を失った者が目を覚まし終えるとこの場から去ってゆくのであった。
私はカルチナから少し距離を保ちつつ声を掛ける。
「カルチナ大丈夫?少しは落ち着いたかしら?」
「はい、お陰様で。それに晴れやかな気持ちです。長年の秘めた想いを打ち明けられましたので。これも黒百合様や金百合様の教えとお力添えの賜物ですので、心から感謝致します。」
「いや、別に私は何もしてないから感謝は必要ないわよ。ところで討伐確認はどうなるの?。」
「引き継いだ本人のキャローナがこの有様なので出来れば後日に改めさせて頂けませんでしょうか?。収納されてるマジックバックはダンジョン産の物ですよね?」
「時間経過はしないから私も構わないわよ。ライジン達も明日に改めた方が良さそうな感じだしね。」
「そうして頂けると助かります。」
話が纏まっとたのでカテジナを呼び、討伐確認は明日になった旨を伝えるとカテジナは信奉候補者達を気にしてるので、私に構わず話を続けるよう促。
加えて私は予定を変更して一度ギルドに戻り、その後は教会に顔を出すつもりでいる旨を伝える。
カテジナが信奉候補者達の元へ戻り笑顔で話を再開したのを見届けてカルチナに問いかける。
「キャローナの意識が未だ戻らないけど私が担ぎあげてギルドまで戻りましょうか?」
「いいえ、私がディクリースウェイト、その重量低減の魔術が使えるのでそれを使って抱き上げて帰ります。」
「あんまり聞かない珍しい魔術ね。」
「ギルドで習ったんですよ。魔獣とか討伐確認で凄い重さの物をひっくり返したりするので必須なんですよ。」
そう言ってカルチナは軽々とキャローナを所謂お姫様抱っこしてギルドに向かって戻り始める。
歩き始めて程なくして揺れからかキャローナが目を覚まし、恥ずかしさから騒いだもののカルチナが譲らなかった。
キャローナは顔を真っ赤にしつつもカルチナの首に手を回しかけてギルドの近くまで抱き抱えられたまま移動したのであった。




